2012年5月18日金曜日

やる気にさせた「考える足場」の授業




数年前に横浜国立大学の石田淳一先生の講演を聴きました。

『教えて学ばせる考える足場の授業』・・・・初めて聴いた時は、理解に苦しみました。


今までの私は、問題を自力解決せさることで考える力が身につくというスタンスで授業に取り組んでいました。

ですから、課題解決型の授業を基本として、問題提示の仕方や、見通しの持たせ方、わからない子供への支援のあり方、小集団交流(ペア・グループ・自由交流)のあり方、多様な考えの全体交流での練り上げ、まとめ方などの点について、学校研究や自分なりの実践研究で取り組んできました。


しかし、課題解決型の授業では、いろいろな問題点がありました。


(1)すべての子供が既習事項を想起できない。
 
 毎時間、苦手な子供へ支援しなければならない。そういう子供が、一人二人ではなく、個別支援に時間がかかる。

(2)本時の目標に即した思考をしていない場合がある。
 長方形の面積の授業で、1平方センチメートルがいくつあるか数えるというやり方を、全体解決の時まで持ち続け、最後には否定されるというものなど。

(3)自力解決の時間を確保すれば、考える力が身につくのか。
 見通しの持てない子供に、個別支援などをしながらじっくり取り組ませてきたが、時間がかかりすぎて練習問題まで行けなかったこともしばしば・・。

(4)比較検討にも時間がかかる。
 多くの考え方を発表させたあと、どれが一番速くて簡単、いつでもできる方法なのか比較検討。これも時間がかかりすぎ、効率的ではない・・

(5)得意な子供をさらに伸ばしたり、活用力を身につける余裕がない。
 発展的な問題に取り組ませる余裕が全くない。

などなど、さまざまな壁にぶつかりながら、課題解決学習に取り組んでいました。

そんな時に、石田先生の話を聴いて、
「なんだかわからないけれど、成果が上がるということはまちがいなさそうだ。」
という思いを抱き、自分なりに実践してみることにしました。

それには資料が必要だと思い、写真にある著書を購入し理論的な内容を少しずつ理解しました。(すべて明治図書です)実践も自分なりにコツコツとやってみました。そしたら、今までの算数授業とはちょっと違うような気がしました。

・子供たちの理解度がアップ
・時間的な効率性
・発展問題まで取り組める
・ほぼ全員が理解できる
・苦手な子供が、算数がおもしろいと感じ始める
・個別支援があまり必要なくなる
・学力テストの点数が上がる

などなど、いろいろな変化が見られるようになりました。

しかし、ここで大きな壁がありました。研究授業で見てもらっても、考える足場のことを知っている人がいない!だから、これでいいのかどうかがわからないということです。

そんな時に朗報!!

なんと著者の石田先生に授業を見ていただく機会を得ました。そして、授業の助言をしていただきました。その夜、一杯やりながらいろいろなためになる話を聴くことができ、実践の意欲がわいてきました。

さらに、別の公開授業の時の事前研究会にも、石田先生が参加していただき、ご助言をいただきました。

求めれば、道は開けるものだと確信しました。

その実践を各研修会などで報告させていただきました。聴いていただいた先生方からは、よい評価をいただき、学校研究でも取り組んでみたいという学校もありました。フェイスブックでも、賛同する多数のご意見をいただきました。

ふと思い返すのが、考える足場の指導法を取り入れようと思った時、数年前の自分のような思いをするのではないだろうかということです。つまり、「足場って何だろう」、「何を足場にするのか」、「本当に考える力がつくのだろうか」など基本的な疑問を持つということです。

そうすると、やはり今までのやり方や教科書通りというのが楽ですから、元通りのスタイルに戻ってしまいます。せっかくよさをわかりかけてきたのに・・・

教師は、日常的にとても忙しく、本を読んだりする時間もないし、新しい実践に挑戦するだけの余裕もありません。学校研究でで取り組まない限り、長年培った授業のスタイルを変えるのも抵抗があったりします。

多くの先生方に、考える足場のよさを知っていただき、実践していただきたいと思っています。そして子供たちに力をつけてもらいたいと思います。それには、「やってみよう!」という意気込みだけです。

まずは、実践してみましょう!

そして情報交換しましょう!成果をあげましょう!そして、情報を発信しましょう!

いっしょにやってみましょう!

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