2013年2月23日土曜日

問題解決型の形骸化という視点

問題解決型指導の形骸化


「考える力を育む教科指導改善研究会」
山形大学大学院教授 大澤 弘典 氏の講話より




現在、ほとんどの算数指導では、課題解決型の授業が行われていますが、形骸化しているのではないかということです。
図2の固定化された授業過程の問題点
・すべての子供が必死になり、脳に汗をかくがとく活動しているとは言い難い。
・答えが簡単に出てしまった子供は静かに黙って座っているだけである。
・解決できない子どもは、ずっと座っていても進捗しないままでいる。時には、ただ時間が過ぎるのを待っている場合さえある。
授業を固定化し形式的な展開をすることで、教師自身の軽減が図れるといった利点を強調する見方もあろう。しかし、これは教えやすくなった反面、教師自身が考えることをしなくなった(授業改善を怠っている)とも解釈できる。何より、一つの形式に凝り固まった形骸化した授業の中で子供の自ら学ぶ力を本当に育てられるのか、疑問を感じざるを得ない。つまり、教師が問題解決型指導を文字通り「型」として固定的に捉えすぎているところに問題の所在がある。



自ら学ぶ力を育てるには、図1のように、学習者の必要に応じた自在な展開が教師によって保証されていなければならないという内容でした。

さらに、1つの問題をじっくりと時間をかけて解くというのではなく、問題を1つ解いたら2つ目の問題を自力解決してみるという手法がよいということもおっしゃっていました。

 これは、学び合いで足場をつくる手法と基本的に同じ考え方です。

従来の問題解決型学習を見直す時にきています!


2013年2月17日日曜日

さすが神奈川!『西湘研』

先月、石田先生からのお誘いもあり、神奈川県の小田原周辺の先生方でつくる「西湘研」という算数指導の勉強会に参加させていただきました。もちろん指導者は、横浜国大の石田先生です。この西湘研というのは、算数指導を中心とした研究会で、昭和の時代に発足した歴史ある研究会だそうです。もちろん、任意の研究会ですので、土曜日に勉強会ということです。今回の研修内容は、ビデオで授業を振り返りながら、石田先生が検証していくという内容でした。


例示した授業は、大井小学校の算数の公開授業でした。
http://gakkokyoiku.gakken.co.jp/data-search/2012/11/20130118.html

この研究会の指導助言も石田先生ですが、石田先生の理論に基づいた研究をしての公開授業ということです。単元は、拡大図です。授業者は、4年目という若い先生で、子供たちの思考をうまく学び合いでつないでいました。説明する側は、相手にわかるように、またはわかったかを確認しながら説明しています。聞く方も、わかったかを意思表示します。既習をきちんと関連付けながら、学び合いことでどんどん深まっていくという見事な授業です。

この公開研に参加なさった私の知り合いのN先生は、このビデオを家宝にするとおっしゃっていたそうです。しかも、

この本を購入し、実践したところ子供たちが変わった(タイトルにもある通りです)ということで、この公開研に参加したということでした。ぜひ、このブログにも実践をアップしていただければと思います。

この授業の後に、山形県南陽市のR小学校のI先生の授業も紹介されました。I先生は、算数指導ではベテランの先生ですが、石田先生の理論に納得し、学校研究に取り入れながら実践を進めている先生です。この授業も、子供たちが育っているなあと感心してしまいました。自分の近所の学校で、こんなに高まっている授業があることを知り、とてもうれしく思いました。

というわけで、西湘研の先生方の真剣な自主研修の姿を拝見し、よい授業を求めている姿に感動するとともに、このような自主的な研修会があることをうらやましく思いました。山形県でもこのような勉強会を開催できそうな動きが出てきました。石田先生も意欲的です。しかも、一緒に筑波附小の研修会に行った先生にも、賛同していただける方が見つかり、少しずつメンバーも集まってきています。

西湘研をお手本としながら、地元の理解者を増やし、組織的に研究会を開催できればと考えています。西湘研の先生方のおかげで、今後の展開の刺激になりました。懇親会もとても盛り上がり、楽しい夜をすごすことができました。本当にありがとうございました。

筑波附小公開研「学力を育てる話し合いの条件」

 久しぶりに筑波附小の公開研に参加させていただきました。予想通りの人ごみで、入場制限している場面もあり、遠くから来た先生方ががっかりしている姿が見られました。ネットでの事前予約制にしてほしかったと思います。

ピンボケですが、副校長の細水先生の授業を拝見しました。相変わらずの人気で、始まる1時間以上前から立ち見でした。授業というより、ショーを見ている感じがしました。

1/2のカードを黒板の上にはり、
「1/2より大きいものは左、小さいものは右に並べましょう。」
という指示のもと、次は1/3、2/3、3/3 その次は、分母が4,5・・という分数のカードを子供たちに貼らせていきました。

目盛りも数直線もないところに貼っていったので、見ている子供たちから「もっと右」とか「同じ大きさだからすぐ下!」などの掛け声が自然と起こりました。

つい先日、この授業をしたところですが、教科書にある数直線が並んだ図に分数を記入させるという活動をさせたので、正確には大きさをつかんだとは思いますが、この授業のように何もないところでの活動もなかなかいい反応だなと思いました。

子供たちが自ら、「2/3と3/4はどっちが大きいんだろう」という問題意識を持ちました。全体でそれぞれの考えを学び合いました。解決後に、主問題2を扱いました。しかし、時間がきてしまい、見通しを出しノートを見合うところまでしかいかず、みんなで解き方を共有するところまではいかなかったようです。

こういう授業をすると、学校研ではかなり叩かれますね(笑)まとめがないとか、見通しと学び合いという段階を大事にしましょうとか・・いろいろあると思います。筑波だから「素晴らしい」という評価になるわけです。それは、理論に基づいているからですね。やはり、授業改善は、理論に基づくというこもとても大事なことです。

今回の授業を見て思ったことは、従来の課題解決型の学習ではなく、柔軟に考える必要があるという細水先生の主張は、自分が今実践していることと方向性は同じです。この授業は、活用力育成型学習展開というパターンなのだそうです。しかし、考える足場を提唱している石田先生は、活用力を育てる学び合いという考えを、著書などですでに数年前から提示しています。

さらに、今回の筑波附小の算数の提案は、「学力を育てる話し合いの条件」です。大学の先生方がいろいろな理論や実践例を紹介していましたが、これも新しいことではなく、石田先生のご指導のもと、学び合いを中心とした実践が各地で行われ、成果を上げています。

自分の現在実践している、学び合いで考える足場をつくるということが、理論に基づいていることを改めて実感したところです。

2013年2月13日水曜日

足場と学び合いは車の両輪!


学び合いを重点的に行なってから、条件不足の問題提示でも、問題化できるようになってきました。ミックスジュースを作りたいという提示をした段階で、たし算をすればよいとか、4/5Lは1/5Lが4こ分とか、既習の気づきが出されました。

今回の授業は、分数のたし算です。昨年度も分数の加減計算はやってきましたが、答えが仮分数になるたし算は未習です。「分数のたし算は、分母はそのままにして、分子だけの計算をする」ということは、昨年度の学習からもわかっています。

(参照)  http://vaio0819.blogspot.jp/2011/02/blog-post_25.html

分数の足場を小数にしたり、小数の足場を分数にしたりという学習を行なってきた結果、〇の□こ分という仕組みは、すべて整数と同じであるという数学的思考を身につけることになりました。

3年の時も、分数の足場を小数にすることで、計算のしかたをきちんと説明させました。この時の学習と、2学期の小数の計算の経験から、今回はグループ学習も必要ないほど、ほぼ全員が説明できる状態になっていました。もちろん、こちらからの足場の提示もなく、いつもどおり子供たちからの見通しと全体の学び合いだけで、主問題1の説明をクリアしました。

さらに、主問題2も、一人一人がきちんと説明まで自力解決できました。黒板の前には、書きたいという子供が集まり、賑やかに学習することができました。子供たちは、みんな満足そうです。

今回の授業をしてみて思ったことは、昨年までの「与える足場」を提示しなくても、自ら既習を想起して問題を解くことができるようになったことと、みんなで考えを出し合い、既習を共有しての共同学習が実現したということが大きな成果であると思います。

子供たちは、既習事項を足場にして、自ら説明しようと意欲的に学習に取り組みました。「足場と学び合いは車の両輪」という石田先生のおっしゃる通りの授業になりました。


2013年2月5日火曜日

かつての「見通し」では本当に見通せるのか?

米沢市のM小学校の先生から、石田淳一先生のおすすめの著書を紹介してくださいというFAXをいただきました。この学校では、来年度、公開研を行うということで、今から研究をすすめているということでした。特に、「見通しの持たせ方」をポイントの一つととらえて取り組んでいるそうです。
そこで、自分なりの「見通し」についての考え方を、メールいたしました。

(ここから)

貴校では、「見通しの持たせ方」を研究しておられるということで、自分なりの考えをご報告させていただきます。

 課題解決型学習では、問題提示のあと見通しを持たせます。何を使えばできそうか、どう考えればできそうか、どのくらいになりそうか・・など、考え方や見積もりなどの意見を出させるわけです。学校研究の授業を見せていただくと、何をどこまで見通しを持たせるかの見極めが大事だというわかりきった結論にいきつきます。

 この時、低位の児童の思考は、問題把握もままならないので見通しどころではなく、わかった子供の意見を聞くだけの活動になることが多いように思います。かなり深く見通しをしたつもりでも、低位の子供はなかなか自力解決できず、結局はいつも通り教師の支援を待つことになります。低位の子供は、自分が体験したこともなく聞いただけではなかなか理解できないでいます。先生の支援がなければできないということが習慣化してしまい、算数は難しく、自分では解決できないものというトラウマができあがってしまいます。

 自力解決に向かう前に、全員が「できる」「やりたい」という意識を持たせることが、算数への意欲や理解につながっていくのだろうと思っています。しかし、現状の課題解決型では、なかなかそこまで見通しを持たせることはできません。

 その課題をクリアするために、学び合いにより考える足場をつくるという指導法が有効であると思われます。最初は、問題の数値や条件についての気づきを話し、そこから問題意識を持たせます。慣れてくると、問題を提示しなくても問題をつくることができ、めあて意識も持てるようになります。

 ここで見通しですが、気づきから問題意識まで、子供たちの思考の流れにそって進めているので、改めて「見通し」という段階を提示しなくても、そのまま自然に解き方の話し合いに入っています。石田先生は、「考えをつなげてみよう」という発問(指示)を大事にしたいとおっしゃっています。ここで多様な考えが出されることもありますが、「速い、簡単、いつでもできる」方法を選択し、グループで話し合います。一人一人話をすることという約束をして、グループ学習を進めていきます。終わったグループは、全員が説明できるようにしておく、他のグループがどんな考えなのかを読んでおくなどの約束をしています。

 グループの話し合いをホワイトボードに書かせ、共通点や相違点について比較検討します。全員が解けるという自信がついたあと、自力解決になります。ここまで高めるわけなので、一人一人自力で解決できるようになっています。(とは言え、ここまで見通しをしても支援が必要な子供はいますが・・・)

 こういう指導法での見通しは、今までの見通しの考え方とは違っているということがわかります。見通したことを実際に体験し、比較検討させてから、自力解決という流れです。グループや全体の話し合いまでを見通しという見方もできると思います。

 昨年度の学習指導研修会での授業でも、「子供一人一人に考えの見通しを持たせるための手立てについて」という視点において、自力解決の前までを広く見通しととらえて授業をしました。(ご覧になられた通りです)

 というわけで、見通しについての私なりの実践からの考えを述べさせていただきました。もし、学び合いによる算数指導を進めていかれるかどうかのご検討をなさっている場合は、参考にしていただきたいと思います。

(ここまで)

「問題提示ー見通しー自力解決ー全体解決ーまとめー習熟」というパターン化された現在の指導法では、苦手な子供はさらに苦手意識を持ち、得意な子供はさらに伸びるチャンスを失いつつあります。そして、有効な手立てがないままに、算数の授業が進んでいくわけです。

子供にとってわかりやすい授業、学力がつく授業というものを、授業改善(改革)という点から、真剣に検討し実践していくことが求められています。