2012年11月28日水曜日

学習指導研修会での公開授業!つくる足場の有効性は?


 11月27日、学習指導研修会が行われました。

4年算数「小数のしくみとたし算、ひき算」です。今回の授業では、教育事務所で教科研究員や指導主事の先生方に事前研をしていただくなどのご支援のもと、授業を行うことができました。

この研修会の授業改善策の視点として、「子供一人一人が考えを持つための見通しの持たせ方を工夫する」という内容でした。以前から実践していた、「つくる足場」の指導にぴったりの視点だと思いました。

課題解決型学習の問題点として以下の点があります。
・既習事項を想起できないままに自力解決している児童がいること
・指導目標に即した思考をしないままに全体の学び合いまでそのやり方で考えている児童がいること
・1つの問題数で本時の学習内容をまとめていること(公式化など)

つくる足場の指導では、みんなで本時の問題を解くのに必要な知識、技能、アイディアなどを共有することで、一人一人が本時の指導目標に即した自力解決ができるようにすることです。つまり、みんなで主問題の解き方を考えることが、大きな意味での見通しと考えられます。ですから、前述の視点として、有効な指導方法であると考えています。


本時の目標は、「位取りが異なる2つの小数を,0.01がいくつ分かを考えたり,0をつけて同じ位にしたりして,小数の加法計算のしかたを考え、説明できる。」です。


主問題1は、「水そうに水が3.72L入っています。この中に,1.4Lの水を入れると,全部で何Lになるでしょう。」で、いろいろな気づきを言わせました。
前時では、位がそろっていたのですが、今日は位が違います。筆算で考えるのに、右をそろえて筆算するのか、小数点をそろえて筆算するのかを考えさせました。3年の時にも、1/10の位のたし算で、小数点をそろえるという学習をしましたが、小数第2位までの小数で、しかも位が違う場合にも、同じように位をそろえて計算することが正しいのかどうかという検討をします。

見通しでは、以下のことが出されました。
①0.01をもとにして
②1.4を1.40として考える

①は前時で出されました。②は、小数の意味をとらえていれば出るだろうと予想していました。前時では、それぞれの位がいくつ分かで説明するものも出されましたが、繰り上がる場合は説明がむずかしくなるため、この方法は出ませんでした。

①の方法では、1.4は0.01が140個分ととらえられるかがカギとなりますが、そういう見方の練習を積んできたので、比較的容易に考えることができました。

さて、グループ学習です。


0.01をもとにするやり方は、どのグループからも出されました。


 
0.01をもとにするやり方は、どのグループからも出されました。「0.01が」という言葉が抜けていたグループに対して指摘する場面もあり、説明する力がついてきたなあと思いました。また、1.40にして筆算しているグループもあり、意味づけや実際の筆算で説明することができました。
いよいよ自力解決。主問題2は、   「2.8+5.92」です。主問題1との違いは、位が少ない数が前にきているということです。ほとんどの児童が、説明することができました。
しかし、ここで担任が気づかなかった間違いがありました。
 

 まず,2.8は0.01が280こ分
次に,5.92は0.01が592こ分
 だから,2.8+5.92は0.01が(280+592)こ分で   8.72
                        (872こ分)     
 
という説明をさせているつもりでしたが、ある男子が、
 
 「2.8は0.01が28こ分」と書いていたことが事後研で出されました。つまり、この児童は、
28+592を計算することなく、答えが8.72とわかっているから、同じ答えを書いていたということです。説明のしかたがわかっていても、その説明を根拠にして筆算が正しいという論理的思考になっていないということですね。こういう間違いは、事前に想定内であったはずなのに、見落としてしまいました。意味づけが大事な授業だったので、翌日の算数で事例を提示して説明しました。
 
 
<事後の研究会にて>
 
指導員と指導主事の先生で、抽出児童を観察記録していただきました。その内容を報告して、授業の成果と課題を話し合いました。3人グループでフリートークし、全体交流をするという流れです。
 
 
出された意見や質問など、記録を板書します。それを見ながらの話し合いです。3人グループで話し合うことで、一人一人の先生方が思ったことを自由に話していました。この様子を見ていたら、やはり授業でのグループ学習と同じことが言えると思いました。ちょっと残念なことは、その後積極的に意見が出されると思っていたら、挙手があまりなく、質問中心になってしまったとということです。
 
 
私たち教師は、子供に「間違ってもいいから、自信を持って手を挙げて発言しましょう。」と常に指導していますが、大人の世界でも同じことが言えると思いました。「考える足場」の指導については、いろいろな考え方があると思います。3人グループでの話し合いでは、足場について否定的な意見も出されていたと聞きましたが、全体では出されませんでした。
 
今までにない新しい指導法に出会った時、どうしても否定的に見てしまうのは当然です。自分もそうでした。本当に学力向上につながる指導なのかということです。しかし、自分の実践の中では、子供たちの学ぶ姿勢が変わってきたことや、学力テストの数値が上がっているという実証するものがあります。そういう実践を提案した授業でしたので、賛否両論いろいろなご意見をうかがえればよかったと思います。(事後のアンケートには、書いていると思いますが・・・)
 
本日の研修会を通して、きめ細かな児童の見取りがさらに必要であることや、指導案の書き方の基本、つくる足場のさらなる改善など、いろいろなことを考えさせていただきました。
 
 
 
 

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