2011年10月13日木曜日

太田先生の教えは、永遠に伝わっていく

3年生の算数で、今、重さを学習しています。単元の最後の方に、メートル法についての表があります。1メートルを基準にして、キロは1000倍で、センチは1/10などという長さの関係が、かさでも重さでも同じ言い方をするというものです。たとえば、1L=1000mLとか、1㎏=1000gなどの関係は、すべてメートル法で定められた接頭辞である「ミリ」「キロ」などの意味からくる関係です。

このメートル法を教えていた時、ふと自分が4年生の時のことを思い出しました。4年生の時の担任が、産休をとったために臨時の女の先生が担任となりました。太田よう先生です。退職なさった方で、私たち4年生から見ると、おばあちゃん先生でした。

この先生は、ご年配でしたが、子供の気持ちをつかむのがとても上手な先生でいらっしゃいました。算数の時間は、グランドに出て10メートル四方の正方形のラインを引き、その中で鬼ごっごをさせてくれました。先生はこの遊びを、「1アール遊び」と呼んでいました。当時、なんで算数の時間にグランドで鬼ごっこをするのかわかりませんでしたが、教室の学習より楽しいので、まあいいかと思って楽しんで遊びました。それ以降、アールやヘクタールとい単位が出てくると、必ず「1アール遊び」の時の広さが具体的にイメージできました。「太田先生があの遊びをさせたのは、量感をつかませたかったからだったのか。」と気づいたのは、教員になってからでした。

その太田先生が、メートル法の授業をしていた時、私たち4年生が難しそうにしているのを見て、「こう覚えると楽しいよ。」と言って、次のようなことを教えてくれました。

「キロキロ」と、「ヘクト」「デカ」けたメートルは、「デシ」に見られて「センチ」「ミリミリ」

教室中大笑いになりましたが、私たちはみんなで楽しく唱えたものでした。その後、メートル法が出てくるたびに、この呪文(笑)が頭に浮かびました。そして、今現在、自分が教師として同じことを子供たちにこの呪文を教えると、やはり教室中が大笑いになり、みんなで楽しく唱えることができました。

さらに、このことで興味を持った子供たちは、
「キロの上の単位は何ていうのかな?」「ミリより小さい単位はあるのかな?」
などという疑問を持ちました。私は、あわててネットで調べ、「ギガ」「テラ」「ペタ」「エクサ」「ゼタ」「ヨタ」などの1000倍ずつの接頭辞と、「マイクロ」「ナノ」「ピコ」「フェムト」「アト」「ゼプト」「ヨクト」など、1/1000倍ずつの接頭辞を 黒板に書きました。

その時、ふだん言わないとノートに書こうとしない子供までもが、目を輝かせてこの接頭辞を書きとっていました。
「覚えなくていいのに、なんでノートに書くのだろう?」
と、不思議に思いましたが、これが興味を持って学ぶということだとわかりました。子供たちの、この意欲は、太田先生による呪文や「1アール遊び」のような何気ないことから発しているんだと感じました。毎時間、こんなことをすることはできませんが、教師が子供たちの学ぶ意欲を喚起することが、いかに算数を好きにさせるかを、このメートル法の指導で再確認することができました。

今は天国にいらっしゃる太田先生は、いつも私の中で笑顔で応援して下さっています。ありがとうございます。この子供たちも、いつかどこかで太田先生の教えを伝えていくのでしょう。

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