2010年11月28日日曜日

学習指導研修会&少人数指導研修会


 
 11月26日、小国町立北部小学校の学習指導研修会に参加させていただきました。今年度の学習指導研修会の会場は5校ほどありましたが、算数をやっている学校だったので、北部小学校を選びました。

 授業者はよく知っているK先生!彼のキャラクターは、子供をひきつけるので、どんな授業なのか楽しみにしていきました。

 内容は、6年生の分数のわり算でした。

<問題>
3/5㎡のかべを1/3dlでぬれるペンキがあります。1dlでは何㎡ぬれますか。
(ちなみに、来年度からは、リットルはL表示になります。参考まで)

分数÷単位分数の考え方を説明させるもので、面積図や式により解決させ、かかわり合いながらまとめていくという考えでした。さっそく、問題提示から式をつくり、図を使って解きたいという見通しを持たせました。それぞれがホワイトボードに一斉に面積図を書き始めました。

「さすがに、前時まで面積図をきちんと指導してきたんだな。」
ということがわかりました。(写真参照)

1/3で割るという感覚は、日常ではなかなかそういう場面がなく、最初は困っていた子供が多かったのですが、K先生の一人一人への支援により、1は1/3の3倍だなと気づき、×3をすることと同じだということがわかりました。

しかし、残念なことに、8人学級だったのですが支援に時間がかかり、先生が全体交流をして時間がきてしまい、練習問題までいけませんでした。
「少人数の子供が、どこまで交流できるか見たかったなあ。」
と思いつつ、授業が終わりました。

 今回の授業を自分なり振り返ると、
成果として

1.既習の面積図を積極的に活用しようという意欲があった。
2.図だけでなく、「はじめに」「つぎに」「だから」などのつなぎ言葉を積極的に使い、相手意識をもって説明していた。(このホワイトボードを見ただけで、どういう交流なのか想像できた。) ⇒ 『表現力』

などがあげられる。8名という少人数のメリットを生かして、一人一人にきめ細かな支援をしているK先生の姿が印象的でした。

課題としては、
1.÷1/3を÷3と同じことだという間違った考えをもって、それを説明しようと四苦八苦している男の子がいた。最後に、K先生の支援で気づき5分ぐらいで直した。ホワイトボードなので、全部消してすぐに正しい説明を書いていたが、間違った考えを消してしまったのは、とてももったいない。この間違いを使って、説明させたかった。ホワイトボードのよさと欠点がわかった。

⇒ 『まちがいは残しておく』 ※ちなみに、自分の授業では、ノートの間違いを残しておくようにしている。

2.割り算のきまりを使った方法、つまり割られる数と割る数両方に3をかけて、÷1にする方法が出されなかったが、次時で2/3でわるわり算が問題となるので、この方法が足場となって次時のわり算が簡単に理解できるようになる。
 この方法を出させるには、式をつくる前に言葉の式をつくる時、3/5÷2をさせたら、全員が簡単に解けた。(既習)
本時の「÷1/3」と何がちがうかというと、割る数が分数だからできない。では、整数にすれば割れるのでは?という見通しを持たせる。そうすれば、割り算のきまりから、「同じ数をかけて整数にできないか」という考えから、何をかければよいのかを考えさせれば、同じ数をかかる方法が出されたと思う。そこから、割る数が分数の時は、逆数をかけるという次時のまとめがすっきり落ちるのではないだろうか。

⇒ 学び合いで出させたい考えは、既習をもとにして考えられるようにする


 というわけで、この授業を「足場」のある授業にしたら、どうなるだろうかと考えてみました。

学習活動1(足場をつくる)
主問題1を提示する。(今回の問題1)式をつくるには、どういう問題を足場にするかを考えさせ、整数÷整数にすれば、割る数と割られる数がわかることをおさえる。(言葉の式も提示する)この時、面積図(1/3dlでぬった面積)を提示する。

※整数÷整数、分数÷整数の考えから、言葉の式を導くということを足場にする展開の方が、足場の授業としては、一般的かもしれませんが、上記のやり方は、足場に慣れてきた学級で行われる「与える足場」から「つくる足場」への発展型です。

学習活動2(全体解決)
どうすれば解けるかを全体解決する。その場合、今まで用いた面積図できちんと考えさせる。そして、3倍であることを全体につかませる。また、前述した方法で、割り算のきまりを使った考え方で、÷1にすれば解けることを理解させる

※あくまでも、ここでは教え込みではなく、一人一人の考えを引き出すような工夫が必要。(場合によっては、ワークシートに書かせるなど)

学習活動3(自力解決)
類似問題で、自分のやりたい方法で、説明させる。(まず、次に、だから・・などを用いる)
※ホワイトボードでも、用紙でも何でもよいが、主問題1をしっかりと足場にできるように、板書をスパイラルに活用させる。

学習活動4(交流とまとめ)
小集団でも、ペアでもよいので、交流させて考えを説明させる。そのあと、教師がしっかりと考えをまとめていくが、主問題1である程度考え方はまとめてあるので、時間がかからないよさがある。

学習活動5(練習問題を解く)
説明をさせる問題を1問ぐらいで、あとは普通の計算問題を数問。
※終わったら、自由交流して答えを確認したり、わからない子にヒントを与えたりする、発展問題を解かせるなど、クラスの実態に合わせて活動を考える。

最後に、次時の予告をする。この時、「どんな分数でもできるよ」という子供が出てくるはずである。そのことを、次回の足場にしていく。

 以上、足場風にアレンジしてみました。こんなふうにすれば、効率的に時間を活用できるし、説明もきちんとでき、わかる授業になると思います。足場の授業をするようになってから、教科書に足場が載ってあれば使いやすいのになあと思うことがありました。
 しかし、自分で足場をどういうふうにしていくかを考えるのも、楽しみになってきました。

 読者の方々で、足場を実践してみて、有効だったことなど教えていただければありがたいです。

1 件のコメント:

算数学び合い研究会 さんのコメント...

ちょっと長文過ぎました。最後まで読んでくださった方、お疲れさまでした・・ありがとうございます。