2012年12月8日土曜日

渋谷区T小学校の公開研究会から学ぶコト

言語活動の重要性を追究してきて,8ヶ月が過ぎようとしています.本校の今年度の研究は国語科に絞られ,まずは「言語活動」とは何かを教員全体で理解することに重きが置かれています.

そんな中,本日,東京都の小学校にて開催された公開研究会に参加する機会がありました.テーマは「言語活動の充実」です.国語科はもちろんのこと,本年度は算数と理科にも幅を広げて,言語活動を追究してきたとのことです.

事後の研究会にて,文部科学省の水戸部先生,笠井先生,教育政策研究所の角屋先生らのパネルディスカッションがありました.そこで,いくつかの示唆に富んだ提言がなされました.

○角屋先生(理科)
「言語活動=話し合いや説明をしなければならない」という強迫観念にも似た図式が完成されていないか.言語活動をさせることが大切なのではなく,「どんな力がつけたいのか」が優先されるべきである.つけたい力と,説明,話し合いが関係していなければ,何の意味も持たない.「目的に会わせて的確に表現すること」の重要性.自分の考えを持つには「何を手がかりにして考えを持つべきなのか,足場を明確にして,考える手がかりをしっかりと与えてあげなくては,思考力は育たない」 .「自力で書かせ,話し合いをさせれば力が伸びる」というのはどこまで,本当なのか.日常にそれが蔓延していないか.
「モデル」と「自分」を比べて,「何が違う?」と問いかけ,比較検討力を伸ばす.既有の経験,知識を生かして,類推的に思考する→類推したものと実際を比較する.中途半端な見通しで「自力で解け」と投げかけてもしょうがない→足場を等しくした上で・・類推,比較していく力が,言語活動の充実に向けて大切だ.

○水戸部先生(国語)
言語活動充実の要として「国語科」がある.これまで「段落毎,場面毎に丁寧に読み進める」ことが,どの子どもにも優位に作用し,じっくりと覚えることができると言われてきた.しかし一方で,子どもの思考や興味の広がりを「これまでの国語科の学習指導」が阻害していた可能性は否定できない
これからの国語の言語活動は,「単元を貫いたシンプルなねらいを明確化」「子どもが主体者となり,単元のスキームが描く方向・ゴール像を教師/子どもが意共有した学習活動の設定」「子どもの必要感を大切にした指導の重視(交流させるために,グループ活動を取り入れるのは教師の都合.そこに子どもが必要感を持っていなければならない)」「膨大な資料の中から情報を取り出し作り上げていく力」「言語活動を通して作り上げたものをoutputする機会(自分達が取り組む言語活動の目的意識を明確にする)」が重要だ.そして,何より学力観の転換(パラダイムシフト)が教師に必要.「言語活動は授業時数を長くかけてしまう?→ここでは何を教えるか→精選」「言語活動を設定すると個人差が出て指導が大変?→これまでの教師主導の指導が故に個人差が表出しにくかった.個人差が表出することは指導のチャンスだ」.
目の前の子どもに付けたい力は何か.根本を問いたい.教科書の問い,答えを教師とともに読み進める力をつけたいのか.主体的な学びを追究する子どもを育てたいのか.我々が 今こそその問いに応え.一歩,半歩でも前にでたい

○笠井先生(算数)
算数科の言語活動では,「考えを表現する→伝える→考えを深める」流れが必要.表現の手段は「図や絵,グラフ,式」等である.しかし,表現したことを「伝える」には,「伝える意味」を持たせなければならない.「伝える」という学習活動の主体は,「伝える本人」「伝えられている他者」なのである.「児童相互の関わり合い」を重視した言語活動を設定すれば,「算数科の思考・判断・表現力が育つ」というのは,十分条件にはならないのである.「友達と話し合ったから,新しく知れたな.よかったな」という話し合いの有用感,満足感が前提になければ,どんな言語活動も意味をなさない.クラスみんながわかることができればいいな,というクラスの土壌を作り 「友達の理解に応じて,友達に自分の考えを説明したり,納得したりできる子ども」の育成を目指したい.また,数学的に表現し,考えを深めさせるためにも,一人一人の実態に応じて,表現の手段に多様性を与えたい.
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「算数の考える足場」の授業報告からはほど遠くなりましたが,以上の提言を「足場」の授業に当てはめていくと,いくつかの共通事項が浮かび上がります.
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【足場の授業のスキーム】・・合っていますか?
⑴問題①提示(問題との出会い)
☞子どもの興味関心にそった課題提示
⑵ めあての確認
☞教師と子どもが,ゴールを共有
⑶見通し
既習(足場)を生かして類推する力をみんなで共有する(得意な子は,説明を通して,わかってほしいという願い⇆苦手な子は,説明を何とか聞き入れて,気付いてやろうという願いのシンクロ)
⑷協同解決(グループ学習)
☞みんなでわかろう,みんなで達成しようというクラスの風土.個人の考えを持ち合い,多様な考えを認め,融合させる(図,絵,式,説明).目的意識の高いグループ活動の展開.
⑸全体共有
考えを伝える.傾聴する力を通して,多様な考えを知る.
⑹ 問題②提示
協同解決した問題を手がかりとして,解法を類推し,自力解決を図る
⑺適応題/まとめ
みんなで解いてわかったことをまとめると共に,学習のゴールに向かうために大切だったことを板書の記述などを基に考え,まとめる.
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このように,今日お聞きした言語活動全体で大切なことの一端が「足場の授業」にはちりばめられています.これまでの「課題解決型授業にも,そのようなポイントはみられたのではないか」という疑問への問いはわかりません.しかし,確実なのは「世界や日本を背負う人材を育成するために必要とされる課題発見力,解決力,表現思考力,協同性」の伸長を「足場の授業スキームは確実に保証している」ということです.今,知識基盤社会という社会の変化に伴って学力観の転換(パラダイムシフト)が教師に求められているのです.教師も,社会が求める人材像を今一度再考し,その育成のために必要な情報を収集/選択する力が求められていると改めて感じました.言語活動の充実,そして足場の授業の充実のためにも,自身の創造的かつ確実な実践を,ベテラン先生も若手もoutputしていければ楽しいですね.









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