2011年2月13日日曜日

答えは対話の中に、教えずに教える

先日の職員会議でのこと。

校長先生からのご指導で、1月1日づけの朝日新聞からの記事を紹介していただきました。
「答えは対話の中に、教えずに教える」というタイトルでした。


(一部抜粋)北九州市立貴船小学校。担任の菊池省三先生(51)は、子ども同士の意見のキャッチボールで、どの子にも自信をつけさせる「カリスマ教師」だ。毎週のように参観者が訪れ、講演依頼も絶えない。

 十数年前、崩壊した学級を受け持った。「こう言ったらどう思われるか」。子どもたちは周りの反応を怖がり、思いを口にできない。

 まずスピーチを採り入れ、考えを持つ大切さと、伝える手法を教えた。次は、ディベート。賛否の立場を決め、意見をぶつけあう訓練だ。

 だが、「社会で生き抜くためには何か足りない」と思い始めた。言いっぱなしのスピーチでも、言い合いのディベートでもない。相手の意見に耳を傾け、自分のなかで消化し、新たな意見を投げかける。その繰り返しが、みんなを高め、よい人間関係につながることを伝えたい――。
(中略)一人ひとりの声が重なり、ふくらみ、響き合い、みんなの学びとなって対話が自転していく。先生は腕組みをし、うなずいているだけだ。

 教師の「教え込み」から、子ども同士の「対話」へ。その先に広がるのは、新しい価値をともに創りあげる社会という未来図だ。




詳しくは、記事を参照してください
http://www.asahi.com/special/plus/TKY201012310282.html


 うちの学校でも、道徳を中心に各教科で対話のある授業を目指しています。この1年間、「言葉のキャッチボール」という発言の表を掲示しながら、対話のある授業をめざしてきました。

 積極的に発言や反応ができる子供が数名。たまに、挙手する子供が半分。あとの子供たちは、いわゆる「お客様」状態。指名しても、表現できずに互いにストレスがたまってしまう・・・という状態が続いた。

 数日前の分数の授業でのこと。黒板の数直線上のある数値を指し、「分数で表わすと、どんな分数になるだろう。」と発問しました。(↓は2分の3を指している)

 ここでの足場は、前時に学習したいくつに分けたうちのいくつ分という表し方(言い方)にしました。本時は、1より大きい分数の表し方を学習するのですが、簡単にできておわりだろうなと思い、足場もそこそこに主問題に入りました。

 ところが、クラスのほぼ全員が4分の3という答え。理由を聴くと、
「2mを4つにわけた3つ分だからです。」
ということでした。

 なるほど。子供たちの感覚っていうのは、そういうものなんだ。と、わくわくしてきました。なぜ、わくわくしてきたかというと、対話のチャンスだからです。予想通り、足場に戻って考えさせると、ある子供が、
「2分の3じゃないかな・・。」
とつぶやき始めました。

そのつぶやきに誘われるように、他の子供がどんどん意見を言い始め、自分で説明しようと、活発な挙手。
「おお、これが対話なのかな」
と、こちらもやや興奮気味になってきました。

 結果は、分数の既習事項からすると2分の3だという考えにまとまりました。この時は、教師はほとんど教えていません。自分も対話の感触が得られたかなと喜んでいましたが、やはり気になったのは、ほとんど反応できずにいる子供が数名いる・・ということです。この子供たちは、今何を解決しようとしているのかすらつかめていないことが多い。わからないことが、わからないとでも言うべきでしょうか。

 どのクラスでも、交流や対話に参加できずにいる子供がいると思います。小集団にすることや、途中で教師が話し合いの内容を説明してあげるとかなどの手立てが必要なんだろうと思います。

 この子供たちも一言でいいから参加して、自分が意見を言ったことが話し合いで役にたったという自信を持ってもらいたいと思っています。

 隣のクラスの担任の先生が、学年の前で、
「全員参加の授業をしてみませんか。」と言っていました。全員参加型の対話の授業です。自分も、そんな授業ができたらと思っています。


そういう意味で、朝日新聞の記事を思いだし、改めて読んでみたところでした。

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