2013年12月16日月曜日

「ピラミッドの秘密」その2:子どもたちの反応

「授業がとても楽しかった」
 
「わかりやすかった」
 
「意味がわかった」
 
 
たった1時間だけの授業で、これだけの感想を持たせていただきました。日常的にこんな授業をしてみたいですね。
 
 






2013年12月15日日曜日

「ピラミッドの秘密を見つけよう!」



12月13日、石川県から神田先生をお迎えしての示範授業と講話という算数研修会がありました。もちろん、横浜国大の石田先生の講話もありました。

 赤と白の正方形を積み上げた時の正方形の数を、きまりを見つけて求めるというものです。(指導案参照)
最終的に100段の枚数を求めるということでした。まずは10段できまりを予測させます。
                                                             
 




 
 1+3+5・・・という横に数えていく方法や縦に足していく方法などがほとんどでした。
 
しかし、10×10というチーム、または表に書いて規則性を見い出したチームがいました。この時、この考えを出したチームは、全員がその理由を説明できるぐらいに理解しています。これが学び合いのよさであると思います。等積変形の考え方を生かして、10×10に気づいたというチームには驚かされました。
 さらに、たし算でやったチームについても、最終的に10×10になるということを確認させ、すべて同じ結論になるということを学びました。
 
 この考えを足場にして、三角形でも同じ結果になるということで、学んだ考えを発展させることも経験しました。
 
 この授業では、数学的思考をゆさぶる場面がたくさんありました。これが言えれば、こっちも同じことが言えるという算数ならではの数理のおもしろさに触れることができました。
 
 ある女の子が、授業後に言いました。「今の授業、もう一度やりたい!」
 
 この一言に尽きますね。
 

2013年12月10日火曜日

割合の難しさ

割合は、高学年で最も難しいと言われる単元です。この単元を、石田淳一教授の著書の通り、進めてみました。もとにする量とくらべる量さえわかれば、演算決定が簡単になります。線分図のかき方をしっかり指導すれば絶対うまくいくというものです。

さて今日は、割引きの問題。予想通り、割引きの意味やくらべる量はどこなのかがなかなか理解できないところです。

しかし、みんなで又はグループで学び合うことで、一人一人が理解できるようになりました。

グループの考え方は、ホワイトボードのように二通り。割り引く金額を出して定価から引く方法と、1から割引き率の小数を引いた数を割合として定価にかける方法です。どのチームも、どちらかの方法で解きました。つまり、全員が解けたということです。
次に、自力解決ですが、今度は割り増しの考え方です。くらべる量がもとにする量より大きくなるので、増やすということが初めての経験になります。予想通り、引いてしまう誤答もありましたが、何とか全員自力解決できました。
最後の写真は誤答ですが、割引きと割り増しの違いを理解するのに役立ちました。間違いは宝だ!という意味も、理解できたと思います。




2013年12月7日土曜日

算数研修会のお知らせ

12月13日に算数の研修会を行います。全国的に学力テストで注目されている北陸石川県で、過去指導教諭という立場で学力を向上させた神田恵子先生が師範授業をして下さいます。『学び合い』や、『小集団交流のあり方』、『学力向上』など、算数だけでなく広く教科指導に活用できる研修内容になると思います。

1 期日  平成25年12月13日(金)

2 場所  授業:米沢市立西部小学校5年1組、研修会:第1理科室(予定)

(1)  示範授業(指導者:神田恵子先生) 13:45~14:30

(2)  研修会(15:15~16:45)

・開会                  15:15

・授業者紹介(校長)       

・講話(神田恵子先生)・質疑    15:20~16:00

・講話(石田淳一教授)・質疑    16:00~16:40

・お礼の言葉(校長)        16:40

・閉会                   16:45

参加ご希望の方は、メールまたは直接西部小学校まで

2013年12月2日月曜日

中央小研究発表会のご感想(投稿)

小松市の先生からの投稿です。11月29日、石川県の辰口中央小の研究発表会がありました。10月におじゃました時も、素晴らしい授業を拝見しましたが、さらにレベルアップした授業だったと思います。研究発表会に参加なさった先生からのご感想が届きましたので、アップいたします。



(ここから)

辰口中央小の研究発表会に行ってきました。
いしかわ学びの指針という県の指定を受けた研究発表だったので、たくさんの方が来られていました。

公開授業は6年生の「円の面積」の発展コースを中心に見ました。「東北学び合い研究会」のブログにも紹介されていた羊が小屋につながれた状態で牧草を食べる面積を考える問題でした。「そろそろ発表しませんか」や「もう一度だれか説明してください」など子どもたちから提案・要求が出せれていたり、子どもたち同士で発言をつなごうとする意識が見られたりして、学び合いができつつあるのを感じました。ただ、見通しの場面で考えを出しすぎてしまったため、後のグループ学習が今一つ盛り上がらなかったようにも感じました。発展コースの最後には条件を変えて自分たちで問題を作るというものでした。発展・活用する力につながる大切な活動だと感じました。

石田先生の講話では、「学び合いのある算数授業づくりの手立て」という演題で、40分ほどお話をされました。協同的な学びを軸とする授業のよさを映像等を交えながらわかりやすくお話していただきました。
特に印象的だったのは、学び合いをするには聴くことがとても重要であるというお話で、聴くことには
①ありのままに聴く(客観的に)
②背景・意図を考えながら聴く(共感的に)
③関連付けて聴く
④進展を考えながら聴く
の4点が考えられ、この4点を意識して聴くことができる子どもを育てる必要があるということでした。この前、石田先生を送り迎えする車の中でお話しした時も、これからは子どもたちがどういうことを考えて聴いているのかいろいろな仕掛けをつくって研究していきたいということをおっしゃられていたので、特に印象に残りました。
それと、最後に学び合いの授業を作り上げるには、子どもの聴き方・話し方を育てることと教師の働きかけ・言葉かけを工夫することが肝要であるとお話されたこともとても共感できました。
今回お聴きしたお話をもとに、今年度の研究や来年度の研究を考えていきたいと思います。


(ここまで)
話を聴くことができないと、学び合いになりません。基本となる「聴く」を大事にすることが大切ですね。参考になりました。投稿、ありがとうございました。

2013年11月29日金曜日

新しい算数研究(東洋館)「学び合いで説明する力を育てる」


 
 
山形では、雨が雪に変わりそうな天気です。「いよいよ本格的な冬かな。」と思うような夜空でした。
 
さて、このたび、東洋館出版の新しい算数研究という書籍に、記事が掲載されました。10年ほど前、明治図書の算数専門誌に掲載されたことがあったのですが、今読み返すと、テーマに沿っていないような投稿内容でした。今回は、「説明をたのしむ」というテーマでしたから、自分の実践にぴったりでした。
 
内容は、5月に行った算数研修会の授業です。研究主任い、この時の授業記録をしっかり書いていただいていたので、とても楽に記事を書くことができました。
 
この記事を読んでいただいて、学び合いのよさが少しでも伝わればと思います。
 
 
 
 
 

2013年11月22日金曜日

説明する力をつける/学習指導研修会



 
本日は、学習発表会!無事に終わり、午後は市内の南部小学校にて、学習指導研修会に参加しました。
 
授業は、5年算数「割合」の活用問題。目標は、「説明する」という内容でした。質疑の時から、説明とは、何をどこまでさせるのかということで話題になっていました。
 
提示した問題は、カレーやラーメンの材料を、20%OFFのA店と、200円を境にして値引きする金額を変えているB店とで、どちらが安いかという内容でした。日常、よくありがちな興味ある問題設定でした。
 
最初は、自力解決。でも、先生は「相談していいよ」という声がけをしていました。結局、相談している子供はいませんでした。(たぶん、相談に慣れていないんでしょう。)
 
次に、班にもどり自分の説明をグループで伝え合い。しかし、友達の意見に対してどのように反応してよいかわからない子どもたち。
 
全体の学び合いでは、2,3人の子供のワークシートを書画カメラでモニターに映し出し、説明させていました。先生は、説明のよいところに赤を入れて強調していました。しかし、聞いている子どもは、文章が長い説明だったせいか、よさがわからないようでした。
 
数値を変えて説明させる練習問題では、自分なりの説明のしかたで終わっている。これでは、最初の自力解決でやった説明と変わらないということです。何をさせるためのグループ交流か、何のための全体の学び合いなのかということです。必要感のあるグループ学習にするためには、グループ学習のしかたを仕込む必要があります。ただ「グループで話し合いなさい」と言うだけでは、何をしてよいかわかりません。伝え合うことを、しっかりと教えなければなりません。しかも、日常から授業に取り入れていなければ、グループ学習はうまくいきません。
 
全体の学び合いでも、共通点や相違点に気づかせる手立てがないと、なかなか自分の表現に活かすことができません。そういうことを、自ら学ばせるには、友達の考えをつなぐことができなければなりません。それも、日頃の授業でやっていないとできないと思います。
 
説明の仕方も、提示して書かせたり、必ず入れる言葉や文を提示するなど、全員がきちんとわかりやすい説明ができるようにしなければなりません。
 
活用力と説明する力は、深く関連づいています。説明する活動が、ますます重要視されている現在、教師がどのように説明させるのかをしっかりと捉えておく必要があります。
 
※板書は、指導主事がうまくまとめたものです。とてもわかりやすいですね。

2013年11月16日土曜日

算数学び合い塾

本日、横浜国大の石田先生を講師に、学び合いの勉強会が行われました。

休日にもかかわらず、全席が埋まるほどたくさんの先生方に集まっていただきました。

石田先生は、石川県の先進校の授業を中心に、学び合いのあり方をお話しくださいました。学び合いの算数指導を実践する先生が増えることを期待します。

2013年11月13日水曜日

石川県の小学校に学ぶ③能美市立辰口中央小学校


10月17日(木)

<1校時 2年1組「かけ算(5のだん)」>

「前に出ます」、「お願いします」、「つなげます」「式を言います」「計算をします」「くわしく言います」「理由を言います」「自分の言葉でいいます」など子ども自らの意見のつなぎがすばらしい。

◎だまって手を挙げない、すぐに相談する、必ず理由を言わせる、言えなくなったら「助けます!」という学びのリズムがしっかり定着している。

◎次々に考えをつなぎ、自らきまりを見つけようとする姿勢が見られた。

低学年でも、意見をつなぐ学び合いが十分にできる

<2校時 6年のびのびコース(コース別)「面積」(活用)>

<3校時 6年チャレンジコース(コース別)「面積」(活用)>めあて;つながれた羊が草を食べる面積を求めよう!

◎T「相談、20秒!」の声がけで、集中して全員話している。できたグループは、自主的に「できました!」「そろそろ発表できます。」「式と答えを言います。」というすばらしい反応ができる!

○子どもたちをゆさぶる問題提示に対して、子どもたち自ら気づきの挙手ができる。

○算数的用語を使って、正しく言葉で言わせている。

○式の意味を相談させて、一人一人にしっかり意味理解させる。

発表「~していますね。」⇒全員「ハイ!」

◎グループでホワイトボードに書いた後、自ら4人全員で説明の仕方を検討している。

 


<4校時 3年4組「間の数」>

○木の絵と問題文を提示しただけで、わかったことや習ったことと関連した気づきをどんどん言える。

◎グループ学習が終わったグループは、「そろそろ発表しませんか」と他のグループに自主的に問いかけていた。

○「あー」「なるほど」「うんうん」などの反応が自然にできる。

○「図を使います」に対して、「どんな図ですか?」という質問。「線分図を使います」というやり取りが、子ども同士で行われていた。

◎ノートに、友 という文字!これは、友達の考えを書いているという目印。

○友達が間違ったら、「ドンマイ」

 

<5校時 4年4組「がい数」>

○子供自ら「相談する時間をください!」という相談することの必要感が見られた。

○「前に出ます」 全員「おねがいします!」

○自力解決での石田先生の声がけ「答えが違ったら、話し合うこと!」

 

<6校時 5年1組「分数とわり算」

○「自分の言葉で言います」「相談しませんか?」と自ら反応している。




<この日の勉強会での話題>石田先生ご指導を含む

・形式的な反論をくずす。

・授業初めから、コの字やグループにしてみんなでわかろうとする「チーム」にする。

・ホワイトボードは、消せるよさと消えてしまうデメリットがある。

・自ら問いを持ち、みんなで解決しようという意欲がすばらしい。

・まちがいを指摘し合える自力解決が理想。

・授業前に、昨日やったことをグループで言わせる。



 

2013年11月10日日曜日

石川県の小学校に学ぶ②小松市立苗代小学校公開授業


10月16日(水)

<5校時 小松市立苗代小学校6年2組「比例」(グラフを読み取って説明しよう)※小松市教育会算数部の公開研>

○グラフ提示からの気づきをどんどん言う。

○みんなに説明する時は、「~ですよね?」「はい」

◎グラフが平らな意味や交わっている意味を、どんどんつないで説明している。

◎「聞いてください」「理由を言います」・・・の日常化

○全体⇒グループ⇒全体 とうまく使い分けている。

○全体の学び合いでは、後方の子供たちが黒板前にでる。(話し合いに全員参加意識、全員が見える)

◎自分の考えを伝えよう、友達の意見を聞こうという姿勢がすばらしい!

○4人で協力して発表している。まず~、次に~など分担している。

○どんなことができるようになったの振り返り。

時間を忘れてしまうほど集中した雰囲気や意見をつなごうという意欲は協同学習の模範であった。

≪事後研究会;参会者からの意見≫

○わかっている情報と既習をもとにして、意見をつないだり反応したりする力がすばらしい。

●傾きという言葉をしっかり取り上げていれば、さらに理解が深まったのではないか。

○自力解決でも、わからない時は相談してよいということなど、指導観を変えていこうという提案である。

○グループ学習では、説明の仕方を話し合っている。(いろいろな言葉で)

○「気づき」が見通しにつながっている。

●個人とグループの切り替え、ノートにまとめるなどのフィードバックはどうなのか?グループでも、説明を聞いているだけの子どもがいた。

○グループみんなの理解が、全体の理解につながっている。(表現力、算数的用語、習ったことを使って・・・)

●振り返りは、数学的な視点が必要。

●個に戻す場面も必要ではないか。

●ホワイトボードに小さい文字でたくさん書いていたが、キーワードだけでもよいのでは。何を書かせるがをしぼる。

既習との関連からの気づき、意見のつなぎ方はすばらしい!課題は、ホワイトボードの使い方(書かせ方や提示の仕方)や個の学びの時間や場の設定。




 

 

2013年11月6日水曜日

石川県の小学校に学ぶ①小松市立第一小学校


 先日、石川県の3つの小学校の授業を見る機会をいただきました。どの学校も、お馴染みの石田淳一先生がご指導している学校です。3日間で、15の授業を参観させていただき、写真やビデオを撮らせていただきました。どの授業も、石田先生の“学び合い”の考えを取り入れたものばかりでした。15の授業のうち、公開授業が1つと、私(田井地)が授業させていただいたものが1つ含まれています。
 まず、初日午前中に見せていただいた第一小学校の授業実践です。


10月16日(水)小松市立第一小学校◎すばらしい!○なるほど ●課題)

<1校時 3年3組「三角形」>

 2つの円を交わらせ、交点と2つの中心を結ぶ直線を引き、半径を利用して二等辺三角形をかき、気づいたことを話し合う授業でした。

○提示に対する反応が、積極的であった。

●すべてのグループが発表していたが、同じ考えのグループは発表してなくてもよいのではと思った。

【全体の学び合いの効率性】

 

<2校時 2年1組「3のだんをつくろう」>

◎3人ずつ乗っているコーヒーカップの絵を見せただけで、「3人乗っています」「4台あります」「3人の4つ分です」「式を言えます」という活発な意見が飛び交う。(気づき)

◎相談タイムの後、子どもたちから「そろそろ発表しませんか?」という発言。これには驚きました!

 

<3校時 1年4組「たしざんのしかたをかんがえよう」>

◎青色8台、赤3台の車の絵を見せただけで、反応がどんどん出る。絵を見せただけでの気づきがすばらしい。

◎立式までを自分たちで行い、確かめも自分たちでできている。1年生でここまできるんだ!(驚)

○数字を替えて何度も言わせる。「10のまとまりをつくるために3を2と1にえわける。8に2をたして10。10と1で11」(確実な定着)

○自力解決時も1つ1つ確認しながら進めている。

 

<4校時 3年1組「三角形」(1校時と同じ授業内容)>

○意見につまった時、「助けます!」という反応。

◎「くわしく言います」「説明できます」「もう一度言います」という、つなぐ言葉もたくさん出すことができる。

○前に出て説明する時、「前に出ます」「お願いします(全員)」リズミカルな授業展開。

○「~ですよね!」「はい(全員)」互いのやり取りもテンポよく進み、全員理解につながっている。

 

低学年の伸びがすばらしい!と石田先生もおっしゃっていました。【学び合いは、低学年から始まっている】

2013年10月31日木曜日

「学び合い」勉強会開催のお知らせ

日々寒さを感じる今日この頃です。
さて、11月も学び合いの勉強会を、下記の内容により開催いたします。職場の先生方をお誘い合わせの上、ぜひ参加して下さい。

1.期日  11月16日(土)

2.時間  9:00~11:00

3.場所  米沢市立西部小学校第一理科室(玄関入り、そのまま3階へ)

4.講師  横浜国立大学 石田 淳一 先生

5.内容  考えをつなぐ学び合いのあり方、グループ学習、自力解決の考え方、評価などをビデオ      を通して、学力向上のための算数指導についての講話を聴く。

6.その他  ・参加無料
        ・参加ご希望の方は、vaio0819@yahoo.co.jp 西部小 田井地 まで
                                        
             

2013年10月27日日曜日

学び合いは、人間力も身につける!


 
横浜国立大学の石田淳一先生と石川県の神田恵子先生共著である「学び合い」の本が出ました。タイトルには、「必ず成功する!」という文言。割合は、これからの単元なので、ぜひ活用したいと思います。
 
この本の中に、かなり共感する部分がありましたのでご紹介します。
 
(ここから)
 
協同学習は、まさに人間力を育てる教育であり、グループで相談したり話し合ったりすることは、思いやりの心、仲間を尊重する心を育てます。協同学習を行うのは、仲間とつながりみんなが幸せになることを目指しているからです。(略)
 
(ここまで)
 
今まで、学び合いのある授業実践をしていて思ったことは、子供たちがどんどん変わっていくことです。子供たち同士が考えをつないでいく時に、友達の意見を聞いて考えが変わったという意識が高まり、それが互いの信頼感につながる。
 
人間は、人と関わらないでは生きていけないし、人と関わりながら幸せを追求していくものだと思っています。そういう意味から、石田先生のこの文言は、まさに自分が目指していく道だと感じました。
 


2013年10月26日土曜日

学び合いで自ら課題と見通しを持つことが、解決の意欲と考える力を身につけることにつながる!

算数で「学び合い」と言うと、自力解決後にそれぞれの考えを出し合うイメージがありますが、学び合いは、授業の導入場面から始まっています。

そのよい例をご紹介します。

三角形の内角の和が180°、四角形は360°であることを奇習として五角形以上の多角形の内角の和を求めようという時間です。

黒板に一般的な五角形を描きました。子供たちからは、「気づきがあります!」という全員挙手。五角形の辺や角、頂点が5こずつあることなどが出されました。さらに、三角形と四角形の内角の和を学習したことを使って、五角形も求められるという意見。しかし、角については360°までしかイメージができない子供が、
「360°より大きくならないから360°だよ」
という意見が出されました。この考えに対し、
「角度は、360°より大きな角がある」
との反応が多く、三角形と四角形の内角の和を活用してみようという見通しが立ちました。

ここまでの教師の働きかけとして、
「習ったことだね」「なるほど」「意見をつないでみよう!」
という声掛けしかしていません。

学び合いを実践していくと、子供たち自ら課題意識を持ち、解決の見通しをもつことができるようになります。

さらに、
「180、360と2倍になっているので、五角形はその2倍だから720°になりそうです。」
という見方の子どもに対して、
「180ずつ増えていくから、五角形は四角形の360に180をたせばいいと思います」
という見方が出されました。

この時点で、どの子供も早く解いてみたいと意欲満々。
そこでグループ学習へと入りました。

 
グループ学習では、子供たち自ら具体的な見通しを持ったことで、どのチームも三角形や四角形を利用した考えで、しかもすべて正解。
 
全体の学び合いでは、ホワイトボードを見ただけでわかるので、あえて発表はせず、共通点や相違点に目を向けさせた話し合いにしました。【全体での話し合いの効率化】
 
この後の学び会いもスムーズに進みました。やはり、授業の導入で学び合うことで、自分たちで解決する自信につながっていくのだと改めて感じました。

2013年10月25日金曜日

学び合いのよさと課題

 
先日、公開研が終わりました。参会者の先生方から、貴重なご意見をたくさんいただきました。本当にありがとうございました。今後の算数指導に生かしたいと思います。

さて、今日の算数は、四角形の内角の和が何度になるかを考える問題です。前時の三角形の内角については、「切って合わせる」「角度を分度器で測る」「折って合わせる」などの見通しのもと、180°であることを見い出しました。

黒板に、「四角形」とだけ板書しました。
子どもたちは、「気づきあります!」とほぼ全員の挙手。既習との関連からの気づきを指導してきたからでしょう。


写真の板書のように、四角形について本時の課題に関わることがたくさん出されました。この時の教師の声がけとしては、「今日は、角度に目を向けてみて」ということだけでした。

学び合いに慣れてくると、友達の考えをつないだ発言ができるようになり、自分たちで課題を持つことができます。

さらに、見通しでは、正方形も長方形も、三角定規でつくった四角形でも360°になることを発見しました。しかも、対角線という用語も出されたので、今日は子供の意見をつないでいくだけで、授業が成り立つのだろうと思っていました。

そして、チーム(班ではなく、チームに改名)ごとのグループ学習に入りました。


 
話し合いの後、蓋を開けてみたら、実際に測ったり四角形を切って合わせてみたりしたやり方では、360°にはならない場合もあるという結論が出たチームや、360°になったチームが混在していました。
 
「いったいどっちが正しいんだろう?」
という雰囲気になったところで、あるチームの考えを発表。
 
対角線を2本引いて、三角形が4つできるから180×4=720で、中心部に合わさっている4つの角が360°なのでそれを引くと、720-360=360°
 
この説明を聞いて、どんな四角形でも同じことが言えることを確認しました。ところが、同じようなことを考えたチームの考えを発表させました。
 
対角線で分けると外側は、45°が8つ分だから360°という考えを発表していましたが、なかなかみんなにうまく伝わらずにいましたが、最終的に正方形でしか当てはまらないということになりました。
 
結局、対角線を1本引くと180°×2だから360°という結論に達しましたが、ここまでくるのにチームの話し合いと、全体での話し合いとで時間がかかりすぎてしまいました。
 
ということで、学び合いの授業では、友達の考えをどんどんつないでいけるし、全員参加型の授業になるというよさがありますが、時間がかかるなどの課題も見えてきました。その分、自力解決の時間が短くなることもありました。全体の学び合いでの発表などを効率よく行うことが大切です。もちろん、効率のよい学び合いの事例もたくさんありました。
 
今後、考えをつなぎながら効率よく学び合いができるようにしていきたいと思います。
 
最後に、公開研の時、参会者の先生方から、
「ホワイトボードの文字が後ろから見えにくい」とのご指摘がありました。
石川県の学校では、後方の子どもたちが黒板前に集合していたのを思い出し、前に出しました。ホワイトボードがよく見えるので、しっかりと考えが持てるようになりました。(成果です!)
 
 
 
 
 
 

2013年10月15日火曜日

分科会でのご指導

  
公開研究発表会が終わりました。
指導助言内容をまとめてみます。

⚪︎緊張の中にも、活発な発言が見られた。他教科を含めて、日常の力が活かされていた。
⚪︎段階をふんで、自然に見通しが持てる。学び合いのモデルが示されていて、学ぶ視点を与えることの大切さを感じた。
⚪︎グループ学習のホワイトボードは、共有注視のツールとなり、練り直しがしやすい。課題として、考えが残らない、見えにくい、役割分担ができてしまう。しかし、全員が考えを出し合っていこうという姿勢が見られ、解消していた。
⚪︎子供自身が、学び合いのよさを実感してきている。
⚪︎図や数式、言葉で説明していくスキルは、今後も大切にしたい。

以上でした。
次回は、横浜国立大の石田先生に同行させていただいた、石川県の先進校視察をまとめ次第ご報告いたします。

2013年10月6日日曜日

米沢市公開研究発表会

10月11日、米沢市公開研究発表会が開催されます。ご参加の皆さん、ご指導よろしくお願いします。

2013年9月19日木曜日

『考えをつなぐ授業とは』 TTとして授業のご指導!「(横浜国立大学石田淳一先生)

9月12日、本校に横浜国立大学の石田淳一先生がご指導にいらっしゃいました。

今回のご指導の特長は、授業のご指導として、直接児童に関わってくださるという点です。授業が終わってから、事後研究会でご指導いただくことはよくありますが、TTとしてのご指導というのは、あまりないかと思います。

授業者の先生方に聞いたところ、直接その場で適切な指示や発問をしていただくと、とてもわかりやすいという感想が多かったようです。(この時の様子は、NHKで取り上げられましたので、後日アップしたいと思います)

発問や指示だけでなく、学び方についても子供たちに指導していただきました。以下、石田先生の授業での声がけです。

3「円と球」】

(子供たちは、円の中心を指で指している)

・習ったことを使って言えないかな?

・円を折るところはどこでもいいですか?

・「びったり合わせる」ってどういうこと?

・「ぴったり」を使って言ってみて。

・(折る)回数を何回って言ってあげて。

・「ここ」って言った時と比べて高まった?

・みんなの力で進めましたか?

・最低何回折ればいいの?

・ひとりだけわかってもだめ。グループみんながわからないと、いいグループとは言えないよ。

4年「面積」】

・もっと詳しくできないかな。

・さらにつなげられない?

・習った言葉を使って言えないかな?

・みんなの方を見て言おう。

・このままで求められる?

・手を挙げることは(学び合いに)参加すること

・わかるまで聞きに行けばいい

・くわしくなったね!
 
 
【5年「ともなって変わる量」】
・友達の考えを聞いてわかったら返そう。
・理由を付け足すんだよ。
・みんなが前に出ていいよ。
・「いいです」以外に反応はないの?
・つなげて言うこと
・今の先生言葉、必要だった?(自分たちで気づきを言う)
 
 
【6年「円の面積」】
・グループで共有していいんだよ。
・授業に参加しよう。何を言ってもいいんだよ。
・手を挙げるまで、みんな待ってるよ。(と言って、全員挙手を促す)
 
 
<石田先生からの全体指導>
 
○算数の用語をしっかりおさえる必要がある。(算数用語を用いて説明させるなど)
○授業のねらいを見通して教具を準備する。
○つないで発言させる。よさを認める場合、どんなところがよかったかを確認し、全員がよいと思えるようにする。
○習ったことを的確に伝えるようにする。⇒ 説明する力 ⇒ 学力テストB問題につながる
○発問が細かすぎないようにする。⇒ 子供たち同士が関わることができなくなる。(考えの広がりがなくなる)
○グループを越えて相談するのもよい。
 
「考えをつなぐ」という具体的なご指導だったと思います。何か1つでも実践して、「授業が変わる!子どもが変わる!」ことを実感したいものです。
 
 
 
 
 
 
 
 

 

2013年9月17日火曜日

テレビで算数指導が放送

9月19日木曜日の6時10分から、NHK山形の番組に出ますので、ぜひご覧ください!

2013年8月31日土曜日

興味関心、算数B問題 全国下回る山形県

 
 
  先日、全国学力テストの結果が公表されました。
 
 相変わらず算数B問題に課題が残ります。やはり、活用力が不足しているという傾向が見られます。
 
 ところで、先日、公開授業のレディネステストを行いました。文章題から立式できるかを知りたかったからです。

dLで板を1.2㎡ぬれるペンキがあります。このペンキ1dLでは、板を何㎡ぬれるでしょう。
 
 

公開研で、整数×分数、整数÷分数を行うので、既習の小数では立式できるのかをテストしました。結果は、正答率が30~40%という結果になりました。3÷1.2という誤答も少なくありませんでした。小数だからイメージできないのだろうかと思い、両方整数にしたところ、正答率がさほど変わりませんでした。むしろ低くなったクラスもありました。FNNの記事(下記参照)では、数量の関係や法則などを式で表すことに、引き続き課題があると指摘しています。これは、全国的な傾向とされています。
対策として、数直線(線分図)や関係図など視覚化できるようにしながら、数量の関係をとらえさせていく必要があります。しかし、数直線(線分図)をかくのが困難な高学年がいます。数直線(線分図)は、低学年から日常的に使えるようにすることです。そして、それぞれの数量の関係を理解させます。関係図という手法も取り上げます。「かけ算」や「わり算」、「□を使った式」、「分数」「整数の性質」「比例」「反比例」「割合」など、ほとんどの算数指導で使える「かけわり図」などというものもあります。このように、図や式で説明させる授業を日常的に仕組んでいくことが大切だと思います。
 
 
学び合いで足場をつくる指導を実施しているクラスでは、アンケートの結果、グループ学習が好きと答えた人はほぼ100%に達しています。理由は、友達の考えをわかるまで聞けるからということでした。やはり、算数がわかれば、さらに数字を変えてみたらどうなるのかや、条件を変えたら・・・などと、発展的に考えてみたくなります。つまり、活用力を身に付けるということです。興味関心も高まります。日常の授業改善が重要です。
 
 
以下【FNN
 
文部科学省は、2013年度の全国学力テストの結果を公表した。都道府県別順位では、秋田県が小学校で6回連続、中学校で2回連続、全国1位となった。
「問題。aメートルの重さがbグラムの針金があります。この針金の1メートルの重さは何グラムですか。abを用いた式で表しなさい」。
これは全国の小中学生を対象に行われた学力テストで、中学3年生に出された問題。今回テストを受けた中学3年生が、3年前、小学6年生だった時に、学力テストで挑んでいた問題。
先ほどの問題とほぼ同じで、abという文字が、84という数字に変わっただけだが、正答率は54.1%だった。
この結果、数量の関係や法則などを式で表すことに、引き続き課題があると考えられるという。
学力テストの都道府県別の順位を見ると、公立小学校では、秋田県が6回連続でトップになった。
文部科学省によると、今回初めて、全国平均との差が、マイナス5ポイントを超える都道府県が、全教科でなくなった。
公立中学校でも、秋田県が2回連続でトップになった。
福井県や石川県も、小中学校ともに2位、3位となっている。
教育現場に秘密はあるのだろうか。
広島・三次市の小学校から参加した、高野 加奈子教諭は「(秋田県の)学力がトップということで、わたし自身も、子どもたちにどのように学力をつけておられるのかということに、すごく興味を持って、こちらに来させていただいたんですけれども」と話した。
2013
4月、教職員の人事交流で、広島から秋田にやって来た高野さん。
秋田市内の小学校で、3年生の担任をしているが、最初に感じたのは、バックアップ体制の違いだという。
高野教諭は「授業の準備、(担任が)子どもたちに向き合う時間をすごく大事にできる、そういう体制が、すごく整っているなというふうに感じます」と話した。
秋田県で塾に通っている子どもの割合は、小学6年生で22.8%
全国最下位という意外な結果も出ており、学力向上を図るうえで、参考になるとみられる。