2012年8月13日月曜日

教員チャリダー東北一周自転車野宿の旅(前編)

しばらくブログをお休みしていました。算数ブログですが、自転車で東北一周してきたので、この旅をアップしたいと思います。


去年の春、漠然と自転車で旅に出たいと思い、ツーリング用の自転車を購入。初心者なので、先輩方からいろいろと自転車について教えてもらう。しかし、クラブの人たちがやっているのは、細くて軽くて速い、カッコイイ自転車。さっそく、重いキャリアを外して峠を越えて米沢へ。当然、みなさんについて行けず、何度も待ってもらいました。峠越えの速いこと速いこと。しかも、みんなお揃いのウエアでカッコいい。

しかし、旅に出るにはこういうのではダメ。もっとカッコ悪く、ワイルドにいかないと! さっそくキャリアを付け直し、山形県一周に挑む。天童と鶴岡にホテルをとり、荷物を最小限にし、いざ出発。二拍三日でなんとか13日の墓参りの時間まで戻ってきました。きつかったと思う反面、自分の限界はここまでなのか?しかも、自転車旅行というのは、足の疲労度や天候などでどれくらい進めるのか予定が立たない。だから、ホテルなど予約してはダメだ。

行けるところまで行って、そこで泊まる。 それには野宿しかない。

そこで、春のうちにテントと寝袋を購入。しかも、テント寝袋その他を積んで、町の峠道に挑戦。去年、簡単に登れた坂道なのに、途中で休まないとペダルがこげない。くやしかった。こんなもんで進めなくなるんだったら、山形県一周以上はできないだろう。でも、鍛えている時間の余裕がない。

予定していた8月3日まで、あと一週間。こうなったら、初日から体を鍛えるつもりで進むしかないと思った。 8月1日・2日  米沢の病院で人間ドック。自転車を乗ることができない。身体はゆっくり休めるが、アップしておかないと筋肉痛で走れなくなるのでは・・。いろいろなことを考えながら、地図を見てコースを考えていた。


<8月3日(金)>天気;晴れ 早朝。家族が寝ているうちに山形県小国町の家を出発。いきなりのトンネルと峠越えに、練習不足でスピードが出ない。


やっとのことでついた飯豊町の道の駅めざみ。朝食を食べていなかったので肉そばを食べていると、バイクでツーリング中の人と出会い、会話がはずむ。古い単気筒のバイクにおもいっきり荷物を積んでいた。お互いに無事を祈って、さあこれからが本番。


米沢に到着した。すでにペットボトル3本ぐらい終了。これから栗子峠に向かう。自転車の走る道というのは、歩道だったり車道の白線の内側だったり、ころころ変化する。しかも、へたすれば転んでしまいそうな溝やへこみがある。そんなことに注意しながら、どんどん勾配がきつくなる。しかも炎天下。飲み物をがぶがぶ飲んだ。

ふと下を見ると、ゴミの山。街中よりもこういう山の中のゴミが目に付く。どうしてコンビニまで持って行かないのか。ここは、車で何度も通ったことがあるが、自転車で行って初めてわかった。人間は、誰にもわからない、またはみんなやっていると思うと何でもやってしまう弱い生き物なんだ・・・。ゴミを捨てることは、人格を捨てること。捨てた人には、いつかどこかで自分に返ってくるのだろう。ゴミを捨てたからこうなったのかとは気づかないだろうが。



米沢スキー場到着。足がパンパン。日かげで横になっていた。もってきたおにぎりを一つ口に入れたが、体力使いすぎで気持ち悪くなった。

すぐに進むと、いよいよ難関の栗子トンネル。数kmもあるという有名なトンネル。自転車にとってトンネルというのは、事故につながりかねない。大型トラックの音と風圧にびびりながら、一生懸命にペダルとこいだ。何度も暴走族が来たのかと思うぐらいの爆音。これって?やっと音の正体がわかった。中央ラインにあるはみ出し注意の凸凹を車のタイヤが踏んだ時の音だった。自分が運転している時は、そんなに感じなかったが、自転車でトンネルを走っていると、ものずごい爆音。音と風だけでなく、すれすれに通り過ぎるトラックもいて、かなりの恐怖を覚える。

やっとのことでトンネルを抜けると、栗子スキー場のところは急な下り坂。制限速度を楽に越してしまうぐらいのスピードに、爽快感を越えて恐怖感が襲う。転んだらお大怪我間違いなし。


ふと左側を見ると、空中にそびえる工事中の高規格道路。福島米沢間を短縮する道路が、こんなに出来ているんだと汗を拭きながら見入ってしまう。

いくつかのトンネルとスピードにビビりながらも、やっと民家が見えるところに出た。福島の街並みが遠くに見えてきた。目指すは飯坂温泉。ここが今日一日目の野宿予定の場所。しかし、まだ日が高い。時間的な余裕があったので、以前日帰り温泉に入ったことのある「旅館新飯坂」でひと風呂浴びていこうと向かう。スマホのナビを駆使して着いた時、目を疑った。つぶれていた。窓ガラスは割れて、廃墟となっていた。とても残念な気持ちになったが、夕方まで時間があったので、さらに進んだ。

国道4号線に入り、足の調子もよかったのでどんどん北上した。福島県国見町というところの「すき家」に入って冷やし中華を食べた。客がじろじろ見ている。変な自転車で汗だくでいたからだろう。

気にもせず、いよいよ野宿する場所さがし。役場かスポーツ施設らしいところへ行って、事情を話し敷地内に野宿できないかとお願いしたら、
「10時で職員帰るから、だめですね。」
と、軽く断られた。

どんどん暗くなっていく。野宿なんて、どこでもできるだろうと思っていたら、意外とそういう場所がない。駐在所に行ってみたら、駐在さんの奥さんが出てきて、元役場が更地になっているから行ってみてと言われたら、テントを張るのに適したところがあった。すぐにテントを張った。テント張りは、2回ほど練習してきたので、多少暗くなってもOK。

さあ、初めての野宿。ふだん当たり前にやっているテレビを見たりということができない。ワンセグで見たりしたが、電池の消耗が心配ですぐに消した。テレビも何もなくてもワクワクしてきた。不安は全然ない。不思議とせまいテント泊を楽しんだ。フェイスブックの知り合いからも、いろいろなコメントをいただく。一人じゃないんだと思い、いつの間にか寝てしまう。

本日の走行距離 105km

<8月4日(土)>
かなり早起き。5時にはテントをたたみ、道路向かいのセブンへ。おじさんから声をかけられ、元気をいただく。早朝は涼しいし、車も比較的少ないから走りやすい。でもやっぱり真夏。ちょっと走ると喉が乾く。


人っ気のないショッピングセンターの駐車場。昨日の峠越えの筋肉痛で動けなくなる。しかも、お尻がとても痛い。ここでしばし休憩。でも、休憩していると自転車は進まない。痛みをがまんして、まずペダルをこぐ。

やっと見つけた!仙台の文字。何キロあるかはわからないけど、仙台はつかんだぞと思った。疲れと痛みが少し和らぐ。

歩道を通り過ぎた小学生が、
「こんにちは」
と挨拶してきた。うちの学校の子供たちは、こんな変な不審者にあいさつできるのだろうか。


仙台市内に入った。市内は、いつの間にか歩道と自転車道が分離していた。さすが大都会だな。(この写真は、分離していない歩道)

やっと来ました「旨味太助」!ここは、以前、娘を連れて来たお店。その前は、修学旅行の自由行動の時に来た思い出の店だった。仙台に来たらここの牛タンが食べたくなる。太助に自転車で来るなんて夢にも思わなかった。


うーん、やっぱり来てよかった。旨味だけあってうまい!牛タンはもちろん、テールスープと麦飯。しっかり合ってる。腹いっぱいになり、今までの苦労が消えてしまった。

市内のコンビニで休んでいた時のこと。フェイスブック仲間から、兄が仙台だから会って行けば?との書き込み。その兄というのは、高校時代の同級生。ケータイ番号を聞いて連絡してみると、仙台泉アウトレット近くに住んでいるから来いとのこと。


上り坂の連続でやっとアウトレット到着。友人と喫茶店で面会。
「今日、泊まっていくか?」
と言われ、野宿の旅のつもりが、偶然にも泊まらせていただくことに。
「ああ、シャワーできる!」

夜は友人のご家族みんなでBBQ。楽しかった。ご家族のみなさんありがとうございます!

本日の走行距離79km

<8月5日(日)>

朝早くに、友人に自転車で4号線まで案内してもらい、さっそく北上開始。昨日、100kmいかなかったので、挽回しないと!

途中、道路わきで、友人の奥さんが握ってくれたおにぎりをいただく。コンビニとは違った味がして美味しかった。


「やっと岩手県が現れた!」そんな気持ちだった。もちろん自転車で来たのは初めてだし、土地勘がない。でも、4号線を北上すればいつかは盛岡に着く。そんな思いで進んだ。

一関を通り過ぎ、中尊寺で有名な平泉へ。


近くの温泉に入り、平泉で宿泊しようと考えていた。その前に中尊寺へ。写真を撮ってくださいというカップルがいたので、ついでに自分も撮ってもらった。

中尊寺より大事なこと、それは野宿する場所さがし。でも、まだ明るいのでさらに進むことにした。一人旅のよさ、それは自分が思いついた通りに実行できること。仲間がいると楽しいけれど、ほかの人から話しかけられることはあまりない。一人だと、よく声をかけられる。それがまた楽しい。


結局、水沢という所まで来て探したら、野宿するのにふさわしい水沢公園を発見。グランドで何人もランニングしていたので、ちょこっと遠慮して植え込みに隠れるようにテントを張る。

今日もかなり走った。足が棒になるとはこのこと。筋肉痛なのか披露なのかよくわからない。とにかく、疲れてすぐに寝てしまった。

本日の走行距離 114km

<8月6日(月)>
朝はカラスの大声で目が覚めた。カラスたち、ありがとう!さっそく早起きして出発!北上、花巻を過ぎる当たりで、雨が降ってきた。盛岡までもうすぐ。駅ビルに向かった。

やった!盛岡駅。タバコを吸っていた無愛想なおじさんに撮ってもらう。


駅ビルで食べた海鮮冷麺。魚貝の味がきいたスープに大満足。隣に外国人の男性が来て、店員のおばちゃんがなかなか言葉が通じない。ここで通訳なんかできたら、カッコいいのにと思いながらお店を出た。

再び北上するが、ここから国道4号線とお別れ。とても広い八幡平市を通過。しかし、広すぎて途中で薄暗くなる。公園のような野宿にふさわしいところがない。JR平館という無人駅があったので、近くの食堂のおばちゃんと話をして、野宿する場所を聞いた。駅のトイレのわきでいいかなと尋ねたら、JRだからいいよって言ってくれた。



コーヒーをごちそうになり、テントを立てて休んでいると、
「もう寝たかい?」
とのおばちゃんの声。おにぎりの差し入れを持ってきてくれた。一人旅をしていると、こういうことに感動する。涙が出そうになった。一生忘れないだろう。涙しながら、がんがん食べた。腹も、胸もいっぱいになった。ありがとう、おばちゃん!

本日の走行距離 109km

<8月7日(火)>
おばちゃんの食堂が朝早すぎてしまっていたので、ドアに「おいしいおにぎりありがとうございました。」のメモを挟んで出発。

今日は、秋田県までの峠越え。今の足で越えられるんだろうか。不安がよぎるが、とにかく進んで行こうと思った。
かなり上り坂が続く。汗が半端でない。首に巻いた濡れタオル、乾くのと大量の汗とで水分が変わらない。

やっとのことで安比高原到着。ここがスキーで有名な安比かと思いながら、コンビニで「凍結したスポーツドリンク」を買う。今回の旅でかなり助かったのは、この凍結ペットボトル。普段あまり買ったことはなかったが、こういう旅には欠かせない。普通のペットボトルでは、すぐにぬるくなってしまうからだ。ここで、帽子の前と後ろに、「東北一周」とでかでかとマジックで書いた。自分に言い聞かせるためだ。

延々と続く坂道と炎天下。
「なんでこんなに辛いことやっているんだろう・・」
と思いながらも、とにかく足を動かす。24段変速のギアを一番軽くしてもペダルが回らない。歩くより遅くなる。でも、自転車をひいて歩くことはプライドが許さない。あくまでもペダルとふみこんだ。あまりにも急な坂で、ジグザグに進むことも・・

この「秋田県」という文字を見たときの感動は忘れられない。汗だか涙だかわからない。こんな経験初めて。当たり前。車で来たら、こんな感動ないだろう。一人だったけれど、大声でやったーって叫んでた。

秋田県鹿角市の道の駅。がんばった自分へのご褒美に、とんかつ定食。とにかく美味かった。普通のとんかつだけど、こんなに美味しく感じたのは初めてかもしれない。定食を運んできてくれたおねえさんが天使に見えた。


腹も満たされたので、さっそく出発。しかし、途中で大雨。カッパを着て雨宿りをしたところが、あるお寺だった。六地蔵があったので、かさこ地蔵の昔話を思い出し、お一人お一人に賽銭をあげて合掌した。
「地蔵様の力を貸してください。」そんなお願いが効いたのか、雨が上がり何だか足が軽くなったように思えた。

100kmに達していないので、もしかしたら青森県まで行けるのではないだろうかという思いが頭をよぎる。十和田近くの交番で聞いたら、登りはきついけれどそう遠くはないし、向こう側は下りだから行けるかもしれないと言うことだった。その時、行くことを決めた。

途中、工事のおじさんに県境はどのくらいかを尋ねたら、かなり遠いからよくわからないという返事。聞く人によって違いがある。車の数もまばら。当たり前だ。車はみんな高速を使うから。

秋田までの峠越えと青森までの峠越えを一日でやることがどういうことなのか地図ではわからなかった。行ってみたら、やはり峠だっていうことを思い知らされた。

しかし、青森県側に出れば道の駅がある。そこまでは、お店どころが民家も何もない。もし、去年、蔵王の御釜まで行った時のように膝の激痛で足が動かなくなったらどうなるのか。そうなったらもどるしかない。でも、もう行くしかないと思い、岩手からの峠越えよりはるかに急な坂道を進んだ。


やっと青森県。さっき、秋田県が見えた感動よりもっともっと感動した。あとはほとんど下り坂。今までの苦痛が嘘のように爽やかな気分。風が心地よかった。


青森県道の駅、碇ヶ関。さっそく温泉に入った。身体全体の疲れがとれるような気持ちがした。


ここで食べた奥州ラーメン。麺は、ご当地の自然薯入
りで、具は山菜とか地元産の食材がたっぷり。なかなか美味しかった(^_^)一日中走ってりゃ何でも美味しい!

今日はここで野宿。すぐに寝た。

本日の走行距離 106km

前編終わり

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