本研究会では算数科を中心に、算数学び合いの石田淳一教授(東京家政大学、前横浜国大)のご指導のもと、「協働的な学び合い」の実践研究をしています。さらに、教育実践研究家の菊池省三先生を代表とする「菊池道場山形支部」として、白熱する教室を生み出す学級づくりをして、「主体的・対話的で深い学び」ができる子どもの育成を目指しています。 お問い合わせは、山形県南陽市立赤湯小学校 田井地 清まで vaio0819@yahoo.co.jp
2012年9月6日木曜日
考える足場バージョンアップ!『学び合い』
10月30日、地区の算数数学研究会での授業を公開することになっていますが、その時の指導者がなんと、「考える足場」の提唱者でもある横浜国立大学の石田先生に決まり、とてもうれしく思っていた矢先、下見ということで9月4日、石田先生に授業を見ていただく機会がありました。その時の授業です。
4年算数「整理の仕方」という単元。2つの要素を表す表を書いたり、数値を求めたりする内容です。今回の足場は、やはり表の見方(読み方)にしました。
足場には、いわゆる「与える足場」と「つくる足場」があります。うちのクラスでは、足場を与えるとどんどん学習が進み、意欲的に解決できるようになりました。ですから、できるだけ「つくる足場」へと移行するようにしていました。
ですから、問題を提示したあと、どんなことを考えれば解けそうかを、子供たち自ら気づかせようと考えました。案の定、前時までに学習した2元的な表を使うことや、条件(数値)が必要なことに気付かせ、考える足場としました。
4つの条件(数値)を表のどこのことを言っているのか、一つ一つ確認しながら表を埋めていきました。問題は、どちらも正解した人は?ということなので、それにたどり着くには3回の引き算をしなければなりません。
ここがわかるには、何がわかればよいかという筋道立てた思考を促すにはもってこいの内容ですが、やはり3段階もの思考を要するこの場合は、とてもわかりにくいものだと思いました。だからこそ、足場が必要になるわけです。
ところが、解き方の見通しのところで、ある子どもがすらすらと解き方を説明し、答えまでたどりついてしまいました。しかし、聞いている子どもの中には、なぜ引き算をするのかわからない子もいたので、もとはたし算であることや、たし算の途中の数値を求める時は、引き算を使うことなどを確認しました。
全体解決の後、主問題2で自力解決。今回は、単元の最後でもあるので、数値を自分変えて自分で問題をつくり、友達に解かせたり自分で説明したりという活動を仕組みました。
教師の支援を要する児童もいましたが、時間内に説明することができました。
さて、石田先生の授業後のご指導です。
最近石田先生は本を出されていたとのことをお聞きしていたので、先日購入していました。まだ熟読をしていなかったのですが、考える足場がバージョンアップしていました。
一言で言えば、今までは考える足場を与えていたが、これからは、子供たちの気づきを中心にした「子供たちがつくる足場」であるということでした。
今日の授業でもつくる足場を取り入れたつもりでしたが、今日のような教師主導で引き出すような足場ではなく、子供たちの学び合いを軸とした足場づくりということです。そのためには、子どもたちにつけなくてはならない力が必要です。
○図や表を見て、既習事項との関連づけから気づきが言えるようにすること。
○友達の意見につなげて、自分なりの考えが言えるようにすること。
などなど、子ども主体の授業展開が求められます。
そのためには、子供たちへの「仕込み」、つまり学習訓練が必要になります。つまり、聴き方、話(説明)の仕方、学び合いの仕方(グループ、全体)などの指導が必要です。
どこのクラスにもいると思いますが、積極的に意見を言う子ども、意見をじっくり聞いている子ども、聞いていても自分の考えを表現できないことも、自分の考えを持てない子ども・・などなどいろいろなタイプがあります。
日常の授業では、積極的な子どもの意見のやりとりで授業が進みがちです。わからない子どもには、考えが持てないので個別指導という流れになります。
しかし、子供同士で教え合ったり、気づいたことを伝え合ったりしながら「わかる」ようになっていきます。子供の算数日記に、「友達の意見を聞いて、なるほど!と思いました。」という表現をよく目にします。
子供たちの気づきや疑問などを、どんどん深めたり広げたりしながら足場をつくり、みんなで解決していくという考え方に変わっているとのことを、この著書とDVDを見せてもらいながら理解を深めました。
「考える足場と学び合いは、車の両輪のようなもの」だそうです。目からウロコでした。さっそく、今月の市の研究会で、バージョンアップした足場の授業をしたいと思いました。
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