米沢市のM小学校の先生から、石田淳一先生のおすすめの著書を紹介してくださいというFAXをいただきました。この学校では、来年度、公開研を行うということで、今から研究をすすめているということでした。特に、「見通しの持たせ方」をポイントの一つととらえて取り組んでいるそうです。
そこで、自分なりの「見通し」についての考え方を、メールいたしました。
(ここから)
貴校では、「見通しの持たせ方」を研究しておられるということで、自分なりの考えをご報告させていただきます。
課題解決型学習では、問題提示のあと見通しを持たせます。何を使えばできそうか、どう考えればできそうか、どのくらいになりそうか・・など、考え方や見積もりなどの意見を出させるわけです。学校研究の授業を見せていただくと、何をどこまで見通しを持たせるかの見極めが大事だというわかりきった結論にいきつきます。
この時、低位の児童の思考は、問題把握もままならないので見通しどころではなく、わかった子供の意見を聞くだけの活動になることが多いように思います。かなり深く見通しをしたつもりでも、低位の子供はなかなか自力解決できず、結局はいつも通り教師の支援を待つことになります。低位の子供は、自分が体験したこともなく聞いただけではなかなか理解できないでいます。先生の支援がなければできないということが習慣化してしまい、算数は難しく、自分では解決できないものというトラウマができあがってしまいます。
自力解決に向かう前に、全員が「できる」「やりたい」という意識を持たせることが、算数への意欲や理解につながっていくのだろうと思っています。しかし、現状の課題解決型では、なかなかそこまで見通しを持たせることはできません。
その課題をクリアするために、学び合いにより考える足場をつくるという指導法が有効であると思われます。最初は、問題の数値や条件についての気づきを話し、そこから問題意識を持たせます。慣れてくると、問題を提示しなくても問題をつくることができ、めあて意識も持てるようになります。
ここで見通しですが、気づきから問題意識まで、子供たちの思考の流れにそって進めているので、改めて「見通し」という段階を提示しなくても、そのまま自然に解き方の話し合いに入っています。石田先生は、「考えをつなげてみよう」という発問(指示)を大事にしたいとおっしゃっています。ここで多様な考えが出されることもありますが、「速い、簡単、いつでもできる」方法を選択し、グループで話し合います。一人一人話をすることという約束をして、グループ学習を進めていきます。終わったグループは、全員が説明できるようにしておく、他のグループがどんな考えなのかを読んでおくなどの約束をしています。
グループの話し合いをホワイトボードに書かせ、共通点や相違点について比較検討します。全員が解けるという自信がついたあと、自力解決になります。ここまで高めるわけなので、一人一人自力で解決できるようになっています。(とは言え、ここまで見通しをしても支援が必要な子供はいますが・・・)
こういう指導法での見通しは、今までの見通しの考え方とは違っているということがわかります。見通したことを実際に体験し、比較検討させてから、自力解決という流れです。グループや全体の話し合いまでを見通しという見方もできると思います。
昨年度の学習指導研修会での授業でも、「子供一人一人に考えの見通しを持たせるための手立てについて」という視点において、自力解決の前までを広く見通しととらえて授業をしました。(ご覧になられた通りです)
というわけで、見通しについての私なりの実践からの考えを述べさせていただきました。もし、学び合いによる算数指導を進めていかれるかどうかのご検討をなさっている場合は、参考にしていただきたいと思います。
(ここまで)
「問題提示ー見通しー自力解決ー全体解決ーまとめー習熟」というパターン化された現在の指導法では、苦手な子供はさらに苦手意識を持ち、得意な子供はさらに伸びるチャンスを失いつつあります。そして、有効な手立てがないままに、算数の授業が進んでいくわけです。
子供にとってわかりやすい授業、学力がつく授業というものを、授業改善(改革)という点から、真剣に検討し実践していくことが求められています。
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