市の公開研で、M小学校のN教諭が5年算数「台形の面積」の授業をしました。共同研究することになっていた私は、指導案検討から関わってきました。2年前も同じ5年生だったので、共同研究をしました。その時は、台形というのは、かなりの種類の求め方があり、前時までに行ってきた、「移動法」、「分割法」、「倍割法」などのネーミングを用いた方法でたくさん解決させみようということになり、2時間扱いにして前時でいろいろな求め方をさせるという授業を展開しました。
しかし、今年度は、啓林館の教科書では、1時間扱いということや、台形の面積から突然罫線がなくなるということで、罫線なしの1時間で公式化という流れにしようと話し合いました。そして、同じ指導案で授業をしてみました。
<N教諭の授業の板書>
N教諭の授業では、公式化を強く意識させた授業でした。さらに、一人一人に2枚の台形を配って自力解決させた結果、グループ学習ではほとんどのグループが2枚の台形を平行四辺形にするという倍積変形(倍割法;2倍にして2で割る「ばいわりほう」というネーミング)がほとんどでした。もうひとつのやり方が出されました。次の写真です。
Aから垂線を下ろし、直角三角形と台形に分割します。それぞれ2倍にして長方形を作ります。縦の長さは4㎝、横は8+2で10cmということで、
(2+8)×4÷2という式ができました。長方形に直す等積変形ですね。(ナイスアイディア)クラスの実態として、公式を知っている人がけっこういたということで、こういうアイディアが出されたのかもしれませんね。
<私の授業の板書>
N教諭の前日に行いました。見通しでは、倍割法と分割法が出されました。すぐにグループ学習に突入。この時間では、自力解決をしませんでした。自力解決を否定するのではなく、単元計画の中で自力解決を取り入れる時間を決めているからです。2つの方法で進んでいましたが、あるグループが移動法でできそうだと思いつき、3番目の方法として出されました。やはり、倍割法が一番公式化するのに適していましたが、移動法でも「高さの半分だから4÷2という式をつけたして、スムーズに公式化できるました。
その時、分割法の3つの式を見ていた女子が、「×4÷2って同じだから、1つにまとめられるよ」という意見を出しました。計算のきまりを想起させると、みんな理解できました。3つのやり方から公式化に気付いたという授業になりました。
2つの授業では、1時間扱いの台形の公式化という内容で、同じ指導案でおこなったものでしたが、指導者と子どもがちがえば、公式化までの過程がちがってくるものだなと思いました。だから授業はおもしろいし、奥が深い!
本研究会では算数科を中心に、算数学び合いの石田淳一教授(東京家政大学、前横浜国大)のご指導のもと、「協働的な学び合い」の実践研究をしています。さらに、教育実践研究家の菊池省三先生を代表とする「菊池道場山形支部」として、白熱する教室を生み出す学級づくりをして、「主体的・対話的で深い学び」ができる子どもの育成を目指しています。 お問い合わせは、山形県南陽市立赤湯小学校 田井地 清まで vaio0819@yahoo.co.jp
2018年11月5日月曜日
2018年10月17日水曜日
グランドクロスセミナーの告知
告知させてください。
10月27日、横浜国立大学にて「グランドクロスセミナー」が開催されます。全国的に有名な菊池道場と学力研、そして石田淳一先生とのクロスセミナーになります。
置算研という自分の研究会が並列して行われること、とても嬉しく思います。半分は、菊地道場山形支部の一員としても参加してきます。
石田先生の講話と対談、そして自分の実践発表があります。もちろん、菊池省三先生の講話もあります。学力研の講話と発表も楽しみです。下に告知ーずを載せておきましたので、参加したい方はそこから入ってください。
https://kokucheese.com/s/event/index/530925/
10月27日、横浜国立大学にて「グランドクロスセミナー」が開催されます。全国的に有名な菊池道場と学力研、そして石田淳一先生とのクロスセミナーになります。
置算研という自分の研究会が並列して行われること、とても嬉しく思います。半分は、菊地道場山形支部の一員としても参加してきます。
石田先生の講話と対談、そして自分の実践発表があります。もちろん、菊池省三先生の講話もあります。学力研の講話と発表も楽しみです。下に告知ーずを載せておきましたので、参加したい方はそこから入ってください。
https://kokucheese.com/s/event/index/530925/
2018年10月8日月曜日
石田淳一教授による「探求的なグループ学習を取り入れた算数授業の活用」のセミナー開催
今年も箱根において、横浜国立大学の石田淳一教授を講師としてのセミナーが開催されます。協働的な学び合いのある算数指導を目指す先生は、ぜひおいでください。(ちなみに、私の授業実践も取り上げていただく予定です。)以下、案内文になります。
平成30年度授業力開発セミナー 30年9月21日
川上 彰久
授業力開発セミナーを、平成30年12月27日(木)~28日(金)文部科学省箱根宿泊所で開催します。本年度のテーマは、「探求的なグループ学習を取り入れた算数授業の活用」です。知人等を誘って多くの方々が参加されるようお願いいたします。
1 期日 平成30年12月27日(木)~28日(金)
2 会場、文部科学省共済組合箱根宿泊所 四季の湯強羅静雲荘 TEL.0460-82-3591
箱根湯本駅より箱根登山鉄道(強羅駅下車)、地下道を上がり直進(徒歩約5分)
(約40分)(平日ダイヤ)
13時12分、25分、39分、51分
強羅発箱根湯本行き
9時 5分、20分、35分、50分
10時 5分、20分、38分、53分 11時も同じ
3 研修日程
12月27日(木)現地集合 13時45分頃 玄関ホール又は研修室に集合
研修1 石田先生の講義・演習(14時~17時) 研修室
テーマ「探求的なグループ学習を取り入れた算数授業の活用」
入浴後、 夕食・懇親会(18時~19時30分頃)予定
研修2 授業者のビデオ視聴と授業分析 (1~2名)(20時~22時)
12月28日(金) 朝食後
研修3 実践報告と意見交流会(9時~11時)
実践報告1( )先生 実践報告2( )先生
11時頃 解散予定
4 講師 石田 淳一先生 横浜国立大学 教育学部教授(博士)
5 費用 1泊2食+研修費+飲物、入湯税等実費 1万3千円程度、学生は1万
夕食のみ日帰り5000円、研修会1のみ参加1000円
6 申込み 宿泊は10部屋30名分確保してあります 研修のみ日帰りも事前申込む
7 申込締切り 12月上旬。12月6日(木)頃までには一報ください。
12月上旬には、宿泊者の数を確定し、部屋割りを提出しなければなりません。
8 問い合わせ先
川上 携帯09058067564 自宅 047-449-1233 職場03-6910-3529
職場メール a-kawakami@ntu.ac.jp
有賀 携帯09022232979 職場 03-3263-0564 千代田区立九段小学校
9 東京(元梅島小関係者等)は、往JR上野駅小田原行9:35発、最後尾車両小田原11:10 小田原駅で石田先生と合流、昼食予定
筋道立てて説明する力を養う
【南陽市算数数学部会の提案授業 】
5年の異分母分数のたし算の授業です。
この授業を仕組むにあたって考えたことは、
⑴ 単に通分させて練習させるのではなく、図を使うことで、目盛りの数が通分したときの分母と同じ数になるということに気付かせたい。
⑵ 分母と分子をたし算した誤答を提示してめあて意識をもたせたい。
⑶自力解決なしのグループ学習をさせ、相談しながら解決させたい。(協働的に学習させたい)
⑷ 振り返りをフリートークで行い、本時の学びを意識させ、次時への意欲を高めたい。
まずは誤答を提示。分母同士をたすという間違いです。子どもから出た意見は、
「最初のジュースより少なくなるのは間違い」
ということで、誤答であることに気付きました。
⑴については、見通しで通分は容易に出るだろうと予想していたので、前時までに図を用いて説明させるようにしていました。そうしたら、数直線図や面積図、まる図が出されました。
Gグループは、見通しで出た考え全てを使って説明していました。
全体の学び合いでは、出されたホワイトボードをグループ化させることが大事です。なぜなら、並べることですでに共通点や相違点に気付くからです。しかし、この授業では、複数の考え方があったので、それはちょっと難しかったようです。
主発問として、
「通分した時の分数の分母と図の目盛りの共通点は?」
と問いました。
最初は反応が鈍かったのですが、目盛りの数が全て6であることから、分母も6になっていることに気が付きました。
ただ単に、通分すると「はかせどん」だという話し合いではなく、図と数字の共通点を見出すことが大事だと思います。
さらに、
「分母の6はなぜたし算しないの?」
と発問してみました。予想通り、
「たしてはいけないから」
という反応がほとんどでしたので、この単元に入った時のことを思い出させ、
3/6は1/6が3個分
2/6は1/6が2個分
だから、3/6+2/6は1/6が(3+2)個分
という既習の振り返りをさせました。つまり、単位分数の考え方です。整数でも、小数でも、分数でも、単位の何個分という共通性に気付かせることは、算数を教える上で大切にしたいものです。
そして、説明です。図も式もそのものが説明になっていますが、やはり図や式を説明するためには、「言葉」が大事です。説明は、「言う」「書く」などを何度もさせることで定着します。さらに、説明したがるようになります。このように、筋道立てて説明できるようにすることが、算数指導では大事になります。
最後に、練習問題を解き、振り返りをさせます。
振り返りは、「わかったこと」「いいなと思った考え」「もっとやってみたいこと」という視点でノートに書かせます。書き終わったら、フリートーク(自由交流)をして、いいなと思ったところに下線を引きます。
このように、学び合いは、授業の最初から終わりまで学び合いが理想だと思います。
自力解決については、次時の「異分母分数のひき算」でやりました。グループ学習なしで全員自力解決できました。
5年の異分母分数のたし算の授業です。
この授業を仕組むにあたって考えたことは、
⑴ 単に通分させて練習させるのではなく、図を使うことで、目盛りの数が通分したときの分母と同じ数になるということに気付かせたい。
⑵ 分母と分子をたし算した誤答を提示してめあて意識をもたせたい。
⑶自力解決なしのグループ学習をさせ、相談しながら解決させたい。(協働的に学習させたい)
⑷ 振り返りをフリートークで行い、本時の学びを意識させ、次時への意欲を高めたい。
まずは誤答を提示。分母同士をたすという間違いです。子どもから出た意見は、
「最初のジュースより少なくなるのは間違い」
ということで、誤答であることに気付きました。
Gグループは、見通しで出た考え全てを使って説明していました。
全体の学び合いでは、出されたホワイトボードをグループ化させることが大事です。なぜなら、並べることですでに共通点や相違点に気付くからです。しかし、この授業では、複数の考え方があったので、それはちょっと難しかったようです。
主発問として、
「通分した時の分数の分母と図の目盛りの共通点は?」
と問いました。
最初は反応が鈍かったのですが、目盛りの数が全て6であることから、分母も6になっていることに気が付きました。
ただ単に、通分すると「はかせどん」だという話し合いではなく、図と数字の共通点を見出すことが大事だと思います。
さらに、
「分母の6はなぜたし算しないの?」
と発問してみました。予想通り、
「たしてはいけないから」
という反応がほとんどでしたので、この単元に入った時のことを思い出させ、
3/6は1/6が3個分
2/6は1/6が2個分
だから、3/6+2/6は1/6が(3+2)個分
という既習の振り返りをさせました。つまり、単位分数の考え方です。整数でも、小数でも、分数でも、単位の何個分という共通性に気付かせることは、算数を教える上で大切にしたいものです。
そして、説明です。図も式もそのものが説明になっていますが、やはり図や式を説明するためには、「言葉」が大事です。説明は、「言う」「書く」などを何度もさせることで定着します。さらに、説明したがるようになります。このように、筋道立てて説明できるようにすることが、算数指導では大事になります。
最後に、練習問題を解き、振り返りをさせます。
振り返りは、「わかったこと」「いいなと思った考え」「もっとやってみたいこと」という視点でノートに書かせます。書き終わったら、フリートーク(自由交流)をして、いいなと思ったところに下線を引きます。
このように、学び合いは、授業の最初から終わりまで学び合いが理想だと思います。
自力解決については、次時の「異分母分数のひき算」でやりました。グループ学習なしで全員自力解決できました。
2018年9月24日月曜日
説明できることがわかったということ
分数の単元に入りました。約分や通分によって、分数の加減計算ができるようにするという単元の流れです。
3/5と2/3の大きさを比べようという課題。分数の数直線図でどちらが大きいかわかりますが、図を使わないで大きさを比べるにはどうすればよいかということを考えさせます。
席替えをして初のグループ学習。新鮮なメンバーなので、とても意欲的です。
見通しでは、等しい分数のつくり方と、図を使うという考えでしたが、図の方は、分母を15分割にするということに気が付かず(気が付いても難しい)、ホワイトボードは完成しませんでした。
等しい分数をつくるグループには、2通りの考えがありました。
E班は、分母と分子に「×2」「×3」「×4」するということを忘れ、分母は2ずつ、分子は1ずつ増えるという誤答になっていました。でも、2/3の方は、なぜか等しい分数になっていました。このグループのよさは、間違ったことをみんなに提示できたということです。みんなからの質問で間違いに気付くというのは、とてもよい学習の仕方だと思います。
さて、G班です。さっきのE班と比べることで、答えが違うことが分かりました。どっちが正しいのかを考えます。そういう意味で、E班の間違いが学習に役立ちます。我がクラスでは、間違ったことに拍手が起こります。自信を持って間違いましょう!と指導しているからです。
下のグループでは、正しく答えを導いていますが、通分の仕方を塾などですでに学習している人がいました。見通しの時から、「通分だよ」とつぶやいていました。その子は、青ペンでやり方を説明していました。同じグループの人には、よく理解されないまま黒板に貼りました。
全体の学び合いで、どんどん質問が出されました。特に、なぜ3や5をかけるということがわかったのですか?という鋭い質問が出されました。この青ペンで書いたことと、質問によって話し合いが進みました。そして、通分という概念に至りました。このような話し合いは、子どもたちが自ら疑問をもち、考えていくというものになっていました。
子供によって、学習内容を予習したり、塾で学習してきたりすることもあります。そんな時は、未習の子どもにどんどん質問させます。予習しても丸暗記では答えられません。
常に言っています。「説明できることが、わかったということなのです。」
ですから、内容を知っている子どもがいたら、その子にとっても、未習の子供にとっても、互いに学び合えるよさがあります。
2018年9月22日土曜日
公倍数の「はかせどん」発見
5年「整数」の公倍数を見つける授業です。
公倍数を見つけるにはどうすればよいかというめあて意識をもって取り組みました。
教科書では、両方の倍数を並べて共通倍数を見つける方法と、8の数の倍数だけを書いて、そこから6の倍数を選ぶという方法を比較検討し、大きい数の倍数だけを書いた方が効率的であるという流れにして、はやくて簡単な見つけ方を考えさせるという流れになります。
今回の授業では、見通しをグループごとにさせることにしました。並べて共通な倍数を見つけるということは容易にできると予想しました。予想通り、並べて公倍数に◯をつけているグループがほとんどでした。全体の学び合いでは、片方の倍数だけ描けば良いことに気が付きました。もちろん、大きい方の数の倍数だけを書いたほうが少なくて済むという結論になりました。
と、ここで各グループのホワイトボードをよく見ると、G班は、「24ずつ増えている」「×2、×3でも答えがでる」ということに気付いていました。これについて話し合いをさせ、この2つのことから、24という最小公倍数を見つければ、あとは書き並べなくてもわかるということを、子どもたちの話し合いから導き出しました。
さらに、24、24×2、24×3・・・・ということは、24の倍数になっているという見方もできるということになり、「公倍数は、最小公倍数の倍数」というきまりを共有しました。つまり、公倍数のはかせどんです。(はやい、かんたん、せいかく、どんなときもできる)
教科書にあることをしっかりと教えることは当たり前ですが、教科書にないことに自ら気付き、発見していくことの楽しさを味わった授業でした。
2018年8月18日土曜日
方法別グループ学習 『四角形の4つの角の和」できなくても達成感
四角形の内角の和を求めるという課題です。
見通しでは、
1切って合わせる
2折る
3角度を計る
4対角線を引く
という考えが出されました。
今回も方法別に分かれて取り組ませました。
このグループは、切って合わせる考えです。黙々と作業していました。
このグループは、中央に折って合わせる方法に挑戦していました。前時に三角形で3つの角を合わせて180°になったという既習を活かしていますが、なかなかうまく合わせられません。
全体の学び合いです。切って合わせたグループでは、「ぴったり合うので360°」という説明をしています。
今回も方法別のグループ学習をしてみましたが、最初から自分の考えていることと同じ友達が集まるので、話し合いもスムーズになりました。折るグループでは、できないながらも知恵を出し合って取り組んでいました。そして「みんなで真剣に知恵を出し合うことが学び合いだ。素晴らしい」と価値づけしたら、拍手が起こりました。結局、対角線を引くよさが浮き彫りになりましたが、それぞれのグループでの学び合いのよさを味わうことができた授業でした。
効率よく問題を解くことがよいとされる算数ですが、拙い考えに真剣に挑戦する姿は、とても美しいと思います。まちがっても、答えが出なくても、一人一人の様子を見取り、価値付けしていくことが、その教科の意欲を高めていくことにつながると思います。
見通しでは、
1切って合わせる
2折る
3角度を計る
4対角線を引く
という考えが出されました。
今回も方法別に分かれて取り組ませました。
このグループは、切って合わせる考えです。黙々と作業していました。
このグループは、中央に折って合わせる方法に挑戦していました。前時に三角形で3つの角を合わせて180°になったという既習を活かしていますが、なかなかうまく合わせられません。
全体の学び合いです。切って合わせたグループでは、「ぴったり合うので360°」という説明をしています。
折るグループは、結局角を合わせる降り方ができませんでした。
計るグループは、きちんと360°になりました。(誤差が出ることを期待したのですが・・・)
対角線グループは、最初それぞれの三角形の角度を計って足していましたが、三角形の3つの角の和が180°であることから、計らなくてもいいということに気付きました。その気付きから、いつでも簡単にできる方法ということで、「はかせどん」は、対角線の考え方であるということで、四角形の4つの角の和は360°というまとめになりました。
今回も方法別のグループ学習をしてみましたが、最初から自分の考えていることと同じ友達が集まるので、話し合いもスムーズになりました。折るグループでは、できないながらも知恵を出し合って取り組んでいました。そして「みんなで真剣に知恵を出し合うことが学び合いだ。素晴らしい」と価値づけしたら、拍手が起こりました。結局、対角線を引くよさが浮き彫りになりましたが、それぞれのグループでの学び合いのよさを味わうことができた授業でした。
効率よく問題を解くことがよいとされる算数ですが、拙い考えに真剣に挑戦する姿は、とても美しいと思います。まちがっても、答えが出なくても、一人一人の様子を見取り、価値付けしていくことが、その教科の意欲を高めていくことにつながると思います。
2018年6月30日土曜日
方法別のグループ学習 「かけわり図」のよさ
「かけわり図」という図は、教科書でも見かけないものですが、我がクラスではこの方法のよさを感じる人が増えています。
5年算数「小数のわり算」の単元です。いつも通り、グループ学習を基本にして学習してきました。そして単元の最後の習熟問題に、立式を説明させる問題がありました。
肉1.6kgが2400円の時の1kgの値段を求める式を考えさせる問題です。見通しでは、数直線図と関係図、そしてかけわり図が出されました。
今回は、方法別のグループ学習をして見ました。うまい具合に3つの方法に分かれました。班ごとのグループ学習をとは違い、自分が選んだ方法を共有できるグループとあって、いつもより一人一人が興味深く話し合う姿が見られました。
このグループは、「関係図」を選んだ人たちのグループです。一番少人数ながら、活発な意見交換をしていました。
「かけわり図」を選んだグループです。「かけわり図」を選んだ人が一番多かったようです。1人の女子が自信を持って、ノートを見せながら説明を始めました。周りの人たちは、真剣に聞き取っていました。
全員が納得したグループから、黒板に説明するための図をかきました。グループの話し合いをしたことで、自信を持ってかいていました。
全体の話し合いでは、共通点と相違点を見つけることを指導しています。
共通点については、⬜︎を使った式ができているという点ですが、⬜︎×1.6=2400か1.6×⬜︎=2400かの違いに気付きました。
どのグループも、図から1.6と1との関係は、1.6÷1.6=1ということを見い出し、すぐにわり算の式を立てたということがわかり、⬜︎を使った式をその後で書いたということでした。⬜︎を使ってかけ算の形にしてから立式することも大事ですが、最初からわり算に気付けば、⬜︎のかけ算は必要ないかもしれません。
結局、どの図も2つの数値の関係性から⬜︎の式を見い出すという点で同じであることを理解することだできました。
さらに、どれが「はかせどん」かを問うと、やはり「かけわり図」が速くて簡単に書けるという意見が多かったようです。+とかいて数値を書き入れるだけなので簡単です。
また、今回は触れませんでしたが、かけわり図のよさはもっとあります。この場合は、1と1.6の関係性から⬜︎と2400の関係が同じであるという考え方ですが、数値によっては、例えば1ではない場合、別の2つの数値の関係から⬜︎を求める式ができるということもあります。つまり、かけわり図は縦の見方と横の見方ができるということです。(中学校では使っているのでしょうね)
今回の授業では、方法別のグループ学習を実践しましたが、いつものグループ学習をだと自分の考えと違う考えになることがあります。そういう点で、同じ方法の仲間が集まるということでは、とても意欲的に学習できました。単元の中で一度試して見てください。
5年算数「小数のわり算」の単元です。いつも通り、グループ学習を基本にして学習してきました。そして単元の最後の習熟問題に、立式を説明させる問題がありました。
肉1.6kgが2400円の時の1kgの値段を求める式を考えさせる問題です。見通しでは、数直線図と関係図、そしてかけわり図が出されました。
今回は、方法別のグループ学習をして見ました。うまい具合に3つの方法に分かれました。班ごとのグループ学習をとは違い、自分が選んだ方法を共有できるグループとあって、いつもより一人一人が興味深く話し合う姿が見られました。
このグループは、「関係図」を選んだ人たちのグループです。一番少人数ながら、活発な意見交換をしていました。
「かけわり図」を選んだグループです。「かけわり図」を選んだ人が一番多かったようです。1人の女子が自信を持って、ノートを見せながら説明を始めました。周りの人たちは、真剣に聞き取っていました。
全員が納得したグループから、黒板に説明するための図をかきました。グループの話し合いをしたことで、自信を持ってかいていました。
全体の話し合いでは、共通点と相違点を見つけることを指導しています。
共通点については、⬜︎を使った式ができているという点ですが、⬜︎×1.6=2400か1.6×⬜︎=2400かの違いに気付きました。
どのグループも、図から1.6と1との関係は、1.6÷1.6=1ということを見い出し、すぐにわり算の式を立てたということがわかり、⬜︎を使った式をその後で書いたということでした。⬜︎を使ってかけ算の形にしてから立式することも大事ですが、最初からわり算に気付けば、⬜︎のかけ算は必要ないかもしれません。
結局、どの図も2つの数値の関係性から⬜︎の式を見い出すという点で同じであることを理解することだできました。
さらに、どれが「はかせどん」かを問うと、やはり「かけわり図」が速くて簡単に書けるという意見が多かったようです。+とかいて数値を書き入れるだけなので簡単です。
また、今回は触れませんでしたが、かけわり図のよさはもっとあります。この場合は、1と1.6の関係性から⬜︎と2400の関係が同じであるという考え方ですが、数値によっては、例えば1ではない場合、別の2つの数値の関係から⬜︎を求める式ができるということもあります。つまり、かけわり図は縦の見方と横の見方ができるということです。(中学校では使っているのでしょうね)
今回の授業では、方法別のグループ学習を実践しましたが、いつものグループ学習をだと自分の考えと違う考えになることがあります。そういう点で、同じ方法の仲間が集まるということでは、とても意欲的に学習できました。単元の中で一度試して見てください。
2018年6月24日日曜日
学び合いで説明させることが大切です(余りのある小数のわり算)
余りのある小数のわり算の学習。余りがいくらになるかを考えます。
下の2つのグループは、出た余りをそのまま答えにしています。F班は、「ここまでいいですか?」などと、発表する時の言葉を書いていました。
A班も同じように説明していますが、商の求め方は既習なので説明しなくてもよいのですが、やはり説明というと全てを説明しようとします。
黒板では、正解チームと誤答チームに別れていました。いつもは、「どっちがはかせどんなんだろう」と比べていますが、今日はどっちが正解なんだろうということです。政界チームからは、「割る数の5.6より余りが大きくなるのはなぜですか。」という質問。誤答チームは、答えられず・・・。この時、「いまの質問から、21という余りはまだ5.6が
入っているから、間違いだということに気が付きました。」という発言ができたら花マルでしたね。それが学び合いです。
下の班は、正解グループでしたが、2つのの数それぞれを10倍するということしか説明していません。誤答グループと同じ説明で、余りだけが2.1となっています。なぜ2.1なのか説明していないことを指摘されると、「21はありえないからです」という答え。算数の説明にありがちな考え方です。なぜ10で割るかを説明していません。
これをうまく説明していたのがC班。もともとのわる数とわられる数を10倍して計算しているので、余りも10倍になっている。だから、10で割らなくてはならないという考え方です。この考えを聞いた他の班から、「あーーーっ」という反応。落ちました。
結論;下のようになりました。
このようなまとめをするために、教師が上位の子どもたちの発言をつないで例題を解きながら説明していけば簡単なことですが、学び合いによって自分たちの力で説明することのよさを感じるようにしていくことが大切です。
2018年6月16日土曜日
5年小数のわり算(筆算)の事例
5年「小数のわり算」の単元です。小数のかけ算では、10(100)倍して積を10(100)で割るという流れで学習してきましたので、同じような方法で解決できるのではないかという考えが出されることは予想されました。
筆算の前々時、2.4mで96円のひも、1mは何円かという問題でした。数直線図や関係図、かけわり図を丁寧に扱うことで、立式はスムーズにできました。そして、96÷2.4の計算の仕方を考えます。見通しはグループごとに行いました。
C班;「10倍して10でわる」のかと思っていたら、10倍して10倍していました。これは予想外でしたが、文章題から見積もりをして、0.4にはなるはずがないから10倍にしたということです。
B班;C班と同じです。なぜ答えを10倍にしたのかを説明できるようにしておこうということを言っておきました。
E班は2.4mを24mにして考えました。当然96円の10倍になり960円で計算できます。つまり、わる数とわられる数を10倍したということになりますね。この班の説明によって、前の2つのグループの人たちの理解につながりました。
G班も同じように両方の数を10倍して考えました。この班のよさは、図で示してわかりやすいということです。しかも、見積もりでだいたい50円ぐらいになるという予想をしていたので、それに近い数ということになります。
わり算は、わる数とわられる数に同じ数をかけても同じ数でわっても商は変わらないというきまりを使えばよいことに気づきました。
そして、次の時間。小数÷小数です。
今回も、数直線図や関係図、かけわり図で丁寧に立式を扱いました。そして、前時でわり算のきまりについて時間をとって話し合った結果、どの班も両方を10倍して整数に直して正しく説明していました。これなら筆算もうまくできるのだろうと思いました。
いよいよ筆算の時間。
式を与え、すぐに見通し。すんなりとそれぞれを100倍にするという見通し。わる数だけを整数にすればよいから10倍でよいという見通しがでなかったのですが、グループ学習に時間を取るためにそのままグループ学習にしました。
全体の学び合い
この3つの班は、小数のまま筆算していました。グループ学習時にもうすこし支援が必要でした。4.65を100倍して答えを100でわるという考えです。つまりかけ算と同じようにやりました。
前時にきちんとわり算の考えができていたのに、どうしてこの班はかけ算と同じにしたのでしょうか。前時をしっかり振り返らせてから見通しを持たせるべきでした。
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この2つの班は、どちらも整数にしていますが、わられる数は100倍、わる数は10倍というように、同じ数ではないということです。これも前の班と同じで、見通しの段階で後藤を防ぐことができたということでしょう。
この2つの班は正答になりましたが、やり方がすこし違います。それぞれを10倍するか100倍するかという違いです。なので、商の位置が違っています。この辺までで時間が迫ってきてしまいましたので、どちらが「はかせどん」かという話し合いを次の時間にやりました。
小数の筆算までの振り返り
○成果として、立式の仕方(数直線図、関係図、かけわり図)を丁寧に扱うことで、立式の意味を理解させることができた。
○見通しをグループごとに持たせることで、主体的に学習を進めることができた。反面、見通しをしっかり持たせないと、習ったことをきちんと用いて問題解決するということができなくなり、話し合う時間がかかり過ぎて、習熟問題を十分に解く時間がなくなる。見通しの持たせ方を事前にはっきりとさせて授業に臨むことが大切である。
○それぞれのグループの考えのよさを取り上げて話し合いをさせたが、いくつかのグループに絞って学び合わせることが重要である。グループ学習時にそれぞれのグループの考えを見取り、話し合う視点を考えておく。(学び合いの効率化)
○確かめ問題や評価問題をしっかりさせ、振り返りで考えのよさを感じさせていく必要がある。
まとめると、まずグループ学習や学び合いを効率的に行うということです。一つの手だてとして、問題把握からの見通しをしっかり持たせることです。今回は、グループでの見通しを重視しましたが、グループで見通しを持たせるには、単元の最後の方の時間に発展的に行うことが望ましいと思います。さらに、全体の学び合いでは、端的な考えに絞って話し合いをさせることも考えなくてはなりません。全部のグループに考えを発表させたりするのは時間的に無理です。いわゆる、教師のコーディネート力にかかっているわけです。そして、評価問題や振り返りをしっかり時間内にさせることが大事です。いかに効率的に学び合わせるかが今後の課題になります。
石田教授の『35+10』の指導法をもう一度勉強したいと思います。
2018年5月27日日曜日
20年前に取り入れていた「フリートーク」というアクティブ・ラーニング
本棚から懐かしい書籍が出てきました。18年前に執筆した実践です。5年生の「合同な形」の単元。
この頃から、「フリートーク」を取り入れて、自由に立ち歩きをさせて、各自好きなように考えを聞き合いました。
フリートークでは、ただしゃべってくるのではなく、互いの考えの共通点や相違点を見つけ出すという目的意識を与えておきます。
フリートークの場面です。平易な言葉で自由に語れる、すぐにわからないことを質問できる、聞きたい人に行くことができる、などいろいろなメリットがあります。
「フリートーク」というアクティブな学びは、20年以上前からの実践でした。現在は、グループ学習を主軸として実践していますが、早く終わった子ども同士交流できるということで、効率的に学び合いができます。
ただし、慣れていないクラスでは、誰も立ち上がらなかったり、逆にふざけ合ったりすることも予想されます。フリートークのねらいをはっきりさせて活動させたいものです。
この頃から、「フリートーク」を取り入れて、自由に立ち歩きをさせて、各自好きなように考えを聞き合いました。
フリートークでは、ただしゃべってくるのではなく、互いの考えの共通点や相違点を見つけ出すという目的意識を与えておきます。
下の「学び合いの約束」は、うちの学校で全学級に掲示して指導している「言葉のキャッチボール」のもとになっています。
フリートークの場面です。平易な言葉で自由に語れる、すぐにわからないことを質問できる、聞きたい人に行くことができる、などいろいろなメリットがあります。
「フリートーク」というアクティブな学びは、20年以上前からの実践でした。現在は、グループ学習を主軸として実践していますが、早く終わった子ども同士交流できるということで、効率的に学び合いができます。
ただし、慣れていないクラスでは、誰も立ち上がらなかったり、逆にふざけ合ったりすることも予想されます。フリートークのねらいをはっきりさせて活動させたいものです。
2018年5月6日日曜日
すべての教科で「考え、議論する」
新学年が始まって、早くも1か月がたちました。本格的な学び合いの授業にするために、算数科ではもちろんですが、すべての教科で学び合うことが必要です。
さて、今年度から道徳が教科になりました。これを機に、全国的に道徳の実践に力を入れている先生が増えているようです。自分もアクティブな道徳を目指して実践してみました。(下は授業後の板書、似顔絵と実名はぼかしを入れています)
さて、今年度から道徳が教科になりました。これを機に、全国的に道徳の実践に力を入れている先生が増えているようです。自分もアクティブな道徳を目指して実践してみました。(下は授業後の板書、似顔絵と実名はぼかしを入れています)
教科になったからと言って今までとがらりと変わるわけではありませんが、道徳も、「主体的・対話的で深い学び」や「アクティブラーニング」的な授業改善を求められています。しかし、登場人物の心情理解のみに偏った形式的な授業が多く見られます。(指導要領より)
上の板書は、5年「ぬぎすてられたくつ」(A 節度,節制)の授業です。くつをそろえない主人公が経験を通して、くつをそろえることの大事さを知るという内容です。一読した後、「くつをそろえるべきだ」という立場と、「くつなんてそろえなくていい」という立場でディベート的に授業をしてみました。道徳でディベートなんてあり得ないというご意見もありそうですが、一つの試みとして実践してみました。板書の吹き出しは、その子どもが話した意見で、→の線はその人への反対意見という意味です。途中、自分が共感する意見が出ると拍手が起こるなど、意欲的な授業になりました。この授業では、単に活発な意見交換ができたということではなく、本音を語る中で、両者ともに「なぜくつをそろえるのか」や、「なぜくつをそろえられないか」ということに対して深まりがあったということです。「考え、議論する道徳」にするために、道徳をはじめとする各教科において、先進の実践を学び、自分なりに試みて授業改善していくことが大切なのではないでしょうか。
このような取り組みにより、算数科での学び合いにつながっていくのだと思います。もちろん、算数科の学び合いを円滑にするという目的ではなく、算数も道徳も、すべての教科や活動で、子どもたちをアクティブにさせる学び合いを意識して取り組む必要があります。
2018年4月15日日曜日
学び合いの仕込み「コミュニケーションゲーム」
新年度が始まり、子たちも新しい教室で張り切っていると思います。
さて、いよいよ授業開始!今年度も学び合いのある授業に取り組んでいこうと思っています。算数や国語などの教科の授業で学び合いの仕方を『仕込む』ことが大事な時期です。4月から5月に渡って、1年間の見通しをもった仕込みをさせるわけですが、ここはコミュニケーションゲームで始めることも有効です。
A、B、C、Dの4人グループをつくります。ペアになって、AはBに1分間できるだけ多くの質問をします。同じようにCはDにどんどん質問します。次の1分で、AはC、DにBから聞き取ったことをどんどん紹介します。つまり他己紹介です。次は、CがDを紹介します。そして立場を交換して同じことをします。
自分のことを他の人に紹介している場面を見ていると、ほとんどの子どもが笑顔になり、顔を接近させて聞き取りをしています。
人から自分のことを質問させることで、自分に興味関心をもってもらったといううれしさが芽生え、それを他の人に紹介されることでさらにうれしさがアップします。これを全員が経験することで、質問したりされたりすること、つまり話し合いのよさを実感できるようになります。
学び合うことは、とても楽しいことです。
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