2011年11月9日水曜日

多様な考えと「考える足場」

今日、南陽市の研修会がありました。個人研究の発表ということで、昨年度、考える足場についての実践発表をさせてもらった研修会でもあります。

参加した分科会の発表で、2年算数の実践がありました。算数的活動を取り入れることで、わかる算数にしようという内容でした。2年生の子供たちは、算数的な活動に慣れ、それを手掛かりに意欲的に解決する姿が想像できました。

その中に、「だいはかせ」(だったと思います)というネーミングで、数理的処理のよさを感得させているということでした。「だ」は誰でも、「い」はいつでも、「は」は速く、「か」は簡単に、「せ」は正確にということで、その頭文字をとったものをネーミングしていました。

数理的な処理のよさという言葉は、もう何年も前からあった言葉で、以前、自分も、黒板の上に「はやい、かんたん、いつでもできる」などという文言を掲示して、多様な考えを練り上げる時に、必ずこの言葉で発問していました。

多様な考えを比較検討するといっても、数理的処理のよさの観点でどれが速くて簡単かという比較検討の話し合いや、いろいろな考えの共通点を見出すことで一般化する話し合いかに分かれるかと思います。算数のよさという広い言葉で言われることもあり、算数指導では欠かせない要素であると思います。

しかし、考える足場の授業では、多様な考えの比較検討というのがとても効率的に行われます。というより、多様な考えが出されない場合が多いと言う方が適切でしょうか。

課題解決学習では、できるだけ多様な考え方を出させ、比較検討することにより、思考力を高め、数学的な考え方を養っていくということが基本です。考える足場の授業では、比較検討をしないのではなく、自力解決する前に比較検討を全体で行うという点で、手法が違います。考える足場を固めた後、主問題1では全体解決になりますが、足場を与えているといるので、この時点で多様な考えはあまり出ることはありません。

多様な考えの比較検討こそが、数理的な処理のよさを感得し、数学的な考え方を養うという考えもありますが、この時、苦手な子供はこの話し合いに参加できません。何を話し合っているのかわからないからです。

この点、考える足場の授業では、説明の仕方や考え方をみんなで共有していくというスタンスで指導しているので、苦手な子供も一人一人が理解できるのです。

では、数理的な処理のよさは味わえないのかという点です。教師から、あえて誤答やつたない考えを提示して比べてみるなどの工夫で、よさを感得することができます。それよりも、足場の授業をしていると、よりよい考えを既習とのつながりで考えるようになるので、自らよさに気づけるようになっていきます。多様な考えの比較検討を否定しているのではなく、より効率的に行うことができるということなのです。足場の授業を実践している先生方、自信を持って実践しましょう!

(つけたし)
今日の研修会でお会いした先生に、「ブログみて参考してます」と言われました。とてもうれしく思いました。読者に登録してくださいという話をしました。みなさんも、読者になって下さい。読者になると書き込みができます。でも、登録したからと言って特に何もかわりません。ニックネームでも結構です。また、実践や疑問なども書き込んでみてください。一般の方も、コメントいただけると励みになります。よろしくお願いします!

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