2020年11月7日土曜日

ニューアイディアを生み出す空気感

4年算数「複合図形の面積」の授業です。やり尽くされた感のある複合図形の面積の授業ですが、敢えて研究授業で公開しました。

見通しの時は、iPadのグッドノートというアプリを使用しました。このアプリの特長は、アップルペンシルで文字を書いたり、図や直線を描いたりできるという点です。

縦に切ったり、横に切ったりして2つの長方形に分けて求めるという一般的なやり方を、子どもたちにこのアップルペンシルを使って、見通しを提示してもらいました。

この2つの方法しか見通しでは出なかったのですが、グループ学習後のホワイトボードには、この2つの方法が出されませんでした。


まずは、見通しで出された方法をiPadで説明させました。Apple Pencilを使うと、画面も大きいのでとても分かりやすかったと思います。(下写真)




見通しでは出ませんでしたが、あると見て引く方法がいくつかのグループから出されました。(下写真)


以下のいくつかの方法では、新しい考えにチャレンジしようと頑張ったグループです。見通しで出された方法でやれば簡単なのに、自分たちでニューアイディアを出そうとしていたようです。

見通しで出された方法をしなかったのはなぜかと聞くと、「みんながやると思ったから、かぶらないように」という反応がありました。

切って移動する方法で、黒板に貼ってからも議論が続いていました。(拍手)


縦×横の面積の基本となる考え方でした。(拍手)切ってたす方法と同じですが、辺の長さではなく、1㎠の数で考えていました。

正方形と残りのL字型が同じ9㎠だから、9×2=18。切るところを自分なりの考え方でやろうとした苦労が伺われます。(拍手)


移動法というネーミングをしました。でも、どんな時でもできるとは限りません。


ちょうど3つに区切ったら全部同じ6㎠なので、3倍したという考え方です。切ってたす方法と同じような考え方であることをおさえました。

 敷かれたレールを素直に歩むのは比較的簡単ですが、自分たちで新しいものを作ろうという空気感を感じました。「はかせどん」(はやい、かんたん、せいかく、どんなときもできる)からすると拙い考えも出されましたが、価値付けしてみんなの拍手をしているうちに、「間違っても一生懸命に考えれば評価される」ということが、クラス全体に広がってきているようです。

2020年11月1日日曜日

前時の誤答を次の意欲にするためのコツ


階段式の正方形が並ぶ図形。正方形の数とまわりの長さとのきまりを見つけて解く問題です。


前時で、時計の問題を話し合っていた時、縦の見方と横の見方が出されていました。2つとも、比例関係を前提とした考えが出されていましたが、それは比例関係ではないので、2つの考えは間違いということになりました。

しかし、縦・横に何倍になっているかをいう見方は、とても重要であることを教え、その考えをしたグループに大きな拍手をしていました。それは、次の時間や高学年の比例の時に大事な見方になるからです。

<板書>


前時に縦の見方で、何倍という決まった数を見つけて解いたグループが5つありました。





案の定、前時で横の倍関係を見つけた人がいたグループでは、横に何倍になっているかという関係性を見いだしていました。それを覚えていたせいか、他のグループも影響されて横の見方をしていました。

前時の誤答が本時に活かされたという授業になりました。

上のノートは、ある男の子が学び合いの時にじっくりと書いていたものです。この子は、普段はそんなに熱心に書いたりしないのですが、算数日記を褒められたりして意欲が高まったのでしょう。

前時で誤答だった2つのグループも、とてもよい考えだということを全体の前でほめて価値づけたことで、本時の意欲につながりました。他のグループもそれに感化されて今日の授業につながりました。

子どもって、こんなふうに変わっていくのですね。

そして、せっかく白熱した学び合いになったので、ホワイトボードを廊下に掲示しました。
先生方や他学年の人からの反響があればいいですね。


 

2020年10月17日土曜日

ネーミングで焦点化

ブロックをグループに分けて式化するという授業です。
見通しで1つの事例を挙げて、「いろいろな方法で式を作ろう」というめあて意識をもたせました。これは1+3+5+7+5+3+1=25ということになることを確認しました。これも、一つの式化というわけですが、グループに分けて式化するということを付け足しました。

まずは同じ形を見いだしてかけ算にするという「同じ形法」多数
次に、移動して効率よく計算するという「移動法」6班
最後に、同じ形を見つけて移動し、平行四辺形のような形に変形するという「ミックス法」2班

実にたくさんの方法が出せるクラスです。でも、ミックス法は、グループ学習の時にヒントをあげたら、思いつきました。

以前は、たくさんの方法が出たからよしとするという考えもありました。その問題の場合にもよりますが、ある程度絞って学び合った方が効率的です。そのためには、「ネーミング」するといいと思います。そうすることにより、焦点化していくからです。

 

2020年9月27日日曜日

「〜倍」なのにわり算になるのはなぜか

 文書題に、「〜倍」と書いてあるのに、なぜわり算なのかがわからないということがあります。それは、□を使った式を使えば説明ができます。文章題を読んで、すぐにわり算だと言う人がいました。倍なのになぜわり算なんだろうという課題意識を持たせました。
 まずは、プチ自力解決。そしてすぐにグループ学習へ。

 □×6=72という式を立てたグループと、すぐにわり算をしたグループに分かれました。






まずは、共通点について問うと、どのグループも式と線分図で説明しているということでした。そして、違うところは何か?については、□を使っているかいないかということになりました。
 図からわり算になることは明らかだという考えと、「〜倍」だからかけ算の式で表すべきだという意見が出されました。ここで、めあてを確認すると、「説明しよう」なので、まずは□×6としないと問題の意味を正しく説明していないのではないかということになりました。  
問題慣れしてくれば、すぐにわり算だということに気がつくのですが、ここは、しっかりと題意を把握させたい時間になるので、しっかりと□を使った式を書くことの意味をとらえさせました。すぐにわり算だという人も納得していました。

どんな考えを出させるか、学び合いの構成には教師の意図が必要

 コロナ禍ではありますが、徐々に本来の学び合いの姿に戻っています。
さて、4年算数「倍の見方」の単元で、何倍になるかという問題を通して、簡単な割合に関する考え方を身に付けるのがねらいです。
<問題>
どちらの包帯がよく伸びるでしょう。
A の包帯;30cmが60cm
B の包帯;15cmが45cm

これはおもしろい問題です。なぜなら、伸びた長さが同じなので、同じだという見方があるからです。当然、下のようなグループがありました。


















 「よく伸びる」ということが、伸びた長さが同じ場合は、伸び方が同じととらえています。これは、低学年から学習した、「ひき算」の感覚ですね。
 次の3班は、何倍になっているかという割合の考え方です。
























 8グループのうち、2つのグループがひき算の考え方、つまり伸びた長さで比べていました。3つのグループが、3班と同じように何倍になったかという割合の考え方でした。そして、2つのグループは、



というように、2つの考え方があり、どちらが正しいのかというグループ学習をしたのですが、結論が出なかったというのです。なので、グループ学習の時に、2つの考え方を書いていいよと言っていました。
 今までの学年でグループ学習をした時は、算数が得意な子どもの意見に左右されるという傾向がありましたが、このように2つの考え方をしっかりと示すということも、大切にしたいと思いました。

 伸びる長さで比べるか、何倍になったかで比べるのか、どちらが正しいのかを話し合っていると、あるグループが次のような考え方をしていました。























 もし同じ長さだったらということで、もとの長さを同じにするという考えです。ホワイトボードが未完成だったので、このグループの考えを赤で補いながら説明させました。
 片方の数値を揃えて比べるという新しい方法です。この考えに、差で考えていた子どもたちから、「なるほど」という声が上がりました。高学年の割合の学習で、片方を比べて考えるという方法から、もとの数を1とするとどれだけになるか、つまりわり算をすれば良いという割合の考え方になるわけです。
 こういう考え方が出されれば理解できるのですが、出されない場合はどうするか。3つ考えられます。1つは、教師自らこの考えを提示するということ、2つ目は、グループ学習の時に、「もとの数を揃えたらどうなるかな?」という問いをヒントにするということです。3つ目は、見通しでこの問いを投げかけて、考え方の一つにするということです。このように、どんな学び合いにしたいかという教師の意図が必要となります。









2020年7月18日土曜日

コロナ対策のグループ学習開始!

約半年ぶりのアップになります。

新年度から新型コロナ感染防止のため、密にならない授業を心掛けてきました。机と机のディスタンスを十分に取り、子どもたちが同じ方向を向いているという昔の大学の講義のようになっていました。さらに、主要4教科に関しては、進度の遅れを取り戻すために、どんどん進めてきました。なので、自分が意図している学び合いがなかなかできずにいました。

しかし、このままでは、「主体的・対話的で深い学び」を追究できる授業ができないままになってしまいます。そこで、少しずつですが、密にならないような学び合いの姿を探ってきました。

今までのように、3、4人が顔を付き合わせて学び合うというのではなく、4人が同じ方向を向いて話し合います。机に座っている人がホワイトボードに書きます。後の2人は、書いている人の後ろに立って話し合います。もちろん、全員マスク着用させます。



このようにすれば、飛散防止にもなると思います。気付いたことは、4人が同じ方向なので、ホワイトボードが見やすいということです。

2020年1月5日日曜日

コミュニケーションゲーム的学び合い



3学期始まりますね。子どもたちの顔を見るのがとても楽しみです。

さて、2学期の実践からです。算数では、「問題づくり」というものがあります。問題を解くことはあっても、問題づくりまでは手が届かないのかもしれませんが、問題をつくることによって、何を答えればよいのかをじっくりを考えることができます。

問題づくりは、今まで何回かありましたが、これを学び合い+コミュニケーションゲームとしてできないだろうかと考えました。そこで、次のような手順とルールを伝えました。

1 グループで算数の問題をつくる。(グループ学習)

2 その後、問題を解き合う。(自力解決)

3 正解を各グループが黒板に書く。

4 各自採点をする。

5 正解者が15人(クラスの約半分)に近い問題をつくったグループが優勝。
(全問正解では簡単過ぎ、全員求められなかったら難し過ぎ)

※今回は、学習したばかりの「場合の数」の単元に限定してみました。


【教科書やドリルを参考にして必死にグループで問題をつくっている】


【それぞれの問題を自力解決した後に、グループごとに黒板に正解を書く】


【板書です】

一番左のグループは、「15種類の色から7色を使って図のような旗を作る時、何種類の旗がが作れるか」という問題。教科書では、もっと単純な問題でしたが、全員正解してはいけないと思い、ほんのちょっとだけ難しくしたつもりでした。しかも、「表で説明しなさい」という無謀(?)な条件がついていました。

解答例を書くときに、本当に表で表せるのだろうかと不安になりながら話し合って。そしたら、とんでもない数になることに気づきました。

この時、普段の授業では算数に関心を示さなかった女子が、必死になって表を書き始めました。あり得ないぐらい一生懸命書いていました。黒板に書ききれない、または、時間が足りないとこがわかっていてもとことん表をかいていました。

コミュニケーションゲーム的な要素を入れてみたら、最初の問題づくりから、一人一人がどんどん深く考えている様子が見られました。普段やっている問題を解くための話し合いではないので、新鮮だったのでしょうか。そして、模範解答を示すときでも、4人が真剣に話し合って答えを書いていました。

問題づくりで失敗してしまったグループもありましたが、自力解決できた数で楽しんでいました。

一人一人が意欲的にゲーム的なルールに沿って話し合いました。改良していけば、単元の最後に位置付けてみてもいいかなと思いました。












2020年1月3日金曜日

文章題理解につながる国語科での取り組み

あけましておめでとうございます。2020年最初の記事になります。今年もよろしくお願いします。

さて、算数では、よく文章題が苦手という話をよく聞きます。算数の文章題理解でも、国語の長文読解でも、読解力が不足しているというのは学力調査などで報道されている通りです。ある程度の文章を読んで理解するという当たり前のことが、文章離れによって困難になっているのかもしれません。

そこで、朝学習の15分間でできる文章理解のための学習を仕組んでみました。まずは、最近新聞離れという傾向があるので、毎日いただいている新聞に目をつけました。比較的容易な投書欄を使いました。小中学生でも投書欄に掲載されていますので、小学生にも簡単に読むことができます。これを読んで、グループごとに題名を考えさせます。いつものドリル的な学習と違って、子どもたちは意欲的に題名を考えていました。

しかし、このやり方には問題がありました。まず、聞き取るという力も必要になってくるということです。しかも、聞き取ってキーワードを拾って題名を考えるというのは、かなりレベルが高いということです。さらに、一人一人が自分の考えを持ってグループの話し合いに参加しないと、自分では考えなくてもよいという空気が生まれます。そして何より、時間が短すぎました。

そこで、授業でやってみることにしました。そして、投書欄は印刷して一人一人に配布しました。(2枚目の写真)↓もちろん、一人一人が題名を考えてからグループ学習に入りました。グループ学習後にホワイトボードを黒板に貼ります。ピタリ賞は5点、キーワードは一つにつき1点などと点数化しました。




何回かやっているうちに、題名をつけるコツを掴んできました。それは、文章を読んで、何が書かれているのか、大事なことは何か、筆者は何を伝えたいのかということに着眼するようになったからです。しかも短時間に読み取れるようになってきました。



国語の授業としてやってみましたが、工夫して朝学習でも十分できると思いました。これを続けていけば、文章理解が容易になり、算数の文章題や他教科での理解も早くなっていくのではないかを考えています。