2013年3月19日火曜日

少人数にしたから成果が出るということではない

 
 
卒業式も終わり,学年末の期末事務で大忙しの先生も多いと思います。(私もそのうちの一人ですが・・)
 
さて,山形県公立高校入試の翌日(3/11),地元山形新聞に下記のような新聞が載っていました。山形県では,「教育山形さんさんプラン」を実施しています。小中学校の1学級を33人以下にするという少人数学級編成です。
 
 
このプランのおかげで,一人一人に関われる時間が増え,授業時間内の個別指導をする時間的余裕もでき,教師にとっても子供にとっても大変ありがたいプランであることは確かです。
 
本校でも,TT指導を可能な限り取り入れて,ある一定の成果を上げています。教師が一人一人,特に苦手な子供に対して指導できる時間を確保し,従来と比べると十分に指導でき,子供への学力向上につながるというものです。確かに少人数にすればするほど,個に関わることができ,理解できる子供が増えると思います。
 
ところが,自分のクラスでTT指導を行っていた時,苦手な子供がわからずに苦労していた時,
「(TTの)○○先生にやり方聞けばいいんだ。」
この言葉に,ハッとしました。少人数にしたりTT指導を取り入れたりした結果,ますます教師を頼ってしまう子供をつくってしまっているのではないだろうかと・・・。大勢の中では,みんなみたいに考えられないから,別の教室で先生に丁寧に教えてもらおうという姿勢が見られました。
 
また,県教委義務教育課では次のように述べています。
「1学級の人数を少なくしたから成果が出るわけではなく,この環境を生かした指導改善が必要」と強調しています。
 
山形県の算数の傾向として,全国学力テストなどから分析すると,基礎と応用の力がアンバランスで,県では,応用力を意識した算数の指導改善が急務であることを指摘しています。
 
県は,少人数にすれば基礎学はもちろん,応用力も身に付き,学力が向上するものと考えていました。しかし,期待したほど学力が上がっていないということでしょう。全国学力テストでも,毎年言われるのが,B問題の正答率が低いということで,山形県の子供は,応用力や活用力が低いという実態が浮き彫りになりました。
 
そこで,県だけでなく各地区の教育事務所などでも,特に算数の力をつけようということで,さまざまな取り組みを行っているようです。当然,各学校においても,学校研究として指導法の工夫をして学力を上げようとしています。
 
ところが,年に1回の研究授業をしても,なかなか改善というレベルには到達せず,伸び悩んでいるのが実情です。
 
やはり,県教委の,「少人数にしたから成果が出るということではない」の言葉に見えるように,一人一人に関わる時間が増えれば学力が上がるというのではないと思います。授業そのものを改善しなければなりません。今までのやり方では,なかなか効果が期待できません。根本的な授業改善,いや改革の時期にきています。
 
この研究会で実践している「学び合いで考える足場をつくる」という指導法では,学力を向上させることができます。学び合いの仕方がしっかり身に付いた学級の子供たちは,確実に力をつけています。授業での子供の姿はもちろん,学力テストの結果がそれを実証しています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 


2013年3月17日日曜日

2/3と3/4どちらが大きい?

ようやく春めいてきましたね。

さて,先月に参観した筑波大附属小学校の算数の授業はブログでも紹介しました。

『2/3と3/4どちらが大きい?』

5年の通分につながる異分母分数の大小比較を,4年の発展として行った授業です。4年生までは,同分母しかやっておらず,少々無理があるのではと思っていましたが,さすが筑波の子どもたち。どんどん意見を出していました。

その中で,「通分」という言葉も飛び交っていました。塾に行って通分を習っているわけです。だから,あの子たちにとってはハードルは高くはないということです。案の定,どんどん説明をしていました。1を12こに分けた図をフリーハンドで説明する姿は,素晴らしいの一言です。

4年生では,等しい分数ということにも触れているし,同分母ならば大小比較できることも学習しています。だから,この異分母分数の大小比較は,ちょっと考えればうちのクラスでもわかるのではないかと思い,発展として実施してみました。

予想としては,同じ大きさだという人が2人いました。理由は,分子,分母ともに1増えているからということでした。ほとんどの人は,3/4が大きいと予想しました。理由は,図に正確にかくと大きいからということです。

この時,分母が3だと正確にはならないという意見も出ました。というわけで,きちんと説明する必要感が生まれました。
「よし,これで筑波のような流れになるだろう。」
と思いました。

しかし,グループの話し合いでも,なかなか名案が浮かばす,ホワイトボードに何をかけばよいかわからない班がほとんどでした。3分の2は6分の4と等しいということを想起させましたが,その後がなかなか続かない様子です。
「12この目盛りをかけば,すぐに説明できるのに・・・」
と思いました。

やはり,異分母についてはかなりハードルが高かったようで,グループ学習でも全体の学び合いでも,なかなか理解が難しかったようです。

では,塾に行って学年を先取りした内容を学習していなければ無理なのでしょうか。いや,可能です。1年生から学び合いで足場をつくる学習に慣れている4年生であれば,気づきの段階で数字が違う異分母分数をたくさん作れるはずだし,教師の準備も具体的な図などを提示すれば必ず解くことができるはずです。

この授業を通して,自分の学級だけで学び合いによる足場をつくる授業を実践するだけでなく,組織として全校で共通して学び合いの授業を推進していくことが重要であると思いました。

そういう点では,3学期始めに,全クラスにホワイトボードを導入し,グループ学習を推進したことは,推進の第一歩となります。まずは,先生方にこの指導法のよさを知ってもらい,実践してもらうことですね。組織としての推進が今後の課題です。がんばります!

2013年3月12日火曜日

問題1つじゃ終わらない!

「問題1つじゃ終わらない!」

2月19日に行われた,「『考える力』を育む教科指導改善研究会」(置賜教育事務所主催)で,授業づくりのイメージと手だてを共有するためにつくられた文言です。

今年度は,国語,算数,数学の3教科でプロジェクトチームをつくり,授業を通して「考える力」を育むための授業を提案していくというものです。算数では,私が昨年の11月に提案しました。参加者多数のため,体育館での授業となりました。(ブログ参照)

その時の授業は,学び合いにより考える足場をつくるという授業です。主問題1をグループや全体で解決し,そのことを見通しとし,主問題2を自力解決するというものです。一つだけの問題を自力解決し学び合い,まとめていくという課題解決型の授業とは異なります。この時の授業をまとめると,

○一人一人に考え方の「見通し」を持たせるために
①既習と関連づいた気づきから,問題解決の見通しを全体で行い,整理・統合する
②整理・共有した見通しを生かして,2問目以降,自力で解決する場面を設ける
③解決した方法を筋道立てて説明し合う場面を設け,その後につなぐ

この内容は,自分の授業,つまり,「学び合いで考える足場をつくる」とうことです。プロジェクトチームとしても,今回の授業を評価し提案していきたいという方向性でまとまりました。

今回の内容は,平成24年度県教委発行「さんさんガイド 第9集」の中で紹介される予定です。