2013年1月19日土曜日

学び合う子供を育てる【石田先生からの提言】

予定通りの大雪です。でもうちの地域は、毎年大雪なので、今年雪が多いのかどうかわかりません。でも、この景色で運転をしていると、雪国に住んでてよかったと思います。


さて、1月17日、昨年から予定していた授業が行われました。横浜国立大学の石田先生にご指導をいただけるということで、数日前から打ち合わせをしました。今回は、若手の二人の先生の授業を見ていただくことにしました。

<3年算数「小数のたし算」>I教諭
担任のI先生は、昨年10月にも指導していただき、今回は2回目です。
本時の主問題1では、0.3+0.6を説明し、正しく計算できるようにします。

まず0.3は0.1が3こ分
次に0.6は0.1が6こ分
だから0.3+0.6は、0.1が(3+6)こ分なので、0.9

というような説明をさせる授業です。子供たちは、小数点をそろえればよいとか、小数点をつければよいなどと、意味もわからずに計算してしまいがちです。ここでしっかりと意味づけをすることで、整数と同じ仕組みであることや、引き算やかけ算、わり算にも発展できることなど、数学的な見方考え方を身につけることができます。

今回の授業では、見通しで
① 0をかくして
② 分数を使って
というのが出ました。

「0をかくす」という見通しについては、問題提示の時の気づきで、0.3はどういう小数かという話し合いをしておけば、0をかくすという意味をしっかりつかみ、説明に結びつけたと思います。

分数が既習ということで、分数を使ってという見通しが出されました。これは、
3/10は1/10が3こ分・・・という説明です。

これについては、既習の分数と小数が同じ仕組みであるという点に着目しているということです。数の拡張性という意味では、発想が素晴らしいと思いました。

次に主問題②では、0.6-0.2という引き算です。

今回は、啓林館の問題を使いました。他の教科書は、すべて1時間でたし算だけを扱っていますが、加法減法というハードルより、整数と小数のハードルが高いわけです。たし算が説明できれば、引き算も同じように説明できるという数学的思考をさせるのに良いと思いました。

しかし、「0をとって」という表現の子供がいたりして、単位小数が何こ分という整数に直すことが、うまく子供に理解されていませんでした。主問題1できちんとノートに書かせることで、それを足場として主問題2を全員にきちんと書かせたいと思いました。(写真は、きちんと説明ができていた子供のノート)
※ 「だから」のあとに、「0.3+0.6は」を挿入したい。

【石田先生のご指導】
・立式の時や見通しの時に、単に
「式は?」と言って式を言わせるだけでなく、「みんなで考えをつなげよう」という指示(発問)は必要である。
・主問題1のあとは、しっかりと板書しノートに自分で書かせることが大事。これが、主問題2の足場になる。全員にしっかりと書かせたい。

(もっとありましたら、授業者のI先生、コメントお願いします。)



<4年小数のわり算>N教諭
主問題は、3.6÷3という小数÷整数の第1教時目でした。

まず、気づきから入りました。ポットの絵と数値からの気づきを促します。グループで10秒ほど確認の時間を与えることで、全員挙手をしました。石田先生によると、ここで一人一人に気づきを持たせることが大事であるという教え通りです。

気づきを言わせていくと面白いことがわかります。それは、習ったことをもとに気づきをみんなで話し合うことで、問題化できるということです。こちらから問題提示しなくても、子供たちだけで問題をつくることができるということです。

立式のあと、見通しを持たせました。「整数法」「10倍法」などのネーミングが出されました。かけ算で用いたものです。ネーミングは、次の学習にも生きてきます。

次にグループ学習。これには驚き!一人一人が考えを話しています。傍観している人は、ほとんどいません。どこかの附属小学校の授業を見ているようです。まさに、こういう子供を育てなければなりません。こういう活発な話し合い活動が可能になると、どんな問題であっても、どの教科であっても、主体的に学ぶ子供が育っていくわけです。

  (どの班も、活発なグループでの話し合いをして、ホワイトボードに書き進む)

このホワイトボードが物語る通り、全体の学び合いでもどんどん意見が交わされました。N先生の、共通点や相違点に着目させる指導も、素晴らしかったです。

主問題2では、ほとんどの子供が説明することができました。しかし、やはりここでも、主問題1の説明をきちんと板書し、ノートに書かせたいと思いました。そうすれば、全員完璧に説明ができるようになるでしょう。

【石田先生ご指導】
・一律に「いいと思います」というのは、正しいということなのか?このぐらいのレベルの学級であれば、それぞれ自然な反応や態度ができるのではないか。それを目指したい。

・教師が、整数であることを強調しているが、「共通しているところを見つけましょう。」という発問で「見つける」という視点を与える。

・先生がすべて提示しなくても、子供が気づくようになる。子供がやるべきところや考えるべきところを見つけさせることが大事で、これが主体的な学びにつながる。

・主問題2で、見せ合うことや教え合うというのはよい。自分たちで直したり、よりよい考えを出し合ったりできるようにする。

このぐらいのレベルの学び合える子供を育成するのに、どのような指導をしてきたかをまとめ、他学級に発信してみてはどうか。



というわけで、素晴らしい学び合いであると絶賛していただきました。若いお二人の先生方は、今回で2度目となるご指導であり、どちらのクラスも前回よりレベルアップしているとのお褒めの言葉をいただきました。

石田先生との会話の中で、研究会(学習会)をしてみなさんの授業力アップに協力したいというお話がありました。今までは、自分の実践を紹介したり、授業を見ていただいたりしながら、よさを広めてきましたが、石田先生にご指導していただければ、さらに実践者が増え、山形県の学力向上につながっていくものと思います。楽しみになってきました。

石田先生、ありがとうございました。








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