2021年2月23日火曜日

少人数学級で、協働的に表現力や思考力を身に付けさせる 〜2つの学校の飛込授業より〜

 <飛込授業その1>

2020年12月4日 南陽市立漆山小学校にて5年生のクラスにて飛込授業をさせていただきました。この授業は、8年前、米沢市立西部小学校に勤務していた時に、石田教授と共に学び合いの本を執筆なさっていた先生を石川県からお呼びして、示範授業をしていただいた時の授業 です。

ともなって変わる2つの数を表で表し、きまりを見つけて解く問題です。きまりさえ見つけられれば簡単ですが、二次関数の要素があるので、きまりに気付くまでに時間がかかるというものです。 

今回は、協働的な学び合いの校内研修会ということで依頼されましたので、授業の初めから相談させたりと、随所に学び合いの要素を取り入れました。

めあてに、きまりを見つけるという言葉を入れて見通しを立て、しかも表の1部分を提示していたので、個人学習では全員が考えを持って解いていました。1人だけピラミッドを実際に描いていましたが、他の子どものやり方と比べ、時間がかかりそうだと思って表を作ってきまりを見つけていました。自分の考えを他の考えを比べ、自ら「はかせどん」に気付いた場面でした。この、「自ら気付く」ということが、考える力になるのだと思います。


グループから出されたやり方は、ほぼ同じように、表を途中までかけば、「段の数×段の数」というきまりに気付くことができました。

ほぼ同じような考えの場合は、表現のよさについて語らせます。
・言葉で書くことのよさ
・式や表で表すことのよさ
このような話し合いをしていくと、さらに伝わりやすい方法を考えるようになります。文章表現の場合も、「まず」「次に」「だから」という言葉を使うことや、できるだけ無駄なく簡潔に文章化することなどを考えさせます。(表現力、論理的思考力)

最後の振り返りでも、きまりを見つけると簡単であることを実感していた人が多かったようです。今回も、グループ学習のよさが見られた授業になりました。

<飛込授業その2>
次に、2月17日、飯豊町立添川小学校で飛込授業をさせていただきました。
今回は4年生ということでしたが、前の小学校で5年生に行った授業ができないかと考えました。なぜなら、きまりに気付きさえすれば、4年生の「変わり方」という単元で学習したことが使えるからです。

この学校の4年生は8人ということで、グループにすれば2つか3つになるわけですが、コロナ対策ということもあり、全員前向きで8ペアでの学び合いにしました。気付きでも、「ピラミッドであること」「正方形の数」「2つずつ増えていること」など、本時のねらいに添った意見が出されました。


まずは個人学習。前の学校では、表まで提示する見通しでしたが、「変わり方」の単元を学習済みということを聞いて、少し考えさせてもよいかなと思い板書しませんでした。しかし、ほとんどの子どもたちは、ともなって変わる2つの数から表を作り、きまりを見出そうとしていました。

ペア学習では、考え方の違うペアや、片方が誤答になっているペアがありました。考え方が違うペア(グループ)では、強く言った子どもの意見に流されやすくなることがありますが、みんな自分の考えをしっかりと伝え合っていました。表の数字が間違っていた人は、話し合いにより誤答に気付きました。これが学び合いのよさでもあります。


4つのペアそれぞれの考えをホワイトボードに書いて、黒板に貼ってもらいました。同じ考えをくっつけて貼ることを伝えました。同じ考え同士をくっつけて提示するのは、全体の学び合いの場面で見やすくするという理由もありますが、それよりも共通点や相違点をはっきりさせておくためです。共通点や相違点をはっきりさせることで、比べる見方ができるようになり、「はかせどん」という数理的な処理のよさに気付かせることにつながるのです。

写真の左の2つは、増える数が2ずつ増えることに気が付き、10段まで書いて求める方法です。4年生では、増える数がいくつという学習はしてきたものの、増える数が2ずつ増えるというのは扱っていないと思うので、これに気付くのはなかなか難しいと思いました。

右の2つは、表を最後まで書かなくても、段の数×段の数なので、公式化すればわかるというものです。ペア学習の時に、すでにこのことに気付いていた女の子がいましたので、全体の学び合いで活躍してもらおうと考えていました。

どちらがはかせどんかということを考えさせる時に有効なのが、
「100段の時の正方形の数は?」
という発問に対して、どちらが速く、正確に、どんな数でもできるのかということに目を向けさせます。そうすると、すぐに2乗する方法を使い、
「100×100=10000個です」
と答えます。

もちろん、増える数が2ずつ増えるという考えの着眼点のよさなども取り上げ、みんなで作り上げた学び合いであることを実感させます。はかせどんも効率的で良いけれど、それぞれの考えのよさに気付かせることも、学び合いで大切にしたいと思っています。


授業の後、2つの学校で、講演までさせていただきました。自分の拙い実践がお役に立てれば嬉しい限りです。

授業と講演をさせていただき、自分の学び合いの実践を理解していただくことができました。さらには、自分自身の学びにもなり、成長することができました。
本当にありがとうございました。

追記;授業の初めに、「先生は何歳に見える?」という問いに対して、半数が30歳と忖度していただき、とてもうれしかったです。






2021年1月10日日曜日

丁寧な見通しが考える足場につながる

 市内の小学校にて、6年算数「場合の数」の組み合わせの授業を参観させていただきました。

順列の時と何が違うか、落ちや重なりがないようにするにはどうすれば良いかという見通しをしっかり持たせていました。

丁寧な見通しは、考える足場になるのでとても大切です。


そして、グループでの学び合いにより、下のような考えが出されました。






2020年11月7日土曜日

ニューアイディアを生み出す空気感

4年算数「複合図形の面積」の授業です。やり尽くされた感のある複合図形の面積の授業ですが、敢えて研究授業で公開しました。

見通しの時は、iPadのグッドノートというアプリを使用しました。このアプリの特長は、アップルペンシルで文字を書いたり、図や直線を描いたりできるという点です。

縦に切ったり、横に切ったりして2つの長方形に分けて求めるという一般的なやり方を、子どもたちにこのアップルペンシルを使って、見通しを提示してもらいました。

この2つの方法しか見通しでは出なかったのですが、グループ学習後のホワイトボードには、この2つの方法が出されませんでした。


まずは、見通しで出された方法をiPadで説明させました。Apple Pencilを使うと、画面も大きいのでとても分かりやすかったと思います。(下写真)




見通しでは出ませんでしたが、あると見て引く方法がいくつかのグループから出されました。(下写真)


以下のいくつかの方法では、新しい考えにチャレンジしようと頑張ったグループです。見通しで出された方法でやれば簡単なのに、自分たちでニューアイディアを出そうとしていたようです。

見通しで出された方法をしなかったのはなぜかと聞くと、「みんながやると思ったから、かぶらないように」という反応がありました。

切って移動する方法で、黒板に貼ってからも議論が続いていました。(拍手)


縦×横の面積の基本となる考え方でした。(拍手)切ってたす方法と同じですが、辺の長さではなく、1㎠の数で考えていました。

正方形と残りのL字型が同じ9㎠だから、9×2=18。切るところを自分なりの考え方でやろうとした苦労が伺われます。(拍手)


移動法というネーミングをしました。でも、どんな時でもできるとは限りません。


ちょうど3つに区切ったら全部同じ6㎠なので、3倍したという考え方です。切ってたす方法と同じような考え方であることをおさえました。

 敷かれたレールを素直に歩むのは比較的簡単ですが、自分たちで新しいものを作ろうという空気感を感じました。「はかせどん」(はやい、かんたん、せいかく、どんなときもできる)からすると拙い考えも出されましたが、価値付けしてみんなの拍手をしているうちに、「間違っても一生懸命に考えれば評価される」ということが、クラス全体に広がってきているようです。

2020年11月1日日曜日

前時の誤答を次の意欲にするためのコツ


階段式の正方形が並ぶ図形。正方形の数とまわりの長さとのきまりを見つけて解く問題です。


前時で、時計の問題を話し合っていた時、縦の見方と横の見方が出されていました。2つとも、比例関係を前提とした考えが出されていましたが、それは比例関係ではないので、2つの考えは間違いということになりました。

しかし、縦・横に何倍になっているかをいう見方は、とても重要であることを教え、その考えをしたグループに大きな拍手をしていました。それは、次の時間や高学年の比例の時に大事な見方になるからです。

<板書>


前時に縦の見方で、何倍という決まった数を見つけて解いたグループが5つありました。





案の定、前時で横の倍関係を見つけた人がいたグループでは、横に何倍になっているかという関係性を見いだしていました。それを覚えていたせいか、他のグループも影響されて横の見方をしていました。

前時の誤答が本時に活かされたという授業になりました。

上のノートは、ある男の子が学び合いの時にじっくりと書いていたものです。この子は、普段はそんなに熱心に書いたりしないのですが、算数日記を褒められたりして意欲が高まったのでしょう。

前時で誤答だった2つのグループも、とてもよい考えだということを全体の前でほめて価値づけたことで、本時の意欲につながりました。他のグループもそれに感化されて今日の授業につながりました。

子どもって、こんなふうに変わっていくのですね。

そして、せっかく白熱した学び合いになったので、ホワイトボードを廊下に掲示しました。
先生方や他学年の人からの反響があればいいですね。


 

2020年10月17日土曜日

ネーミングで焦点化

ブロックをグループに分けて式化するという授業です。
見通しで1つの事例を挙げて、「いろいろな方法で式を作ろう」というめあて意識をもたせました。これは1+3+5+7+5+3+1=25ということになることを確認しました。これも、一つの式化というわけですが、グループに分けて式化するということを付け足しました。

まずは同じ形を見いだしてかけ算にするという「同じ形法」多数
次に、移動して効率よく計算するという「移動法」6班
最後に、同じ形を見つけて移動し、平行四辺形のような形に変形するという「ミックス法」2班

実にたくさんの方法が出せるクラスです。でも、ミックス法は、グループ学習の時にヒントをあげたら、思いつきました。

以前は、たくさんの方法が出たからよしとするという考えもありました。その問題の場合にもよりますが、ある程度絞って学び合った方が効率的です。そのためには、「ネーミング」するといいと思います。そうすることにより、焦点化していくからです。

 

2020年9月27日日曜日

「〜倍」なのにわり算になるのはなぜか

 文書題に、「〜倍」と書いてあるのに、なぜわり算なのかがわからないということがあります。それは、□を使った式を使えば説明ができます。文章題を読んで、すぐにわり算だと言う人がいました。倍なのになぜわり算なんだろうという課題意識を持たせました。
 まずは、プチ自力解決。そしてすぐにグループ学習へ。

 □×6=72という式を立てたグループと、すぐにわり算をしたグループに分かれました。






まずは、共通点について問うと、どのグループも式と線分図で説明しているということでした。そして、違うところは何か?については、□を使っているかいないかということになりました。
 図からわり算になることは明らかだという考えと、「〜倍」だからかけ算の式で表すべきだという意見が出されました。ここで、めあてを確認すると、「説明しよう」なので、まずは□×6としないと問題の意味を正しく説明していないのではないかということになりました。  
問題慣れしてくれば、すぐにわり算だということに気がつくのですが、ここは、しっかりと題意を把握させたい時間になるので、しっかりと□を使った式を書くことの意味をとらえさせました。すぐにわり算だという人も納得していました。

どんな考えを出させるか、学び合いの構成には教師の意図が必要

 コロナ禍ではありますが、徐々に本来の学び合いの姿に戻っています。
さて、4年算数「倍の見方」の単元で、何倍になるかという問題を通して、簡単な割合に関する考え方を身に付けるのがねらいです。
<問題>
どちらの包帯がよく伸びるでしょう。
A の包帯;30cmが60cm
B の包帯;15cmが45cm

これはおもしろい問題です。なぜなら、伸びた長さが同じなので、同じだという見方があるからです。当然、下のようなグループがありました。


















 「よく伸びる」ということが、伸びた長さが同じ場合は、伸び方が同じととらえています。これは、低学年から学習した、「ひき算」の感覚ですね。
 次の3班は、何倍になっているかという割合の考え方です。
























 8グループのうち、2つのグループがひき算の考え方、つまり伸びた長さで比べていました。3つのグループが、3班と同じように何倍になったかという割合の考え方でした。そして、2つのグループは、



というように、2つの考え方があり、どちらが正しいのかというグループ学習をしたのですが、結論が出なかったというのです。なので、グループ学習の時に、2つの考え方を書いていいよと言っていました。
 今までの学年でグループ学習をした時は、算数が得意な子どもの意見に左右されるという傾向がありましたが、このように2つの考え方をしっかりと示すということも、大切にしたいと思いました。

 伸びる長さで比べるか、何倍になったかで比べるのか、どちらが正しいのかを話し合っていると、あるグループが次のような考え方をしていました。























 もし同じ長さだったらということで、もとの長さを同じにするという考えです。ホワイトボードが未完成だったので、このグループの考えを赤で補いながら説明させました。
 片方の数値を揃えて比べるという新しい方法です。この考えに、差で考えていた子どもたちから、「なるほど」という声が上がりました。高学年の割合の学習で、片方を比べて考えるという方法から、もとの数を1とするとどれだけになるか、つまりわり算をすれば良いという割合の考え方になるわけです。
 こういう考え方が出されれば理解できるのですが、出されない場合はどうするか。3つ考えられます。1つは、教師自らこの考えを提示するということ、2つ目は、グループ学習の時に、「もとの数を揃えたらどうなるかな?」という問いをヒントにするということです。3つ目は、見通しでこの問いを投げかけて、考え方の一つにするということです。このように、どんな学び合いにしたいかという教師の意図が必要となります。