2018年5月27日日曜日

20年前に取り入れていた「フリートーク」というアクティブ・ラーニング

本棚から懐かしい書籍が出てきました。18年前に執筆した実践です。5年生の「合同な形」の単元。
 この頃から、「フリートーク」を取り入れて、自由に立ち歩きをさせて、各自好きなように考えを聞き合いました。
 フリートークでは、ただしゃべってくるのではなく、互いの考えの共通点や相違点を見つけ出すという目的意識を与えておきます。

 

下の「学び合いの約束」は、うちの学校で全学級に掲示して指導している「言葉のキャッチボール」のもとになっています

フリートークの場面です。平易な言葉で自由に語れる、すぐにわからないことを質問できる、聞きたい人に行くことができる、などいろいろなメリットがあります
「フリートーク」というアクティブな学びは、20年以上前からの実践でした。現在は、グループ学習を主軸として実践していますが、早く終わった子ども同士交流できるということで、効率的に学び合いができます。

ただし、慣れていないクラスでは、誰も立ち上がらなかったり、逆にふざけ合ったりすることも予想されます。フリートークのねらいをはっきりさせて活動させたいものです。

2018年5月6日日曜日

すべての教科で「考え、議論する」

 新学年が始まって、早くも1か月がたちました。本格的な学び合いの授業にするために、算数科ではもちろんですが、すべての教科で学び合うことが必要です。

 さて、今年度から道徳が教科になりました。これを機に、全国的に道徳の実践に力を入れている先生が増えているようです。自分もアクティブな道徳を目指して実践してみました。(下は授業後の板書、似顔絵と実名はぼかしを入れています)


教科になったからと言って今までとがらりと変わるわけではありませんが、道徳も、「主体的・対話的で深い学び」や「アクティブラーニング」的な授業改善を求められています。しかし、登場人物の心情理解のみに偏った形式的な授業が多く見られます。(指導要領より)

 上の板書は、5年「ぬぎすてられたくつ」(A 節度,節制)の授業です。くつをそろえない主人公が経験を通して、くつをそろえることの大事さを知るという内容です。一読した後、「くつをそろえるべきだ」という立場と、「くつなんてそろえなくていい」という立場でディベート的に授業をしてみました。道徳でディベートなんてあり得ないというご意見もありそうですが、一つの試みとして実践してみました。板書の吹き出しは、その子どもが話した意見で、→の線はその人への反対意見という意味です。途中、自分が共感する意見が出ると拍手が起こるなど、意欲的な授業になりました。この授業では、単に活発な意見交換ができたということではなく、本音を語る中で、両者ともに「なぜくつをそろえるのか」や、「なぜくつをそろえられないか」ということに対して深まりがあったということです。「考え、議論する道徳」にするために、道徳をはじめとする各教科において、先進の実践を学び、自分なりに試みて授業改善していくことが大切なのではないでしょうか。

 このような取り組みにより、算数科での学び合いにつながっていくのだと思います。もちろん、算数科の学び合いを円滑にするという目的ではなく、算数も道徳も、すべての教科や活動で、子どもたちをアクティブにさせる学び合いを意識して取り組む必要があります。

2018年4月15日日曜日

学び合いの仕込み「コミュニケーションゲーム」

新年度が始まり、子たちも新しい教室で張り切っていると思います。
さて、いよいよ授業開始!今年度も学び合いのある授業に取り組んでいこうと思っています。算数や国語などの教科の授業で学び合いの仕方を『仕込む』ことが大事な時期です。4月から5月に渡って、1年間の見通しをもった仕込みをさせるわけですが、ここはコミュニケーションゲームで始めることも有効です。

A、B、C、Dの4人グループをつくります。ペアになって、AはBに1分間できるだけ多くの質問をします。同じようにCはDにどんどん質問します。次の1分で、AはC、DにBから聞き取ったことをどんどん紹介します。つまり他己紹介です。次は、CがDを紹介します。そして立場を交換して同じことをします。

自分のことを他の人に紹介している場面を見ていると、ほとんどの子どもが笑顔になり、顔を接近させて聞き取りをしています。

人から自分のことを質問させることで、自分に興味関心をもってもらったといううれしさが芽生え、それを他の人に紹介されることでさらにうれしさがアップします。これを全員が経験することで、質問したりされたりすること、つまり話し合いのよさを実感できるようになります。

学び合うことは、とても楽しいことです。

2018年3月21日水曜日

若い教師の授業研(フォレスタネットセレクションより)

卒業式も終わり、ほっと一息というところです。卒業担任だったのでということを言い訳にして、ブログ更新をさぼっておりました。新年度に向けて、また意欲的に投稿しようと思っているところです。

そんな時に、フォレスタネットから冊子が届きました。SERECTIONという冊子です。



中を拝見すると、2年前の校内研の授業に対するコメントでした。このブログでアップした記事です。若い先生方も、学び合いをがんばっていましたので、つい投稿してしまいました。自分の授業だけでなく、他の先生から学んだことも積極的にアップしていくことで、自分のためになることはもちろん、読んでいただいている方々にも多少なりとも参考にしていただけるのではないかと思っています。

自分は低学年の経験がないので、こういう授業を見ると、低学年の算数をやってみたくなります。


記事をご覧になりたい方は下をクリック!
http://vaio0819.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html

2018年1月10日水曜日

主体的・対話的な学びを育てる授業づくり

 今の教育界では、「主体的・対話的な学び」を求めています。山形県でも、「探究型の学習」を提唱しています。目指すところは同じです。

この主体的・対話的な学びというのは、どういう学習を定義しているのかは、たくさんの書籍を読めばわかると思います。

横浜国立大学の石田淳一教授は、主体的・対話的な学びを育てる授業づくりのコツを提案しています。
⑴学び合いの教室空間
  教室をコの字にしたり、最初からグループにしたり、学び合うための空間が必要です。全体の学び合いでは、机を後ろに移動して全員を黒板前に座らせる方法も有効です。

⑵能動的問題把握を促す問題提示の工夫
    問題定時にはいろいろな方法があります。図や表だけを提示して気付きを話し合ったり、どんな解法があるかを話し合ったりします。従来の授業では、問題提示→見通し→自力解決という流れがありましたが、問題の段階ですでに学び合いが始まります。最初から解法の話し合いになることもあります。大事なことは、子どもたち自ら色々な気づきをさせるということと、相談などのプチ話し合いを認めていくということです。そして、みんなで見通しを共有することですね。

⑶グループ学習の取り入れ方の工夫
  見通しをもったら自力解決という課題解決型からの脱脚です。問題の意味も理解できない、見通しももてないという状態で一人で問題を解決できるはずはありません。自力解決できる子どもは、私の経験上数パーセントくらいでしょうか。
  グループの組み方も最初は意図的なメンバーがいいと思います。でも、最終的にはどういうメンバーでもやっていけるようにするのが理想です。
  グループで話し合う前に、プチ自力を入れる場合があります。そういう場合は、グループでの話し合いが活発になります。見通しを全体ではなく、グループで行う場合もあります。ある程度、学び合いに慣れて力がついた時に有効です。

⑷間をとって、相談・算数トークが自然にできる指導
  いろいろな場面で、相談タイムを設定します。「相談させてください」と、子どもたちから自発的に要求してくるようになります。また、算数 トークは、今後とくに重要視される学び合いの中心となるものです。算数トークの善し悪しでよい学び合いの授業になるかどうかが決まります。

⑸子どもが授業を進める学び合いの指導
   主体的に学ぶということですが、算数トークができるようになると、子供たち自から考えをつなぎ合うことができるようになります。ちなみに、うちの学校では、「言葉のキャッチボール」というものがあります。

⑹聴き方・話し方指導
 学び合いでは、言うまでもありませんね。

⑺一人一人が目的をもって話し合いができる指導
  何を明らかにしようとした話し合いかを考えさせます。ふつうは、「はかせどん」です。

⑻つなぐを促す教師の働きかけ
  いきなり意見をつなげるようになるわけはありません。「今の考えどう?」「その考えってどういうこと?」などと常に全体に問いかけます。「考えをつなぐ」ことをうながすことですね。

⑼子どもがまとめをつくる指導
   本時のまとめをグループで考えさせました。ここでも学び合いです。

⑽学びの実感ができる振り返りの指導
    私は、「わかったこと」「いいなと思った考え」「もっとやってみたいこと」という点について振り返りをさせています。石田先生からのご指導で、ノートを交換して互いに読み合い、いいなと思った部分に線を引かせるということもやってみました。振り返りでもやっぱり学び合いです。





2018年1月3日水曜日

チーム学習のプチ道場

 ブログをご覧になられている皆さん、今年もよろしくお願いします。

さて、平成29年12月27日の箱根合宿セミナー(授業力開発セミナー)に参加して、チーム学習について発表させていただきました。

まず自分の担任歴を紹介させていただきました。

3・4、4・5、5・6、5・6、3・4、4、6、4、4、5、6、6、5・6、5・6、担外、5、6、3、5、6、3、5、6、4、3、4、5、6、4、5、現在6
若い頃は複式学級を7年間担任しました。複式学級には直接指導と間接指導があり、間接指導時には、先生なしで自分たちで授業を進めることになります。複式指導時に、何とかして自分たちで学び合いをさせられないかというのが一番の課題でした。学習プリントや学習のリーダーなどいろいろな工夫をしました。そのことが今の学び合いに通じていることを確信しています。
横浜国大の石田淳一教授のご講演を拝聴したり、書籍を読んだりしながら、主体的な学び合いについての実践を始めました。そして、グループ学習を中心にした「学び合い」のある算数指導の実践を継続しています。
今、自分が実践していることは、
1 問題提示からの気付き(グループで相談)
2 グループ学習
3 グループ同士のチーム学習
4 グループでのまとめ
5 グループを基本とした個人学習
6 グループでのふり返り
チーム学習というのは、グループの考えをグループ同士のペアで比較検討する場を設けた指導法です。石田先生が数年前に提唱した指導法で、昨年出版した本にも掲載されています。
チーム学習のよさ
できたかどうか、自信があるか、困っていることはないか、一緒に考えてみたいこと ⇒ 自由に話せる
解法の相違点や共通点、わかったことが明白になる
クラス全体で考えをつなげ合うという意識が育つ
グループ学習よりも、さらに主体的、協働的な学びにつながる
チーム学習の課題
・どのグループとグループをチームにするかを意図的に組み合わせなければならない。(どのような全体の学び合いにするかを見通すこと)
・子どもたちの主体性をもとにチームをつくれないか。

※ 発表内容を、新潟のA先生が自分の実践をまとめてくださいました。さすがです!





2017年12月10日日曜日

底面積と底体積のこだわり

期末事務で超多忙な時期ですが、一息入れるためにアップしてみます。

三角柱の体積を求める問題(写真下)ほとんどの子どもたちは、「底面積×高さ」であることを知っています。だから、4×3÷2をして三角形の面積を求め、それに高さをかけて求められるという気付きが多数ありました。

写真の左にちょこっと見える図形は、4×3×5の四角柱です。これは、1㎤が4×3個並び、それが5段あるからということで説明できます。4×3は底面積と同じになるということから底面積×高さという四角柱の公式が導き出されるわけです。

ところが、三角柱というものも同じなのかという検証がなされていないのに、子どもたちは底面積×高さという公式が使えるものだと思っています。

三角柱の体積を求めるために提示した図
見通しで、底面積×高さでよいのかという疑問を投げかけてグループ学習に入りました。
チーム学習の組み合わせは、底面積×高さという求め方と、四角柱の半分という考えのグループをチームにしました。(下写真)このチーム学習で、見通しで出された、三角柱でも底面積×高さでよいのかということが話し合いの中心になるだろうと予測していました。

各グループから出された考え
<ここで話し合わせたかったこと>
・底面積×高さという公式が、三角柱でも使えるのかということ
・底面積×高さという公式が使えるとすれば、多角柱や円柱も同じではないだろうかという推論

しかし、実際には両方の考えを伝え合っただけで、答えが同じという結論になりました。どちらも、はかせどん(はやい・かんたん・どんなときも使える)は、ほぼ同じだろうということでした。

その後の全体の話し合いでは、そこを焦点化してみました。
T「三角柱は、底面積×高さという公式を使ってよいかどうかまだわからないよ。」
C「え?底面積×高さでも求められるんですよ?」
C「実際に求められているじゃないですか」
下の図を板書して、「1段目の体積は1㎤が4×3の半分だから÷2。これは底面積と同じだよね。 」と説明してしました。なんとなく、納得したようでした。(底体積とでもネーミングすればよかったかもしれません)

本日の授業では、底面積と1段目の体積が同じ数値になるから公式が使えるという説明をさせるつもりでした。そのためには、クラスの実態にもよりますが、「三角柱の体積が底面積×高さで求められることを説明しよう」というめあてで授業を仕組むことも考えられます。

このような内容の授業は、この学年が4年生の面積でもやりました。たて×横はほとんどの子どもが知っています。でも、なぜ長さと長さをかけると面積になるのかということの説明をさせるために、地道に1㎠が何個分だからという捉え方をさせてきました。

長さ×長さ=面積、面積×長さ=体積という理論は、高校の数学を学んでやっと意味がわかるものです。公式だけ覚えさせてテストで点をとらせるだけなら、教師は必要ありませんね。筋道を通して考えさせる力を養うために、算数を学ばせているわけです。

なぜ面積に高さをかけると体積になるのか、どうすれば説明できるのかという話し合いができる授業にしていかなければなりません。そして、そういう議論が好きな子どもにしていくことが、算数にとっては大切だと思います。

探究の鬼を育てなければなりません。