2021年11月3日水曜日

数学的な効率性で深く考えさせる

今年度、6年3クラスの算数を担当していますが、同じ授業でもクラスによって出される考えが違います。だから、全体の話し合いの流れが微妙に変わります。しかし、流れが変わっても取り上げる考え方の順番は決まっていると思います。

本時は、4人でリレーの順番の決め方は何通りあるかという順列の問題です。落ちや重なりがなく順序よく数えるというめあてにしました。

まずは1組。
各グループの考えが、期待していた通りに出されました。
まずは、表で考えたグループ。最初のAを固定していますが、2番目のBは固定していません。


次は、2番目のBも固定しています。

次は、樹形図に近いやり方です。Aは1回しか書いていないので効率的です。

出ました!樹形図。最後まで枝分かれして、落ちや重なりがなく効率的です。

今の順番でホワイトボードを並べて提示しました。グループ分けは、できるだけ子どもたちにやらせます。でも、より数学的な考えに並べるのは、教師の役割だと考えています。(慣れてくれば子どもたちでできますが)

次は2組の授業です。
初めの考えは誤答ですが、私は誤答が出ると嬉しくなります。なぜなら、比較することで正答のよさが浮き彫りになるからです。下の考えは、Aを固定していますが、2番目のBを固定していないので、落ちが出てしまいました。そういうことを考えさせてくれたということで、誤答のグループには拍手👏します。

次は、落ちはないのですが、Bを固定していないやり方です。固定しないと、落ちをつくってしまう可能性があります。

これは、Bも固定しています。落ちや重なりの可能性が減ります。

そして出ました。樹形図!しかも、Aの場合を書いただけで、あとは同じ数になるから、6×4で計算しています。

板書は以下のようになりました。これも、効率性を考えて並べています。


そして最後は3組です。
他のクラスにもありましたが、最初だけ固定しています。でも、よく見るとB以降は2番目を固定するよさに気がついています。ここは取り上げるべきでしょう。

2番目も固定しています。

全て書かなくても、B以降も同じ数になることに気づき、6×4で計算して出しました。

そして樹形図のよさが浮き彫りになりました。

板書は以下のようになりました。3組も数学的な効率性の順に並べています。

このように、ホワイトボードの並べ方を『はかせどん』(はやい、かんたん、せいかく、どんなときも)という数学的な効率性の順に並べて考えさせることにより、数理的な処理のよさに気づけるようになります。さらに、そのよさを説明できるように工夫をすれば、深く考えさせることができます。
 

2021年10月17日日曜日

比例が「かけわり図」へと発展

久しぶりのアップになります

 現在、6年生の3クラスの算数を担当しています。教科担任制の先駆けとして、6年だけですが教科担任を中心として学習指導を行なっています。

 教科担任のメリットとしては、教材研究や授業の準備が楽になる、また、学年全体が同じ歩調で進でられるということでしょうか。デメリットとしては、他のクラス担任が、算数の力を把握できないということですね。その辺は、毎日のように授業の様子を担任に伝えられるようにしていますが・・・。

 さて、今回の授業。比例の活用です。


 画用紙300枚という枚数は、重さや厚さと比例しますが、比例関係のきまりを用いながら数えないで300枚を用意するという課題になります。  


 比例には、横の見方(一方の値を2倍、3倍、4倍・・にするともう一方2倍、3倍、4倍・・になる)と、たての見方(一方の値にきまった数をかけるともう一方の値になる)を学習しますが、両方の見方をさせたいというのが今回のねらいです。

 このクラスでは、横の見方のグループがほとんどで、1つのグループがたての見方でも解いていました。たて横どちらでもよいのですが、この場合は、横の方が簡単です。たての見方では、92÷10をして9.2倍を導き出すことが必要になります。

 ただ、別の場合ではたての見方の方が簡単な場合があります。それを主問題2として個人学習で行います。

 たて横両方できるようにした後、これを「かけわり図」という言葉でおさえます。教科書には書いていませんが、このかけわり図は、比例関係の問題ではかなり有効です。◯は△の何倍かということさえ計算できれば、かけ算でもわり算でもすぐに答えを導き出すことができます。このかけわり図は、20年以上前にある校長先生から教わったものです。それ以来、このかけわり図を子どもたちに教え続けています。

2021年2月23日火曜日

少人数学級で、協働的に表現力や思考力を身に付けさせる 〜2つの学校の飛込授業より〜

 <飛込授業その1>

2020年12月4日 南陽市立漆山小学校にて5年生のクラスにて飛込授業をさせていただきました。この授業は、8年前、米沢市立西部小学校に勤務していた時に、石田教授と共に学び合いの本を執筆なさっていた先生を石川県からお呼びして、示範授業をしていただいた時の授業 です。

ともなって変わる2つの数を表で表し、きまりを見つけて解く問題です。きまりさえ見つけられれば簡単ですが、二次関数の要素があるので、きまりに気付くまでに時間がかかるというものです。 

今回は、協働的な学び合いの校内研修会ということで依頼されましたので、授業の初めから相談させたりと、随所に学び合いの要素を取り入れました。

めあてに、きまりを見つけるという言葉を入れて見通しを立て、しかも表の1部分を提示していたので、個人学習では全員が考えを持って解いていました。1人だけピラミッドを実際に描いていましたが、他の子どものやり方と比べ、時間がかかりそうだと思って表を作ってきまりを見つけていました。自分の考えを他の考えを比べ、自ら「はかせどん」に気付いた場面でした。この、「自ら気付く」ということが、考える力になるのだと思います。


グループから出されたやり方は、ほぼ同じように、表を途中までかけば、「段の数×段の数」というきまりに気付くことができました。

ほぼ同じような考えの場合は、表現のよさについて語らせます。
・言葉で書くことのよさ
・式や表で表すことのよさ
このような話し合いをしていくと、さらに伝わりやすい方法を考えるようになります。文章表現の場合も、「まず」「次に」「だから」という言葉を使うことや、できるだけ無駄なく簡潔に文章化することなどを考えさせます。(表現力、論理的思考力)

最後の振り返りでも、きまりを見つけると簡単であることを実感していた人が多かったようです。今回も、グループ学習のよさが見られた授業になりました。

<飛込授業その2>
次に、2月17日、飯豊町立添川小学校で飛込授業をさせていただきました。
今回は4年生ということでしたが、前の小学校で5年生に行った授業ができないかと考えました。なぜなら、きまりに気付きさえすれば、4年生の「変わり方」という単元で学習したことが使えるからです。

この学校の4年生は8人ということで、グループにすれば2つか3つになるわけですが、コロナ対策ということもあり、全員前向きで8ペアでの学び合いにしました。気付きでも、「ピラミッドであること」「正方形の数」「2つずつ増えていること」など、本時のねらいに添った意見が出されました。


まずは個人学習。前の学校では、表まで提示する見通しでしたが、「変わり方」の単元を学習済みということを聞いて、少し考えさせてもよいかなと思い板書しませんでした。しかし、ほとんどの子どもたちは、ともなって変わる2つの数から表を作り、きまりを見出そうとしていました。

ペア学習では、考え方の違うペアや、片方が誤答になっているペアがありました。考え方が違うペア(グループ)では、強く言った子どもの意見に流されやすくなることがありますが、みんな自分の考えをしっかりと伝え合っていました。表の数字が間違っていた人は、話し合いにより誤答に気付きました。これが学び合いのよさでもあります。


4つのペアそれぞれの考えをホワイトボードに書いて、黒板に貼ってもらいました。同じ考えをくっつけて貼ることを伝えました。同じ考え同士をくっつけて提示するのは、全体の学び合いの場面で見やすくするという理由もありますが、それよりも共通点や相違点をはっきりさせておくためです。共通点や相違点をはっきりさせることで、比べる見方ができるようになり、「はかせどん」という数理的な処理のよさに気付かせることにつながるのです。

写真の左の2つは、増える数が2ずつ増えることに気が付き、10段まで書いて求める方法です。4年生では、増える数がいくつという学習はしてきたものの、増える数が2ずつ増えるというのは扱っていないと思うので、これに気付くのはなかなか難しいと思いました。

右の2つは、表を最後まで書かなくても、段の数×段の数なので、公式化すればわかるというものです。ペア学習の時に、すでにこのことに気付いていた女の子がいましたので、全体の学び合いで活躍してもらおうと考えていました。

どちらがはかせどんかということを考えさせる時に有効なのが、
「100段の時の正方形の数は?」
という発問に対して、どちらが速く、正確に、どんな数でもできるのかということに目を向けさせます。そうすると、すぐに2乗する方法を使い、
「100×100=10000個です」
と答えます。

もちろん、増える数が2ずつ増えるという考えの着眼点のよさなども取り上げ、みんなで作り上げた学び合いであることを実感させます。はかせどんも効率的で良いけれど、それぞれの考えのよさに気付かせることも、学び合いで大切にしたいと思っています。


授業の後、2つの学校で、講演までさせていただきました。自分の拙い実践がお役に立てれば嬉しい限りです。

授業と講演をさせていただき、自分の学び合いの実践を理解していただくことができました。さらには、自分自身の学びにもなり、成長することができました。
本当にありがとうございました。

追記;授業の初めに、「先生は何歳に見える?」という問いに対して、半数が30歳と忖度していただき、とてもうれしかったです。






2021年1月10日日曜日

丁寧な見通しが考える足場につながる

 市内の小学校にて、6年算数「場合の数」の組み合わせの授業を参観させていただきました。

順列の時と何が違うか、落ちや重なりがないようにするにはどうすれば良いかという見通しをしっかり持たせていました。

丁寧な見通しは、考える足場になるのでとても大切です。


そして、グループでの学び合いにより、下のような考えが出されました。