2019年10月22日火曜日

小集団グループのメリット・デメリットからの『3人グループ』


得意な子どもと教師とのやりとりで進んでいく授業や、教師の講義型の授業では、苦手な子どもは置いていかれます。そこで、小集団交流をして、一人一人に参加させようという試みは、20年以上前から行われています。それぞれのメリット・デメリットをまとめてみました。

【4人グループ】
それぞれのグループで話し合ったことを、ホワイトボードを使って説明させます。ところが、過去数年間4人グループでやってきた結果、話し合いに入っていない子どもが見られることもありました。なんとなく参加している、いわゆる「お客様」状態の子どもがいます。発表する時は、基本的に4人全員に発表させますが、4人の分担ではちょっと人数が多いように感じています。

【ペア】
その点を解消したのが「ペア学習」です。ペアであれば、必ず「聞く」「話す」ということが保証され、一人一人が参加できます。低学年などで取り入れていることが多いですね。しかし、このペア学習では、教師がずべてのペアを見取ることができません。しかも、ペアによっては、苦手な子ども同士であれば2人とも黙ってしまったり、得意な子どもと苦手な子どもでは、一方的に伝えているだけになってしまったりということもあります。簡単な伝え合いや、正誤を確認するだけであれば問題はありませんが、全てのペアに話し合って結論を出すことを求めるのは無理があります。

【自由交流(フリートーク)】
20年ほど前に実践していた自由交流です。自力解決が終わった子どもからどんどん交流できる効率性があります。いろいろな考えに触れさせるにはとてもよい方法です。現在は、算数や道徳などでふり返りを伝え合う場面で用いています。しかし、算数の自力解決後に行う場合、いつも仲良しの友達にばかり行っておしゃべりをしてしまったり、交流が苦手で話しかけられない子どもがいたりすると、自分の考えと比較検討するという目的が果たせない人も見られます。交流の目的ややり方をしっかりと身につけておかないと、なかなか効果は出せません。さらに、考えが違った場合、互いに説明し合ってもうまく間違いを指摘できないこともあります。また、教師が発表させたい数人を選び、交流時にその子どもたちにホワイトボードや黒板にやり方を書かせておかなければなりません。その子どもたちは、交流できないでいることが多くなります。


【3人グループ】
そこでやってみたことが3人グループです。3人という人数は、4人よりも1人少ないというだけなのですが、一人一人が話し合いに参加できます。しかも、苦手な人がいても、3人いれば何とか考えをまとめることができます。昔から、「3人寄れば文殊の知恵」という意味がわかります。各グループから提示されるホワイトボードの数は、4人グループよりも増えますが、黒板に貼れないことはなく、考え方別にまとめていくとスッキリします。

下の写真は、比例の式を考えさせるという授業です。今回は、全てのグループの共通点から式のつくり方を考えさせました。参加意欲が高まっているので、全体の学び合いでもすぐに理解できていました。


「小集団交流」は、何年も前からいろいろな実践がありました。考えもなくグループ学習を取り入れている授業もたくさん見てきました。大事なことは、どの方法が一番よいかということではなく、どの教科のどの場面でどんな交流をさせれば、授業のねらいに迫れるのかをよく考えて実践し、効果を検証していくことです。

2019年10月19日土曜日

かけわり図のよさを実感する


夏休み辺りからの原稿執筆のため、久々の投稿になります。
6年「速さ」の学習です。速さと道のりから時間を求める方法を考える授業です。

今回は、数直線図を使って考えるという見通しにより、一人一人が数直線図に挑戦しました。1時間で80㎞だから⬜︎時間では200㎞という関係をつかめば、容易に図を書くことができます。自力の後、グループで話し合いをさせました。

ホワイトボードを見ると、200は80の何倍かを考えています。そのためには、
200÷80=2.5倍、1の2.5倍だから2.5時間という流れです。つまり、横の関係性に着目させます。

 

Bグループの図を見ると、他のグループにはない補助線がありました。
説明を聞くと、80を80でわると1になるという関係から、200を80でわればよいという考えです。つまり、縦の関係性に着目しています。(下図)



5年生の時に教えた「かけわり図」です。考え方からすれば横の関係で考えるのが筋ですが、⬜︎の中の数値を求める場合は、縦の関係が簡単に計算できるとすれば、縦の計算でよいわけです。計算は、より速くて簡単な方法が求められます。どちらが効率的に求められるかは、その時の数値にもよりますが、縦横自由に考えることができるようにすることも、数学的な考え方を養う上で大切になると思います。