2017年12月10日日曜日

底面積と底体積のこだわり

期末事務で超多忙な時期ですが、一息入れるためにアップしてみます。

三角柱の体積を求める問題(写真下)ほとんどの子どもたちは、「底面積×高さ」であることを知っています。だから、4×3÷2をして三角形の面積を求め、それに高さをかけて求められるという気付きが多数ありました。

写真の左にちょこっと見える図形は、4×3×5の四角柱です。これは、1㎤が4×3個並び、それが5段あるからということで説明できます。4×3は底面積と同じになるということから底面積×高さという四角柱の公式が導き出されるわけです。

ところが、三角柱というものも同じなのかという検証がなされていないのに、子どもたちは底面積×高さという公式が使えるものだと思っています。

三角柱の体積を求めるために提示した図
見通しで、底面積×高さでよいのかという疑問を投げかけてグループ学習に入りました。
チーム学習の組み合わせは、底面積×高さという求め方と、四角柱の半分という考えのグループをチームにしました。(下写真)このチーム学習で、見通しで出された、三角柱でも底面積×高さでよいのかということが話し合いの中心になるだろうと予測していました。

各グループから出された考え
<ここで話し合わせたかったこと>
・底面積×高さという公式が、三角柱でも使えるのかということ
・底面積×高さという公式が使えるとすれば、多角柱や円柱も同じではないだろうかという推論

しかし、実際には両方の考えを伝え合っただけで、答えが同じという結論になりました。どちらも、はかせどん(はやい・かんたん・どんなときも使える)は、ほぼ同じだろうということでした。

その後の全体の話し合いでは、そこを焦点化してみました。
T「三角柱は、底面積×高さという公式を使ってよいかどうかまだわからないよ。」
C「え?底面積×高さでも求められるんですよ?」
C「実際に求められているじゃないですか」
下の図を板書して、「1段目の体積は1㎤が4×3の半分だから÷2。これは底面積と同じだよね。 」と説明してしました。なんとなく、納得したようでした。(底体積とでもネーミングすればよかったかもしれません)

本日の授業では、底面積と1段目の体積が同じ数値になるから公式が使えるという説明をさせるつもりでした。そのためには、クラスの実態にもよりますが、「三角柱の体積が底面積×高さで求められることを説明しよう」というめあてで授業を仕組むことも考えられます。

このような内容の授業は、この学年が4年生の面積でもやりました。たて×横はほとんどの子どもが知っています。でも、なぜ長さと長さをかけると面積になるのかということの説明をさせるために、地道に1㎠が何個分だからという捉え方をさせてきました。

長さ×長さ=面積、面積×長さ=体積という理論は、高校の数学を学んでやっと意味がわかるものです。公式だけ覚えさせてテストで点をとらせるだけなら、教師は必要ありませんね。筋道を通して考えさせる力を養うために、算数を学ばせているわけです。

なぜ面積に高さをかけると体積になるのか、どうすれば説明できるのかという話し合いができる授業にしていかなければなりません。そして、そういう議論が好きな子どもにしていくことが、算数にとっては大切だと思います。

探究の鬼を育てなければなりません。




2017年11月12日日曜日

石田セミナー箱根合宿のご案内



 だいぶ寒くなりましたね。昨日、冬タイヤに交換しました。初雪もそろそろですね。

   さて、今年も石田先生の合宿セミナーが開催されます。私は、チーム学習の実践を発表したいと思っています。昨年も参加しましたが、全国から学び合いの授業を進めたい方々が集まります。

   算数で学び合いの授業について関心のある方は、ぜひご参加ください。以下、要項をご覧ください。

(ここから)

平成29年度授業開発セミナー     2910

                                  川上 彰久

  平成291227日()~28日(文部科学省箱根宿泊所授業開発セミナーを開催します年々、東京都神奈川県の教育管理職・指導主事、教員、大学生の参加者が増えて嬉しい限りです。本年度も下記の通り開催します。多数の参加を期待しています。

 期日 平成291227日)~28日(
 会場、文部科学省共済組合箱根宿泊所 四季の湯強羅静雲荘  TEL.0460-82-3591
〒250-0408 神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320
箱根湯本駅より箱根登山鉄道強羅駅下車、地下道を上がり直進徒歩約5分
箱根登山鉄道 箱根湯本駅発強羅行き(約40分)(平日ダイヤ)    
12時10分、25分、38分、52分
13時12分、25分、39分、51分
強羅発箱根湯本行き
9時  5分、20分、35分、50分
10時 分、20分、38分、53分
                     11時 8分、23分、38分、53分
3 研修日程
 12月27日(現地集合 13時45分
14時~17時 研修室
研修1 石田先生の講義・演習学び合い算数授業づくり
      入浴 懇親会18時~19時30分予定
   20時~22  研修2 実践報告と意見交流会
(1)国田(広島)先生  (2)有賀(東京)先生 (3)希望する
           〇石田先生の指導助言
意見交流
 12月28日( 朝食後
9時~11    研修3 算数授業ビデオ視聴と石田先生の講話
  11     解散予定
4 講師 石田 淳一先生 横浜国立大学 教育学部教授(博士)
 費用 1泊2食+研修費+飲物、入湯税実費 1万3千円程度学生は1万
     夕食のみ日帰り5000円、研修会1のみ参加1000円                    
 申込み 宿泊は10部屋30確保してあります 研修のみ日帰りも事前に申込む
7 申込締切り 11月30日 職場等団体は早めに申込む、その分部屋数を確保します。
8 問い合わせ先 
   川上 携帯09058067564 自宅 047-449-1233 職場03-6910-3529
   有賀 携帯09022232979 職場 03-3263-0564 千代田区立九段小学校 
 梅島小関係者等は、往JR上野熱海行9:45最後尾車両 小田原11:15
小田原駅で石田先生合流昼食予定 

2017年10月29日日曜日

正答グループ3対誤答グループ3のチーム学習

公開研が終わりましたが、チーム学習は日々続きます。



中学校では、集合として扱われている問題でしょうか。両方に手を挙げた人がみかんやバナナに手を挙げた人と同じなのか、それとも違うのかというのが学び合いの中心となります。

さっそくグループ学習をしました。このグループ学習の学習状況を見取ってチームを組むわけですが、今までにないことが起きました。それは、正答3と誤答3という結果です。すかさず、誤答と正答のチームを組みました。

どのチームも互いに答えが違うということで、重なりをどうとらえるかの話し合いになっていました。みかんやバナナに手を挙げた人が、両方に手を挙げた人と重なるのかどうかという点です。

Aグループを見ると、18人と11人は違うという考えです。だから、みかんは2×18に11を足しています。明らかに誤答ですが、チーム学習で子どもたちの学び合いだけで、誤答に気付きました。そして、青ペンで訂正の式を書いていました。


Bグループは、重なりがあるということを力説し、正答であることを説明していました。

しかし、18人の2倍という点で、かける数とかけられる数が逆であることに気付きました。お互いに学び合いをして、相手グループから学んだということですね。

チーム学習で話題になったことを黄色チョークで下に書くことにしていますが、それを見ると、まさに本時で大切な重なりについて焦点化した学び合いをしていました。

今回は、正答3と誤答3という理想的な組み合わせになったチーム学習になり、それぞれの正答と誤答のチームで同じような学び合いをして、正答につないでいました。

Bチームの考え方の他に、「~だけ」の人数を求めてからみかん、バナナを求めてもよいという確認も必要です。

その後、Aグループの図をもとに、ベン図を紹介しました。

こういう理想的なチーム学習の場合、その後の全体の学び合いでの練り合いが必要なくなります。発表しなくても、それぞれが学び合っていたので、確認程度で終わりました。

学び合いの効率化です。

2017年10月22日日曜日

学び合いの算数授業の評価(市公開研にて)

市の公開研究発表会が終了しました。今回の授業では、グループ学習からグループ同士が学び合うチーム学習、さらにその流れで全体の学び合いはどうあるべきかということを提案しました。簡単に言うと、学び合いのある算数授業のあり方ということです。

今回の授業は、6年算数「場合を順序よく整理して」(場合の数)の3教時目。組み合わせの問題です。4チームが総当たりするには、全部で何試合あるかという授業。



グループからのチームごと、縦にホワイトボードを並べています。

ABチームは、誤答と正答の組、DEチームは表の見方の違う組、CFチームは考え方の違う組という構成にしました。グループ学習の様子を見取り、組み合わせを決めました。
Aグループは正答でしたが、式の意味がよくわからないで書いていました。Bグループは、対戦表を用いていましたが、すべてを数えて誤答でした。チーム学習では、Bが誤答であったことが逆に4×3÷2のなぜ2でわるのかが分かりました。

DEチームは、縦の味方と横の味方の違い。Dグループは、Aを決めて他の一つを数えています。本時のまとめにつながる味方をしています。

CFチームは、対戦表と樹形図(?)のペア。このペアを中心に、全体の学び合いで共通点について考えさせ、Aを決めてもう1つを順序よく数えるという説明につなげました。


分科会(事後研究会)では、3グループのワークショップで行いました。青の付箋は成果、赤は課題というやり方です。

チーム学習のよさについてのコメントが多かったようです。


各グループからの発表です!さすが先生方は説明がうまい!


先生方から出されたコメントは以下の通りです。
1.     チームで話すと、低位の子どもが救われる。
2.     チーム学習のよさを実感。ABチームにおける「÷2」の気付き。高まりが見られた。
3.     チーム学習の中での気付きがあり、自分たちの話の中で、教えたり教えられたりすることができた。
4.     既習の違いに着目させる声がけ。
5.     課題の把握が、きちんとできていた。・前時との違いの確認、・わかったこと(気付き)、何を求めればよいかをしっかり全体で確認している。
6.     チーム学習に入る前に、どんな方法で問題が解けそうか、見通しをしっかり持たせていた。
7.     補助発問が効果的。「どんな表なの?」「何かの教科でみたことある?」
8.     対戦表など、ホワイトボードにどんどん書き込んでいく主体性◎「難しいから楽しい」という声もあり、意欲的!!
9.     チーム学習のよさ、対戦表と樹形図の考え方の共通項に気付くことができた。
10.  お互いのチームのよさを認め合える雰囲気ができている。先生の一言「Bチームの表がヒントになってわかったことあるね。」
11.  チーム学習は、形式的な話し方ではなく、子どももの言葉で伝え合える。
12.  チームでの深め合いがあった。すごい。チーム学習、クラスの団結力も高められる。「÷2」についても、学び合いがあったからこそ気付けた。
13.  自力解決中心の不安になる授業とは異なり、一人一人がかかわりながら学ぼうとしている。
14.  説明の型が決まっていて、適用題への取り組みがスムーズに行えた。
15.  ホワイトボードの色の使い分けがわかりやすい。
16.  子どもたちの話をするスキルが高い。
17.  日常での説明力を身に付ける意図した授業。
18.  チーム内で安心して話し合う雰囲気、認め合い、温かさ→学級づくりのすばらしさ。
19.  関連性を見つけ、気付きを深める教師のコーディネート力
20.  予想される子どもの反応が細かくある。
21.  見通しをもつことで、活動しやすくなった。
22.  見通しをもつことで、安心して課題に取り組むことができている。
23.  学習規律・授業の流れ→子どもたち定着→主体的に取り組みことができている。
24.  グループやチームでの話し合いに対して、主体的に取り組んでいる。
25.  学級で、学び合いのスタイルが共有できている。授業スタイルの継続が安心感につながる。前時の内容の類似と相違を使おうとする姿
26.  学び合いの経験が生きている。一人一人の出番がある。
27.  学び合いのコーディネート、教師の見取り、スピーディーな展開
28.  「前の授業で…とおる君の表を使えばいい」との声。既習事項を活用しようとする姿勢、友達の考えを生かして考えようとする姿勢
29.  授業の流れや話し合いのスタイルが定着している。授業のパターンが定着しており、互いの言葉をもとに自ら考える姿勢が育っている。
30.  ノートに個の学習としてまとめる時間の確保。説明を書きやすくする手立て。グループでの学習の足跡として
31.  気付き、つぶやきから見通しをもたせることで、低位の子どもにも意欲
32.  考えるためのデータの収集方法 ◎既習事項(レディネスチェック)◎調べる方法(表、図) ◎話し合い(グループ、チームの効果) ・調べ方、データの出し方、まとめ方 ・経験
33.  自己有用感の高まり→子どもたちが生き生き ⇒他の人の話も好意的に聴こうとしている、安心して話すことができる。
34.  ホワイトボードを黒板に貼る時の子どもたちの姿 「比較」「再確認」があった。
35.  チームごとにそれぞれ意見を出し合い、まとめる力がついている。全員参加の話し合い。
36.  テレビやパワーポイントを使ってのまとめの□を埋める形で提示。書く、説明する力が身に付く。
37.  リレーしながらグループの考えを伝えようとする姿。グループの考え=自分の考えに。
38.  見通しで思考の右往左往がなくなり、なぜ?が減る。
39.  出てこない考えをいつどうやって出すのか。
40.  自分の考えを固めているので、高める?深める?広げる?どうか?
41.  関連する同士の結合は子どもたちに!
42.  説明とまとめのあり方は?
43.  一人一人の学びが弱くなってしまう。(できているかどうか、本人も教師も気付けないのではないか)
44.  前時との違いがよくわからないまま進んだ子もいたように感じた。(その後追いついた)
45.  式の美しさや事象とのかかわりを深める。
46.  問題把握にもう少し時間をかけて丁寧にやってもよい。必要感
47.  めあては、見通しからでもよいのではないだろうか。
48.  まとめや説明を自分の言葉で。書く力をつけていきたい。
49.  気付きがなかなか深まらず、明確な違いが出なかった。「前時は順番があった」「今日は重なりがある」など、学びにつながる気付きをどう引き出せばよかったか。前時の問題を提示するとか。
50.  見通しの持たせ方。重なるところがあるということを見通せたか。
51.  一人の子の発言で進んでいるグループ学習は、本当に理解の助けとなっているか。
52.  グループで話し合いに参加が難しい子の理解⇒評価は?
53.  チームでの発表の手立てを ・順序 ・誤答に対して
54.  3+2+1+0  0が絶対必要と主張する子がいたのに、全体に上がってこなかった。⇒式の意味

<ご助言>
  子どもの「楽しかった」という声がよかった。
  見せる授業ではなく、日常の工夫がたくさんあり、提案性のある授業だった。
  この授業で身に付けるべきことを大切にしている。多様な考えが出ることばかりがすばらしいわけではない。
  学びと学級経営は大きく関係する。「教室は家族」
  33(さんさん)プランとも通じる。
  子どもの書く力がすばらしく、聴いて書く力がある。(  )の中を想像してまとめて書こうとする力が見られた。適用題に生かされていた。その後、少しずつ自力で書けるようになるはずである。
  教師の見取り(コーディネート)によって、互いに深める、補う、訂正するという観点でのチーム学習が実現していた。
  ふり返りでは、「~が分かった」「~を調べてみたい」など本当の学びが主体性につながっていた。
  今後に向けて、頭をかかえる課題設定をぜひ仕組んでほしい。
  グループは男女が対角線になっていてよい。Tの字形は、よく見える、かかわりやすいなどのよさがあるので、参考にしてほしい。



今回の分科会では、「自力解決の必要性」のご意見はありませんでした。過去の自力解決は、相談してはいけない時間ということでした。子どもたちは、相談したがっています。そして、相談しながらわかる喜びを感じています。

グループやチーム学習について、51・52番のご意見がありました。学び合いの授業をすると、必ず出される意見です。しかし、今までの教師主導の授業では、もっと一人一人を見捨てていないだろうか。しかも、自力解決での教師の支援は限界があるし、さらには学ぶ意欲をなくしてしまうのが常です。

今回うれしかったのは、算数学び合いの石田理論と菊池道場の学級経営を認めていただいたことです。学び合いと学級経営を両輪として実践してきた成果です。

もう1つうれしかったのが、今回の公開研の講演が石田教授であったことです。石田理論が少しでも広まればと思います。

分科会の話し合いでも、これからは学び合いの授業が必要不可欠であることがわかりました。今後、さらに対話的で深い学び合いを目指していきたいと思います。




参会者の先生方、ご指導いただいた先生に感謝いたします。ありがとうございました。