2014年6月29日日曜日

自分たちで反比例のきまりを見つけさせる学び合い

比例の学習が終わり、反比例の1教時目。

昨年、石川県小松市立苗代小学校で授業をさせていただいた時の授業です。
いきなりのグラフ提示ではなく、
T「面積が24㎠の長方形って、どんな長方形ですか?」
という発問をしました。

この発問では、何を答えるのかわからない児童がいましたが、
C「たて6㎝、横4㎝の長方形です。」という発言をきっかけに、板書の通りいろいろな長さが出されました。

『意見をつなぐ』ことを、今年度の目玉としているので、いろいろな気づきが出されました。
たてと横を逆にしてもよいこと、5㎝や7㎝の時は小数になること、1㎝から24㎝までの範囲ではなく、0.1などの小さい数でもよいこと、そのことから240㎝の場合もあることなど、意見をつなぐ場面が見られました。


さて、その結果を表にまとめてみると、何かきまりがありそうということになり、本時のめあては、
「きまりを見つけよう」となりました。

ここで見通しです。何をどう見ればよいのか。その時に比例の場合を想起させ、たての見方と横の見方をすれば、きまりが見つかりそうだということになり、グループ学習開始!

それぞれのチームで決まりを見つけ出しました。


全体の学び合いの場です。

子どもたち自ら自分たちのチームと近い考えを、黒板にはる時にグループ化させます。
このグループは、横に見て、
「一方の数が2倍、3倍、4倍になると、もう一方の数は、÷2、÷3、÷4になります。」という表現です。
 
こちらのグループは、÷でなく分数倍という見方です。
 
どちらでも同じきまりですが、子供たちは上も「×」だから、同じ「×」の方が考えやすいという話し合いの結論になりました。逆数倍になっていることには触れませんでしたが、既習をもとにしているわけですね。
 
 
どのチームも横のきまりを見つけ出しました。たてのきまりは、4つのチームが見つけ出していました。
 
『一方の値×もう一方の値=きまった数』ということですが、ここで「たて×横=面積」という既習と関連させることができるかということです。つまり、4年生で習った長方形の面積の公式が、反比例の式につながっているという数学的な考え方を身につけることが重要だと思います。
 
そして、y=24÷xにつながるわけです。
 
反比例は、教えれば10分で理解できると思います。でも、自らきまりを見つけて、既習と関連付けることが大切だと思います。それが、この「学び合い」から実現できます。
 
 
 

2014年6月18日水曜日

数直線図・関係図の誤答から学ぶ


 割合の問題が分数である時、子供たちはイメージするのが難しいですよね。そのために数直線図や関係図をかき、それを手掛かりに立式するわけです。

ここでのつまずきを考えると、もとにする量(1にあたる数)がどれなのかでわからないということや、図はかけていても立式の段階で演算を間違えてしまうことであろうと想定していましたが、全くその通りの誤答が出されました。



チームIは、数直前図から関係を見いだしました。1に何をかけると2/3になるのかを考えればすぐにわかります。

このチームは、1に2/3をかけるのか、2/3で割るのかで迷っていました。ここでの支援は、
「実際に計算してみたらどう?」

左上の計算が、確認の計算です。これで自信をつけて、かけ算であることをつかみました。(下写真)



チームHは、逆の考え方で、2/3に逆数をかければ1になる。だから、□に3/2をかけるという発想です。つまり、□を使った式を立てて、□を求めるというやり方です。時間切れで答えを求めることができませんでしたが、図と立式が正しい例ですね。



以下、間違いの例
チームA;数直線図は正しくかけたが、図からの立式で間違えた例



チームF;関係図(かけわり図)に入れる数値の位置を間違ってしまった例
(もとにする量と割合を取り違えてしまったのでしょう)


 チームE;チームAと同様の間違い

 
 
 数直線図や線分図、関係図を正しくかかせることは、とても大事な指導になります。2,3年生ぐらいからしっかりかけるようにする指導が必要です。
 
全体の学び合いでは、どれが正しいかの検討をしました。ここでの学び合いにより、自分たちのチームの間違いに気づくことができました。
 
間違えたチームの間違いを指摘(説明)するということも、とても大事な力になります。間違ったチームは、なぜ間違ったのかを説明できるようにさせています。
 
間違いから学ぶことは、算数ではとても大事なことですね。
 
 

2014年6月7日土曜日

整数に直してイメージ化を図る

梅雨入りとなりましたね。肌寒い日もありますので、風邪などひかぬようお気を付けください。

さて、分数のかけ算・わり算の単元

「AはBの何倍でしょう」という問題です。「~倍」という文字から、かけ算かな?と思う人もいます。
わり算だと思うけど、どっち割るどっちかがわからない、という疑問が多いように思います。



数直線図では、整数と違い、分数表記が難しくなります。
写真上のように、くらべる量ともとにする量がどっちかがわかれば、割合の公式にあてはめることができます。

板書のように、「い」がくらべる量で、「あ」がもとにする量という見通しが、Mさんから出されました。ところが、T「どうして「い」がくらべる量?」と問うと、説明できる人がいませんでした。このままグループ学習をしても、ほとんどのチームができないと思いました。

そしたら、そのMさんが、5年生の時の学習を説明しました。

AはBの何パーセントでしょうという割合の問題では、3年の時に学習したことを使えば簡単にわかるという説明です。

「6は2の3倍を考えればいいのです。3は6÷2だから、それにあてはめて考えます。」という説明。
5年生の時、この辺が結構誤答が多く、
「6は2の6÷2倍を覚えていれば簡単だよ。」と言ったことを思い出しました。このMさんは、常に既習を振り返ることができ、新しい考え方に対しても既習との関連づけが得意です。やはり、算数は習ったことを想起できれば、必ず解くことができるということですね。

さて、見通しは、割合の考え方と、数直線で説明すること、このMさんの考え方(整数と関連付けて)という3つの方法が出されました。

 
そうは言っても、やはり数直線図での表記は結構難しかったようです。(チームFとH)
チームC、Gは、比べる量ともとにする量で考えていましたが、「あ」をもとにしているという説明がなかなかできなかったようです。見通しで出されたとおりに計算すれば、この授業は10分ぐらいで終わってしまいます。どうして、「あ」がもとにしている量なのかという説明が、図などで説明しなければなりません。しかし、分数は整数のようになかなかイメージできない量なので、図で示しても説明できないわけです。たとえば、チームHは、どちらが1なのかがわかりませんでした。これを関係図で考えるにしても、どっちを1にすればよいかわからないことと同じですね。
 
チームI、E、B、Dは、例の「6は2の6÷2倍」という整数の考えにあてはめていました。やはりこれが一番とらえやすいようです。
 
算数では、学年が進むにつれてどんどん抽象化してきます。図で表すことも困難になります。
 
たとえば、「Amの棒があります。重さはB㎏ありました。1mあたりの重さは何㎏でしょう。」(または、1㎏あたり何mでしょう)←( )の問題は少ないかもしれません・・・
A÷Bか、B÷Aかという見極めは、抽象化された数字や文字では見当がつかなくなります。
 
でも、これを「2mの棒があります。重さは6㎏ありました。1mあたり何㎏でしょう。」にすれば、たちまち図を描いて6÷2=3mと全員が求められます。
 
これと同じであるという数学的な見通しを立てられるように教えていかなくてはならないと感じた授業でした。