いつの間にか閲覧件数が1000を超えていました。お出でいただいた方々に感謝申し上げます。そして、少しずつ足場のよさが伝わってきたのではないかと思っています。
さて、前回、「分数の足場を小数で」という記事を載せましたが、このたび、3年の先生もぜひやってみたいということで、3年生でも同じ授業を試みてもらいました。
来年度からの移行措置で、3,4年でも同じように同分母分数の加減の計算を行います。ですから、まったく同じ指導で進められるわけです。
3年生でも、小数の計算を整数の考えで計算することを足場にして、授業が進みました。3年でも、小数も分数も整数の考え方で計算と説明ができるということで、一人一人がきちんと説明まで書くことができました。3年ということで、担任のN先生はていねいに指導していたので、練習問題は少なかったのですが、次時で1ー2/3などの1から真分数をひくということを扱う時に練習すればよいので、考え方中心の授業ということでよいのでしょうね。
3年生でも、小数を足場にすることで、分数の加減まで類推させることができた事例でした。足場の有効性を実証できました。
別の3年のクラスでは、足し算と引き算を別の時間にする実践をしていただきました。前時に、小数を足場にした分数の足し算だけをやり、本時で分数の足し算を足場にした分数の引き算をするというものです。3年生ということで、わけてていねいに扱いたいという担任の考えでした。こちらの方も、足場を用いることにより説明もほぼ全員自力で表現することができました。
注;写真は上と下が反対でした・・
3年生の先生方、足場の実践にTRYしていただきましてありがとうございます。
本研究会では算数科を中心に、算数学び合いの石田淳一教授(東京家政大学、前横浜国大)のご指導のもと、「協働的な学び合い」の実践研究をしています。さらに、教育実践研究家の菊池省三先生を代表とする「菊池道場山形支部」として、白熱する教室を生み出す学級づくりをして、「主体的・対話的で深い学び」ができる子どもの育成を目指しています。 お問い合わせは、山形県南陽市立赤湯小学校 田井地 清まで vaio0819@yahoo.co.jp
2011年2月25日金曜日
2011年2月18日金曜日
分数の足場を小数で
今日は、4年の同分母分数のたし算の授業でした。
1年前、京都からわざわざ山形まで来て、師範授業をしていただいた先生がいました。その先生も、足場の実践をなさっている方で、我々とはちがってかなり深い考えで実践しているということが、授業を拝見させていただいてわかりました。ちょうどその先生がやったところと同じ授業だったので、足場を使ってやってみることになりました。そして、職場の先生方にも見ていただきました。(コメントください!)
同分母分数のたし算では、今までの経験上、必ず分母も足してしまうという誤答をいかに崩すかという流れだったような気がします。
しかし、足場を使った授業では、分母を足すという考えは出てきません。今回の授業では、既習である「小数」の足し算を足場にしました。0.2+0.3=0.5という小数の足し算を説明させます。
0.2は0.1が2こ分、0.3は0.1が3こ分
0.2+0.3は0.1が(2+3)こ分なので、0.5
という流れでした。当然、簡単に出ました。
そして、1/5+2/5という問題。これをみんなで考えました。小数の考えを足場にして、スムーズに答えが出て、説明も簡単にできました。もちろん、分母を足す考えの子供は、一人もいません。
次に、同分母分数のひき算を自力解決させました。教科書では、次時での扱いです。どうして、本時で扱ったか。それは、小数でも分数でも整数の考え方を用いれば、かんたんに計算できるということが理解できれは、あとは引き算も同じという考えからです。
案の定、引き算を自力でやったのですが、ほとんど全員が説明つきで簡単に計算できました。(足場の力だな・・)
子供たちのつぶやきから、いろいろなことが出されました。
「分子だけたして、分母は足さないんだよ。」
子供たちの声から、こういうことが自然に出るというのは、やはり効率的に考えられたからではないでしょうか。
分母を足した誤答を崩すために、図などを用いて説明していく授業と、小数を足場にして分数も同じようにできるという授業は、いったいどんな違いがあるのでしょうか。
今回の授業では、数の共通性に目を向けた類推的・帰納的思考をさせるのに有効であるということです。類推的・帰納的思考は、数学的な考え方を育てるのに重要な要素になります。
分母を足す誤答を出させることで、思考を促すという考えもあると思いますが、数の共通性を見出し、足し算でも引き算でも同じという数の広がりを学ばせる絶好のチャンスだったわけです。さらには、かけ算や割り算をやってみたいという子供たちからの声!発展的な学習にもつながるということなのですね。
授業をご覧いただいた先生は、3年の担任の先生です。後日、同じところをやるということで、3年生での成果を楽しみにしています。
2011年2月13日日曜日
答えは対話の中に、教えずに教える
先日の職員会議でのこと。
校長先生からのご指導で、1月1日づけの朝日新聞からの記事を紹介していただきました。
「答えは対話の中に、教えずに教える」というタイトルでした。
(一部抜粋)北九州市立貴船小学校。担任の菊池省三先生(51)は、子ども同士の意見のキャッチボールで、どの子にも自信をつけさせる「カリスマ教師」だ。毎週のように参観者が訪れ、講演依頼も絶えない。
十数年前、崩壊した学級を受け持った。「こう言ったらどう思われるか」。子どもたちは周りの反応を怖がり、思いを口にできない。
まずスピーチを採り入れ、考えを持つ大切さと、伝える手法を教えた。次は、ディベート。賛否の立場を決め、意見をぶつけあう訓練だ。
だが、「社会で生き抜くためには何か足りない」と思い始めた。言いっぱなしのスピーチでも、言い合いのディベートでもない。相手の意見に耳を傾け、自分のなかで消化し、新たな意見を投げかける。その繰り返しが、みんなを高め、よい人間関係につながることを伝えたい――。
(中略)一人ひとりの声が重なり、ふくらみ、響き合い、みんなの学びとなって対話が自転していく。先生は腕組みをし、うなずいているだけだ。
教師の「教え込み」から、子ども同士の「対話」へ。その先に広がるのは、新しい価値をともに創りあげる社会という未来図だ。
詳しくは、記事を参照してください
http://www.asahi.com/special/plus/TKY201012310282.html
うちの学校でも、道徳を中心に各教科で対話のある授業を目指しています。この1年間、「言葉のキャッチボール」という発言の表を掲示しながら、対話のある授業をめざしてきました。
積極的に発言や反応ができる子供が数名。たまに、挙手する子供が半分。あとの子供たちは、いわゆる「お客様」状態。指名しても、表現できずに互いにストレスがたまってしまう・・・という状態が続いた。
数日前の分数の授業でのこと。黒板の数直線上のある数値を指し、「分数で表わすと、どんな分数になるだろう。」と発問しました。(↓は2分の3を指している)
ここでの足場は、前時に学習したいくつに分けたうちのいくつ分という表し方(言い方)にしました。本時は、1より大きい分数の表し方を学習するのですが、簡単にできておわりだろうなと思い、足場もそこそこに主問題に入りました。
ところが、クラスのほぼ全員が4分の3という答え。理由を聴くと、
「2mを4つにわけた3つ分だからです。」
ということでした。
なるほど。子供たちの感覚っていうのは、そういうものなんだ。と、わくわくしてきました。なぜ、わくわくしてきたかというと、対話のチャンスだからです。予想通り、足場に戻って考えさせると、ある子供が、
「2分の3じゃないかな・・。」
とつぶやき始めました。
そのつぶやきに誘われるように、他の子供がどんどん意見を言い始め、自分で説明しようと、活発な挙手。
「おお、これが対話なのかな」
と、こちらもやや興奮気味になってきました。
結果は、分数の既習事項からすると2分の3だという考えにまとまりました。この時は、教師はほとんど教えていません。自分も対話の感触が得られたかなと喜んでいましたが、やはり気になったのは、ほとんど反応できずにいる子供が数名いる・・ということです。この子供たちは、今何を解決しようとしているのかすらつかめていないことが多い。わからないことが、わからないとでも言うべきでしょうか。
どのクラスでも、交流や対話に参加できずにいる子供がいると思います。小集団にすることや、途中で教師が話し合いの内容を説明してあげるとかなどの手立てが必要なんだろうと思います。
この子供たちも一言でいいから参加して、自分が意見を言ったことが話し合いで役にたったという自信を持ってもらいたいと思っています。
隣のクラスの担任の先生が、学年の前で、
「全員参加の授業をしてみませんか。」と言っていました。全員参加型の対話の授業です。自分も、そんな授業ができたらと思っています。
そういう意味で、朝日新聞の記事を思いだし、改めて読んでみたところでした。
校長先生からのご指導で、1月1日づけの朝日新聞からの記事を紹介していただきました。
「答えは対話の中に、教えずに教える」というタイトルでした。
(一部抜粋)北九州市立貴船小学校。担任の菊池省三先生(51)は、子ども同士の意見のキャッチボールで、どの子にも自信をつけさせる「カリスマ教師」だ。毎週のように参観者が訪れ、講演依頼も絶えない。
十数年前、崩壊した学級を受け持った。「こう言ったらどう思われるか」。子どもたちは周りの反応を怖がり、思いを口にできない。
まずスピーチを採り入れ、考えを持つ大切さと、伝える手法を教えた。次は、ディベート。賛否の立場を決め、意見をぶつけあう訓練だ。
だが、「社会で生き抜くためには何か足りない」と思い始めた。言いっぱなしのスピーチでも、言い合いのディベートでもない。相手の意見に耳を傾け、自分のなかで消化し、新たな意見を投げかける。その繰り返しが、みんなを高め、よい人間関係につながることを伝えたい――。
(中略)一人ひとりの声が重なり、ふくらみ、響き合い、みんなの学びとなって対話が自転していく。先生は腕組みをし、うなずいているだけだ。
教師の「教え込み」から、子ども同士の「対話」へ。その先に広がるのは、新しい価値をともに創りあげる社会という未来図だ。
詳しくは、記事を参照してください
http://www.asahi.com/special/plus/TKY201012310282.html
うちの学校でも、道徳を中心に各教科で対話のある授業を目指しています。この1年間、「言葉のキャッチボール」という発言の表を掲示しながら、対話のある授業をめざしてきました。
積極的に発言や反応ができる子供が数名。たまに、挙手する子供が半分。あとの子供たちは、いわゆる「お客様」状態。指名しても、表現できずに互いにストレスがたまってしまう・・・という状態が続いた。
数日前の分数の授業でのこと。黒板の数直線上のある数値を指し、「分数で表わすと、どんな分数になるだろう。」と発問しました。(↓は2分の3を指している)
ここでの足場は、前時に学習したいくつに分けたうちのいくつ分という表し方(言い方)にしました。本時は、1より大きい分数の表し方を学習するのですが、簡単にできておわりだろうなと思い、足場もそこそこに主問題に入りました。
ところが、クラスのほぼ全員が4分の3という答え。理由を聴くと、
「2mを4つにわけた3つ分だからです。」
ということでした。
なるほど。子供たちの感覚っていうのは、そういうものなんだ。と、わくわくしてきました。なぜ、わくわくしてきたかというと、対話のチャンスだからです。予想通り、足場に戻って考えさせると、ある子供が、
「2分の3じゃないかな・・。」
とつぶやき始めました。
そのつぶやきに誘われるように、他の子供がどんどん意見を言い始め、自分で説明しようと、活発な挙手。
「おお、これが対話なのかな」
と、こちらもやや興奮気味になってきました。
結果は、分数の既習事項からすると2分の3だという考えにまとまりました。この時は、教師はほとんど教えていません。自分も対話の感触が得られたかなと喜んでいましたが、やはり気になったのは、ほとんど反応できずにいる子供が数名いる・・ということです。この子供たちは、今何を解決しようとしているのかすらつかめていないことが多い。わからないことが、わからないとでも言うべきでしょうか。
どのクラスでも、交流や対話に参加できずにいる子供がいると思います。小集団にすることや、途中で教師が話し合いの内容を説明してあげるとかなどの手立てが必要なんだろうと思います。
この子供たちも一言でいいから参加して、自分が意見を言ったことが話し合いで役にたったという自信を持ってもらいたいと思っています。
隣のクラスの担任の先生が、学年の前で、
「全員参加の授業をしてみませんか。」と言っていました。全員参加型の対話の授業です。自分も、そんな授業ができたらと思っています。
そういう意味で、朝日新聞の記事を思いだし、改めて読んでみたところでした。
2011年2月8日火曜日
「重さ」の授業で足場に挑戦
二戸部(@宮内小)です。
今回、重さ(3年)の授業で足場の授業を実践してみました。
本時の授業は、重さの足し算でした。具体的には、
1kg400g+300gなどの計算です。
そこで今回は「考える足場」として「道のり」の計算を手がかりにしてみました。
道のりの授業は、2学期始めに実施しており、子ども達は結構得意な分野です。
1km=1000mであることや、その計算方法について簡単に振り返ってみました。
その後に、問題を提示。一部の児童は、予習教材などで重さの計算方法を知っていたようですが、半数近くの児童は「?」といった様子でした。
ここで、1kg=1000gであることを想起。
すると、児童から「あっ、大ヒントだね先生!わかっちゃった。」
といった声が上がりました。
「解けちゃうの? 解き方教えてないけど、いけそう?」
と煽ると、なにやら自信満々の雰囲気。
さっそく解かせてみました。するとほとんどの児童がすらすら。
苦手な児童もときおり黒板をちらちらみながら、自力で解決しようと頑張っているようでした。
その後、「スペシャル問題」と題した適応題に2問ほどチャレンジ。引き算や「繰り上がり(1kg500g+700g)」のある問題にチャレンジしました。
全員すらすら解くことができ、授業が終わった後、算数が苦手な児童が
「先生、今日、全問正解だったよ。」
と報告に来てくれました。
繰り上がりの解き方についても足場を設ければ良かったのかどうか。解き方の説明をする時間を設けるべきだったのかどうか。など、反省はありますが、自分なりに手応えを感じることのできた時間でした。
自分のクラスでは、どの教科においても一貫してグループ学習を取り入れています。しかし、グループ学習が不向きな授業も当然あります。自分の教職における研究の柱に「足場の授業」をしっかりと立てて、これからも実践をしたいと感じました。
以上、「足場」と呼べるかどうかもあやしい授業ですが、取り急ぎ報告まで。
今回、重さ(3年)の授業で足場の授業を実践してみました。
本時の授業は、重さの足し算でした。具体的には、
1kg400g+300gなどの計算です。
そこで今回は「考える足場」として「道のり」の計算を手がかりにしてみました。
道のりの授業は、2学期始めに実施しており、子ども達は結構得意な分野です。
1km=1000mであることや、その計算方法について簡単に振り返ってみました。
その後に、問題を提示。一部の児童は、予習教材などで重さの計算方法を知っていたようですが、半数近くの児童は「?」といった様子でした。
ここで、1kg=1000gであることを想起。
すると、児童から「あっ、大ヒントだね先生!わかっちゃった。」
といった声が上がりました。
「解けちゃうの? 解き方教えてないけど、いけそう?」
と煽ると、なにやら自信満々の雰囲気。
さっそく解かせてみました。するとほとんどの児童がすらすら。
苦手な児童もときおり黒板をちらちらみながら、自力で解決しようと頑張っているようでした。
その後、「スペシャル問題」と題した適応題に2問ほどチャレンジ。引き算や「繰り上がり(1kg500g+700g)」のある問題にチャレンジしました。
全員すらすら解くことができ、授業が終わった後、算数が苦手な児童が
「先生、今日、全問正解だったよ。」
と報告に来てくれました。
繰り上がりの解き方についても足場を設ければ良かったのかどうか。解き方の説明をする時間を設けるべきだったのかどうか。など、反省はありますが、自分なりに手応えを感じることのできた時間でした。
自分のクラスでは、どの教科においても一貫してグループ学習を取り入れています。しかし、グループ学習が不向きな授業も当然あります。自分の教職における研究の柱に「足場の授業」をしっかりと立てて、これからも実践をしたいと感じました。
以上、「足場」と呼べるかどうかもあやしい授業ですが、取り急ぎ報告まで。
2011年2月2日水曜日
これぞ足場の授業!
2月2日、校内で授業研がありました。授業研とはいえ、ワンペーパー授業という企画で、A4程度の指導略案で、自由に授業を見せ合うというものです。
2年2組の算数ということで、2月2日2年2組とゾロ目の授業になりました。(そんなことはどうでもいいですね・・・)
このクラスの担任のT先生は、算数部長ということもあり、以前から「足場」の授業に興味を持ち、少しずつ実践を重ねていらっしゃった先生でもあり、とても楽しみにして参観させていただきました。
2年算数「九九のきまり」という単元です。本時の目標は、「乗法九九のきまりを活用しながら、被乗数が10以上の乗法計算の仕方を考えることができる。」です。
最初に、九九の表を提示し、前時までの学習で見つけた性質やきまりを確認しました。
1、とび法 2、段合わせ法 3、反対法 という3つの既習のきまりを提示しました。(それぞれの内容については、写真の板書を参照)
これらの既習を足場として、10×4の答えの求め方を考えさせ、どのような性質やきまりを使えばよいかを説明させるというものです。そして、全体解決で10の段をつくり説明させました。子供たちは、3つの方法できちんと説明できるように教えました。
次に自力解決。11の段をつくらせるというもの。子供たちは、考えのもと(足場)と全体解決を足場にして、全員容易に説明を書いていました。
「やはり、足場ってすごいな。」と実感しました。T先生の前時までの指導のすばらしさもうかがえました。これなら、12の段でも13の段でも簡単に説明できそうです。
教えて学ばせるということを基本にすえて、子供の思考力、表現力を育成できるということを、改めて実感したこところです。
再来週の水曜日あたりに、新採の先生に、4年「同分母分数のたしざん・ひきざん」の授業を参観していただく予定です。(参考になるかどうかはわかりませんが・・・)
参観したい方は、どうぞごらんください!
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