算数の学び合いについての実践してきましたが、この学び合いを他教科でやってみたという事例です。国語や社会などの教科ではもちろん効果が見られましたが、今回は実技教科である体育です。
体育では、チームで教え合うことはよくありますが、水泳でやってみたらどうなるのでしょうか。今までの水泳学習では、その子のレベルに合わせてコース別にステップアップさせるという流れが多かったと思います。その方が技術を身に付けるのに有効だったからです。
算数でも、10年以上前に習熟度別学習がもてはやされた時代がありました。それはそれで効果がありましたが、そのスタイルは、教師の側の「教えやすさ」もあったような気がします。確かに、同レベルの集団では、ある程度の基準を設けて教えることが容易になり、効率的に教えることができます。水泳でも、そういう考えで行なってきたのでしょう。
最初は、従来通りコース別に泳ぎました。その後、それぞれのコースで7つに分けてグループをつくりました。そのグループの中でどういうペアを組むのかを話し合ってから、教え合い開始です。
いつものコース別よりも、意欲的に取り組んでいました。25メートル泳げない人に、真剣に教える姿が見られました。グループによっては、1人に対して2人が教えていたグループもありました。
しばらくすると、あるグループで歓声が上がりました。25メートルを初めて達成した人がいたからです。それに触発されたのか、他のグループでも、次々と歓声が上がってきました。泳げた本人が大喜びしたのは当たり前ですが、それよりも周りで教えてくれた人の方が喜んでいたように見えました。
結果、この時間だけで4人も25メートルを達成することができました。そのほか、今までで一番長く泳げたとか、バタフライのやり方を教えてもらってできるようになったなどという声がありました。
我々教師の方が的確に教えることができるとは思いますが、こうも簡単に泳げるようになったのは、子ども同士の学び合いの力によるものだと思います。学び合いからは、教えてもらった、または教えたという互いの立場での達成感や喜びが生まれます。さらに、信頼感や絆も生まれます。グループ学習のよさが浮き彫りになった授業となりました。